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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「三角保ち合い煮詰める日経平均」

株式評論家 富田隆弥

◆プログラム取引に伴う現物株の売り残(裁定売り残)が4月10日現在2兆165億円(当限+翌限)と前週比で4120億円も増加した。2兆円に乗せるのは昨年9月6日(2兆666億円)以来で、過去最高水準である。売り残増加の背景には先安不安の高まりがあるが、日経平均が下げずに推移するなら、この売り残は買い戻しにつながる。昨年10~12月に日経平均が上昇した背景にはこの買い戻しがあった。

◆3月に急落した日経平均株価は彼岸底(3月19日のザラバ安値1万6358円)から切り返して2万円に迫っている(執筆時点の直近高値は4月14日の1万9705円)。日足チャートは安値から3347円幅、20%上昇して25日移動平均線(16日時点1万8432円)をクリアし、次は半値戻しの2万236円や二段上げN波の2万852円を目指しているとも言える。

◆彼岸底後の日足の形状は上向きの「三角保ち合い」を煮詰めている。日経平均が2万円に乗せるなら保ち合い上放れとして、裁定売り残の買い戻しを誘いながら上昇に弾みつけてもおかしくない。そうなれば半値戻しをクリアして75日移動平均線(16日時点2万1478円)や3分の2戻し(2万1530円)を視野に入れるだろう。

◆だが、逆に三角保ち合いを下放れるならば注意が必要になる。売り方は買い戻しを急ぐ必要もない。チャートは1月高値(2万4115円)から彼岸底までの下落(7757円幅)を一段下げとして、1ヵ月の踊り場を挟んで次の二段下げに向かう可能性が出てくる。

◆この二段下げリスクは、三角保ち合いを上放れたとしてもつきまとうリスクであるから、NYダウともども日足チャートに彼岸底から下値抵抗線を引いてチェックしておかねばならない。

◆世界で感染拡大を続ける新型コロナウイルス。先進国のマーケットは「感染ピークアウト、経済活動再開」というショック後のシナリオを描き始めているが、企業は歴史的な大ダメージを受けており、決算発表への注視が必要だろう。また、東南アジアや南米、アフリカといった新興諸国のコロナ事情はまだ把握し切れていない。先進国の株式市場が少し落ち着いたからといって今回の歴史的出来事を「織り込んだ」と見るのは早計だろう。

◆当面の日経平均は上放れ、下放れ、どちらに動く可能性もあり、「放れ足に従う」のが基本スタンスとなるが、彼岸底からひと月を経過してアヤ戻りの正念場が続くことも承知しておくべきだろう。

(4月16日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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