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【特集】結局のところ、「ESG」って儲かるの?


大川智宏の「日本株・数字で徹底診断!」 第33回

 MSCIの指数は、特にグローバル株式についてこれらすべての独立した指数(Environment指数、SRI指数、Governance Quality指数)があるため、それぞれの要素のパフォーマンスを比較することが可能です。計測は、前述までと同様にMSCI World指数との相対値とし、2015年1月を1として先の3つの指数の推移を比較してみます。

■グローバル株式のESG各指数のパフォーマンス推移(2015年1月=1)
【タイトル】
出所:データストリーム。注:MSCI Worldとの相対値

グローバル株はG(企業統治)>S(社会)>E(環境)の状況に

 想像通りといってしまえばそれまでですが、やはり株式投資の観点に一番近い「Governance Quality指数」が最もパフォーマンスが良く、逆に最も関連が薄そうなEnvironment指数はパフォーマンスが悪いという結果になります。特にEnvironment指数は、MSCIの定義で「売り上げの50%以上を環境に有益な商品・サービスから得ている企業」としており、やや設計が極端な印象を受けます。

 意外にもSRI指数のリターンは悪くなく、特に2019年以降は安定的に推移しています。MSCIの定義では、この指数は母集団から環境または社会的に悪影響を及ぼす可能性のある製品・サービス(タバコ、ギャンブル、アルコール、原子力など)を提供する企業を除外してESGスコアを計測するようです。そのため、母集団が限定されている以外はESG全体の指数と作成の方向性は同一であり、傾向として大きな差は出にくいのかもしれません。

 何にせよ、Governance Quality指数のパフォーマンスは圧倒的であり、ESGの中でも突出して重要性が高いといえます。コーポレートガバナンスは、もはや形式や机上の空論ではなく、実際に株式投資のパフォーマンスに大きく影響することの疑いようのない証明といえるでしょう。

日本株もG(企業統治)が好調

 次いで、日本株についてもGovernance Quality指数を見てみます。参考までに、前掲のMSCI Japan ESG Leaders指数と比較しています。

■MSCI Japan Governance Quality指数のパフォーマンスの推移(2015年9月=1)
【タイトル】
出所:データストリーム 注:MSCI Japanとの相対値

 ESG Leaders指数と比較するとブレは大きいものの、こちらも2018年後半以降から驚異的なパフォーマンスを見せており、上昇のタイミングがESG Leaders指数と比較して早くなっています。

 この動きは、グローバル株式のGovernance Quality指数の動きとも整合的で、海外マネーのシェアの大きい日本株市場においてもガバナンスの重要性は同様であり、株価のパフォーマンスに強く働きかけていることは間違いなさそうです。

 参考までに銘柄リストを添付します。

 ガバナンス評価に関してはベンダー各社が様々な指標を提供していますが、取得の容易さの観点で、金融サービス会社の米MSCIがWeb上で定期公表している「MSCI Japan Governance Quality指数」構成銘柄の上位10社とそのウエイトを、公益社団法人会社役員育成機構がWeb上で公表している「CGレーティングスコア」を使用しました。

 また、念のためESG全体の質の高さも加味する観点から、金融情報会社のリフィニティブ(Refinitiv)が提供する「ESGスコア」も使用して銘柄を選定しています

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



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