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【市況】米国株式市場見通し:経済や収益悪化リスクに直面


株式相場は2月末から3月初旬に見られたパニック段階から、経済封鎖を受けた経済や企業収益の影響を冷静に判断していく段階に移行しつつある。新型コロナウイルス感染蔓延がピークを付けた可能性や、被害が少ない州から徐々に経済活動を再開する可能性が高まり、また、治療薬に進展が見られることは相場のプラス材料となる。同時に、新型コロナウイルスによる経済封鎖を受けた経済や企業収益の大恐慌時以来と言われる大幅悪化という現実的なリスクに直面することになるだろう。先週発表された小売や製造業景況指数は軒並み市場エコノミスト予想を下回る悲惨な結果となった。歴史的にも例を見ない経済封鎖による経済への影響は未知であり、景気や企業収益が想定以上に悪化するリスクに注意したい。ワクチンまたは治療薬が正式に承認されるか、または、全国的な広範な抗体検査が実施されてリスクが軽減されない限り、消費は回復せず景気後退や収益減の長期化は避けられないだろう。銀行の資本状況は2008年に比べれば、かなり強化されているものの、FRBや政府の支援にもかかわらず、もともと脆弱な企業が最終的に破綻に追い込まれれば、銀行にも被害が及ぶことになるだろう。

経済指標では、2月FHFA住宅価格指数(20日)、週次新規失業保険申請件数(22日)、4月マークイット製造業PMI(23日)、3月新築住宅販売件数(23日)、3月耐久財受注(24日)、4月ミシガン大学消費者信頼感指数確定値(24日)などが予定されている。中古住宅や住宅市場の先行指標となる新築住宅販売件数の3月分も大幅な落ち込みが警戒される。一方で週次新規失業保険申請件数では企業の解雇ペースが3月最終週に比べれば鈍化することが予想されている。

企業決算では、まず、航空会社のデルタ航空(22日)、サウスウェスト航空(23日)アメリカン航空(24日)の発表が予定されている。先日、財務省と航空会社の支援内容について合意し、少なくとも従業員を9月までは維持する方針だが、当面は厳しい経営環境が続きそうだ。動画配信サービスのネットフリックス(21日)やオンライン小売のアマゾン(24日)は、新型コロナウイルス による影響が追い風と捉えられ、株価も過去最高値を更新している。売上の増加と併せて、どのt程度コストが膨らんでいるが注目点となるだろう。ハイテク大手では、ITサービスのIBM(20日)、半導体のテキサス・インストールメント(21日)やインテル(23日)、写真・動画共有アプリのスナップ(21日)などの発表が予定されている。その他、資産運用のブラックストーン(23日)やカード会社のアメリカンエクスプレス(24日)、飲料メーカーのコカ・コーラ(21日)やファストフードの チポトレ(21日)、通信大手のAT&T(22日)やベライゾン(24日)などの決算発表も予定されている。ベライゾンは先日、ビデオ会議のブルージーズ・ネットワークの買収を発表しており、法人向け事業の見通しが注目される。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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