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【特集】世間を騒がせたアパート3銘柄、再浮上のポイントはどこ? -上

株探プレミアム・リポート

筆者:千住さとし(Satoshi Senzyu)
ライター。不動産会社、ハウスメーカー、不動産投資家などを精力的に取材している。

 施工不備、融資審査資料の改ざん、ガス爆発事故――と2018年に不祥事が明るみになったレオパレス21<8848>、TATERU<1435>、APAMAN<8889>の"アパートお騒がせ3銘柄"は、いまだその後遺症から抜け切らないでいる。業績は低迷もしくは停滞、株価もコロナウイルス騒動の勃発に関わりなく、不祥事発覚前よりも低い水準に沈んでいる。

 業績が回復し、投資家の評価が見直されるカタリスト(株価変動の材料)は、どこにあるのか。不動産業界の声を基に探った。専門家によれば、3社にはそれぞれの強みがあり、その強みが改めて認識される状況に来た時が一つの転機になりそうだ。

株価は低迷、TATERU <1435>は不祥事前の約10分の1に

 まずは3社の不祥事の内容と、それが業績および株価に与えた影響をおさらいしよう。

 問題発覚が早いレオパレス21 <8848>から振り返ると、まず問題が明るみになったのは2018年5月。同社が施工した物件の屋根裏などで防火上設置を義務付けられている界壁が未設置である施工不備が表面化した。その数は、軽微なものを含めると約2万棟にも上る。

 業績への影響は3銘柄の中でも最も大きい。2019年3月期には調査・補修による損失引当金、入居募集一時停止による空室損失引当金がかさみ686億円の当期純損失を計上した。20年3月期も304億円の当期純損失を見込む。

 足元の株価は340円台前半で、不祥事勃発直前の18年4月末から63%の下落となっている。

  サラリーマン投資家向けに投資物件の開発・販売を手掛けるTATERU <1435>は18年9月、顧客の融資審査資料を改ざんしたことが明るみなった。その数は約350件。以降、集客力が急速に衰え、2019年12月期は145億円の最終赤字を計上、20年12月期も13億円の当期純損失を見込む。足元の株価は160円前後で、不祥事直前の18年8月末から約90%も下落している。

 最後のAPAMAN <8889>は18年末、札幌で直営する部屋探し店舗「アパマンショップ平岸駅前店」でガス爆発事故が発生。約120本分の消臭スプレーを店内で廃棄処分していた際、ガスが給湯器に引火。爆発の衝撃波で同店含む近隣の建物が倒壊・損傷し、50人以上が負傷した大惨事となった。

 補償に伴う損失引当金額は限定的となったが、店舗ブランドの失墜が本業の業績の足を引っ張り、20年9月期第1四半期は減収減益。足元の株価は680円台前半。事故直前の18年11月末から46%の下落となっている。

■レオパレス、TATERU、APAMANの不祥事内容と業績・株価への影響
レオパレス、TATERU、APAMANの不祥事内容と業績・株価への影響
注:株価下落率は不祥事発覚前月終値と20年3月2日終値との比較

 これら3社の復活のポイントはどこか。同じく発覚順に見ていこう。

レオパレス――ポイントは独自の特徴を持つ社宅需要の回復

 レオパレス21の業績回復の焦点は、①入居者割合が最も大きい社宅向け需要の強化と②入居率80%以上の維持――にある。

 同社が建築するアパートの入居者は大きく社宅、学生・個人向けとあり、このうち社宅(法人契約割合)は56%と最大だ。この主力の法人契約物件は発覚直前の18年3月は約31万戸あったが、19年12月には25.7万戸と17%減少している。

 ただし、現場を取材すると、同社物件の強みから、社宅需要が落ち込んでいないケースもあった。長谷工コーポレーション系の社宅代行会社・長谷工ビジネスプロクシーの関係者は「レオパレス物件の社宅需要は、問題発覚後も解約は皆無に等しい」と話す。

 この関係者によれば、同社を介してレオパレス物件と契約した社数は約300件。だが「問題発覚後に解約を申し出た社数は300社のうち1%にも満たなかった」と明かす。

 レオパレスと競合するマンスリー賃貸大手・リブマックスは「不祥事後に、当社の物件に契約を乗り換える社宅案件が急増すると期待したが、反響はかなり限定的だった」(担当者)と振り返る。

■施工不備の発覚前と後で比較したレオパレスの契約物件数の推移
【タイトル】
注:▲はマイナス。下の数値は18年3月時点からの減少率

 同業者の声をまとめると、レオパレス物件は社宅を確保したい企業に対し、3つの訴求力を持つ。

 1つ目は、全国の都市・郊外に57万戸に及ぶ管理物件を一社で抱えている点。全国展開する企業にとっては、同社と契約すれば、自社が展開する拠点に隣接する社宅を確保できる。

 2つ目は、同社物件の大半に「家具・家電」が備わっていること。家具・家電が標準装備されていれば、転勤する会社員の引っ越しの金銭的・時間的負担が軽くなるため、満足度向上につながりやすい。

 3つ目が、マンスリー契約への対応。通常、賃貸住宅の入居手続きは、2年ごとの更新を前提する賃貸借契約を交わすのが一般的だ。ところがレオパレス物件は、通常の賃貸借契約に加えて、1カ月単位で入居期間を決められるマンスリー契約の2つに対応している。

 北海道のある業者は、中小企業が地方郊外にマンスリー契約可の家具家電付き物件を用意しようと思うと「家具家電の購入・搬入だけでも、仮に数十、数百戸分だけだとしても、それなりの人員・時間を割かねばならない」と話す。

 上に挙げた3つの特徴は、同業大手の大東建託<1878>や東建コーポレーション<1766>にはない、レオパレス独自の競争力として業界では認知されている。

■レオパレス物件が社宅利用で持つ3つの特徴と、それぞれの訴求力
レオパレス物件が社宅利用で持つ3つの特徴と、それぞれの訴求力
注:取材を基に筆者が作成

低下する入居率、損益分岐点の80%割れも底入れの兆しが

 ここから収益回復のもう1つのポイントである入居率についてみていこう。まず問題発覚後、レオパ物件の入居率は下落基調へ転じ、足元では18カ月連続で前年割れが続いている状態。18年4月に92.82%だったのが、19年11月に79.21%まで低下した。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



 

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