【特集】世界に飛躍する「メディカル機器」関連、投資妙味膨らむ7銘柄 <株探トップ特集>
政府は成長戦略の中で日本発の医薬品・医療機器などの開発・事業化を進めるとともに、国際展開の推進を掲げている。同関連で上値が期待される有力銘柄にスポットを当てた。
―官民挙げて国際展開を推進、高齢化社会の知見を生かす成長銘柄に市場の評価高まる―
2019年も残すところわずか。この1年間の日経平均株価は、前年比で2ケタを超す上昇率となっている。その東京市場で大幅な値上がりを示したのが医療機器関連株だ。日本は高齢化が進展するものの、医療分野ではその国内市場で培った知見を海外展開に生かせるメリットがある。官民挙げた医療機器の国際化が推進されており、その動きを海外投資家は評価している。医療機器関連メーカーの動向を探った。
●19年の市場を医療機器が牽引、オリンパスやテルモが大幅高に
19年の東京市場で日経平均株価は足もとで前年比19%近い大幅な上昇を記録している。その好調な日本株のなかでも、際立ったのが医療機器銘柄だ。TOPIXの業種別で医療機器を含む「精密」セクターは年初から4割強上昇し、東京市場の牽引役を果たした。
例えば、医療機器の代表銘柄であるオリンパス <7733> の株価は年初から2倍強に跳ね上がり、テルモ <4543> も3割近く上昇。オリンパスは内視鏡 の成長に加え、アクティビスト系ファンドから社外取締役を迎え経営改革への期待が高まった。テルモは、主力のカテーテル などが好調で営業利益は最高益基調が見込まれている。両社とも外国人投資家が評価したとみられているが、その背景にあるのは海外市場の開拓だ。テルモの海外売上高比率は13年3月期に54%程度だったが、19年3月期には68%程度に拡大。海外事業が収益を押し上げていることが分かる。
●日本企業は内視鏡 やMRIなど診断装置に強み、治療機器への開拓進める
厚生労働省によると日本の医療機器の市場規模は過去5年間で8%成長した。その一方、世界市場は同期間に3割強成長しており、この海外市場の成長の取り込みが株価の評価を分けている。
政府は「成長戦略」のなかで日本発の医薬品・医療機器などの開発・事業化を進めるとともに、国際展開を進めることを掲げている。最近では、富士フイルムホールディングス <4901> が日立製作所 <6501> から画像診断機事業を買収すると発表。画像処理技術などを組み合わせることで海外大手を追い上げることを表明した。
日本企業は軟性内視鏡のほか、超音波画像診断装置やMRIなど診断機器に強みを持つものの、治療機器は弱くカテーテル や人工関節などでの市場開拓が期待されている。19年の株式市場を引っ張った医療機器セクターだが、海外市場を取り込む技術力を持つ企業は高成長銘柄として、海外投資家を中心とする買い姿勢は続くことが予想される。以下、注目銘柄を挙げてみた。
◎リオン <6823> ~補聴器の最大手。音響、環境計測器も手掛ける。微粒子計測器は半導体向けにも需要。ベトナム最先端の病院と医療協力。検査装置を提供し、補聴器の普及を進める。
◎シスメックス <6869> ~検体検査機器の大手で血液成分測定装置の世界最大手。20年3月期業績は円高の影響で減額修正も来期以降は再度、増益基調に。一服場面は好拾い場。
◎日本エム・ディ・エム <7600> ~骨接合・人工関節などの専門商社。米国で製造する自社製品の比率が上昇。人工股関節製品「OVATION ヒップ ステム」などが好調。20年3月期の業績は増額修正されたが、市場には一段の上乗せ観測が出ている。
◎ジェイ・エム・エス <7702> ~使い捨て医療機器の大手。北米向け成分献血用回路やドイツでの輸液セットなどが堅調。20年3月期の連結営業利益は2割増益。株価はPBR0.6倍台と割安感が強い。
◎川澄化学工業 <7703> [東証2]~人工透析器具で高実績。血液や輸液関連を含むディスポーザブル医療機器を海外に販売。ステントも欧州で販売推進。20年3月期の連結営業利益は前期比5割増と業績回復基調。
◎マニー <7730> ~手術用縫合針や眼科ナイフ、歯科治療機器で高シェア。「世界一の品質を世界のすみずみへ」が基本方針。海外売上比率は70%強。眼科ナイフなど好調で20年8月期は最高益で実質2円増配の予想。
◎朝日インテック <7747> ~血管内治療に用いられるPTCAガイドワイヤーや貫通カテーテルなどが主力。米国で心臓領域や脳領域でガイドワイヤーの新商品を投入予定。業績の最高益更新基調が続く。
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