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【市況】明日の株式相場戦略=「サイレント・イヴ相場」の先に見えるのは

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(24日)の東京株式市場は、日経平均が9円高と小幅反発し続伸となったが、ここでの値動きはほとんど誤差の範囲であまり意味を持たない。前日の4円高と合わせ“続伸”で得た値幅はわずかに13円強。TOPIXの方は5日続落となっている。きょうは東証1部の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数がいずれも1000銘柄前後で拮抗しているが、売り買いで思惑を交錯させたような跡は見られず、全体売買代金は1兆2000億円台と実に5年8カ月ぶりの低水準となった。

 明日はクリスマスに伴い米国をはじめ欧州や香港、韓国、フィリピン、シンガポール、マレーシア、インドネシア、インド、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、ブラジルと概ね世界の株式市場はお休みとなる。日本と中国では取引が行われるとはいえ、海外投資家はほぼ不在、きょうの東京市場はまさに“サイレント・イヴ”の様相が強い。クリスマス当日も開店休業のマーケット環境が予想される。しかし、この静寂は昨年を思えばありがたいともいえる。12月の日銀のETF買い出動はこれまでたったの3回(1回当たり706億円)に過ぎない。今年は買い入れ余力を大幅に残しての幕引きとなる。ちなみに昨年12月は日銀がETF砲を打ちまくり、実に11回(同703億円)を数え、合計で7733億円を買い入れた。いうまでもなく日経平均には強烈な下方圧力が働いていたからだ。

 昨年は12月24日が祝日で、3連休明けの25日に日経平均は1010円安という大波乱、いわゆる“クリスマス暴落”に見舞われた。もっとも日経平均の乱調はこの日に限ったことではなく、昨年の12月初旬から今年1月大発会にかけては半ばパニック的な急落相場となり、約1カ月のタームでみても断崖絶壁からダイブするような下げに遭遇していた。日経平均は12月3日の終値2万2574円から1月4日の終値1万9561円まで1カ月で一気に3000円あまりも水準を切り下げている。

 ただし、これは「バンジージャンプであった」というオチがつく。大発会翌日からは急速なリバウンドに転じ、1週間後には2万500円台まで戻して下げ幅の約3分の1を取り戻し、更に3カ月後の4月中旬に日経平均は2万2000円台を回復して、12月初旬の急落前の水準をほぼ取り戻した。後で振り返れば2019年は大発会の“悲観の極致”に買い向かうことが最強の投資選択であった、ということになる。

 現在の日経平均も位置的には“高所恐怖症”とも揶揄される高みに歩を進めており、警戒感からキャッシュポジションを高める動きもしくは波乱を期待した空売りなどが前倒し的に出ていた。しかし、思った以上に相場の足腰は強い。流動性が低くなっているところを衝いてアルゴリズムを使った売り仕掛けが入るような気配もない。北朝鮮絡みで波乱要素がないとも言い切れないが、今年は昨年のデジャブに遭遇することなく幕を閉じそうだ。

 個別銘柄では、高田工業所<1966>がきょうも激しく上値を指向、12%あまりの上昇で1200円台に乗せ売買高は100万株を超えた。時価総額100億円未満の銘柄で1日の商いが1000株に満たない日もあった銘柄が、決定的な材料がないなかでここまで変わることに、純粋に驚かされる。株式投資の奥深さ、不思議さは人間の知力はもちろんAIでもなかなか解明できないのではないか。

 新年相場でも大化け要素を内包した中小型株は半導体周辺から数多く輩出されそうだ。その候補としては、比較的出遅れているエレクトロニクス商社なども対象となる。例えば、独立系半導体商社で米TIなど外国製品の取り扱いで強みを持つ丸文<7537>は2018年の年初から約2年間の週足を眺めた場合、今の水準でのもみ合いは食指が動く。このほか化合物半導体製造装置で実績の高い伯東<7433>や、NEC系列でルネサス製主体にアジア地域など海外のウエートが高い佐鳥電機<7420>などもマークしておきたい。

 日程面では、あすは11月の企業向けサービス価格指数が朝方取引開始前に開示される。また、11月の外食売上高が後場取引時間中に発表される。また、IPOが2件ありAI inside<4488>、WDBココ<7079>がいずれもマザーズ市場に新規上場する。なお、海外株式市場はクリスマスのため、米国をはじめとして欧州やアジア市場など軒並み休場となる。(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2019年12月25日 08時24分

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