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【特集】市場急拡大の「顔認証」関連株、顔パス時代到来で株価も新局面入り <株探トップ特集>

「顔認証関連株」に再びスポットライトが当たっている。同関連銘柄は来年の東京五輪開催に際してもセキュリティー分野の新たな旗手として注目度が高まっている。

―大阪メトロが「顔認証改札」の実証実験スタート、株式市場でも再びテーマ化の兆し―

 「顔認証関連」に再びスポットライトが当たっている。東京での五輪開催が決定して以降、セキュリティー分野の新旗手として注目を集めて久しいが、10日には大阪メトロが登録済顔写真で駅の改札を通過できる「顔認証改札」の実証実験をスタートするなど、さまざまな分野での採用が拡大している。本格的に輝きを放ち始めた顔認証関連株の動向に迫った。

●地下鉄でGO!

 顔認証を巡る技術が広がりを見せている。株式市場において顔認証が注目され始めた13~15年当初は、東京五輪開催が決定したことに加え、訪日客の急増を受け空港などにおけるセキュリティー面での活用がクローズアップされた。最近では、オフィスやビルの入退場管理、出退勤管理、出入国審査や医療福祉分野へと用途が急速に広がりを見せており、本格的な実用段階に入り始めている。

 こうしたなか注目を集めたのが、大阪メトロが10日から開始した顔認証を用いた次世代改札機の実証実験だ。改札機に備えつけたカメラで顔を捉え、事前登録した顔写真データと照合・承認により改札ゲートを開閉する仕組みで、これを受け株式市場でも顔認証関連株に再び注目が集まることになった。この実証実験には、高見沢サイバネティックス <6424> [JQ]、日本信号 <6741> 、オムロンソーシアルソリューションズ(東京都港区)、東芝インフラシステムズ(川崎市幸区)の4社が参加。4駅にそれぞれ異なる改札機を試験導入することで機能性、利便性やデザインについて比較検証を行っている。高見サイは同日急伸し一時205円高の1545円まで買われたほか、関連銘柄の一角にも物色の矛先が向かい、顔認証への関心の高さを改めて意識させることになった。

 顔認証技術に関してはNEC <6701> 、パナソニック <6752> などの大手が抜きんでた格好で動きを強めているが、その狭間で“小粒でもピリリと辛い”企業が、いま存在感を高めている。

●自治体支援でジャパンシステム

 ジャパンシステム <9758> [JQ]は、11月6日に「奈良県における働き方改革をセキュリティー技術で支援」したと発表。認証セキュリティーソリューション「アルカクラヴィス ウェイズ」の顔認証などを用いたセキュリティーを組み合わせ、安全で使い勝手の良いモバイルワーク環境の整備を支援。これにより、職員の負荷軽減や業務効率の向上、自然災害時などに支援先での業務を強固なセキュリティーを保ちながら実現できるようになったという。モバイルワーク端末の顔認証は今年1月から運用を開始している。自治体支援ソフトを主力の一つとする、同社ならではの取り組みといえ、今後の展開に注目が集まりそうだ。業績も好調だ。11月13日の取引終了後に第3四半期累計(1-9月)連結決算を発表し、営業利益が前年同期比4.4倍の6億6100万円と大幅増益となり、通期営業利益予想を上回って着地した。なお、通期予想は従来見通しを据え置いている。株価は9日に418円まで買われ年初来高値を更新した後に若干調整していたものの、直近は上値指向を見せており年初来高値回復を視野に入れてきている。

●ショーケースは「大手企業と差別化を図る戦い方」

 ショーケース <3909> も顔認証を用いた技術で攻勢を強めている。同社は17日、自社で開発提供する顔認証技術を用いたオンライン本人確認/e-KYCシステム「ProTech ID Checker」に関して、じぶん銀行(東京都中央区)のカードローン「じぶんローン」の申し込みシステムへの組み込み準備を開始したと発表。このサービスは、金融機関などの口座開設、チケット購入サイトの会員登録時の本人確認手続きがWebブラウザ上で簡単に行うことができるというもの。従来の本人確認手続きは、公的書類を郵送で提出する方式だったため手続きに数日を要していた。今回、じぶん銀行が提供するカードローン「じぶんローン」の申し込み手続きフローに採択され、20年4月1日リリースをメドに両社で準備を開始した。会社側では、顔認証分野について「魅力のある市場で、展開を強めていく方針だ。大手企業と差別化を図る戦い方で勝負をしていく。大手がスケジュール面などを含め、対応しにくい分野などに向けてセールスを行っていきたい」(経営企画部)と話す。17日の「じぶん銀行」との発表を受け急動意する場面もあったが、株価は底値圏からの離脱模索の状況だ。

●DDS、教育ICTでも活躍期待

 また、指紋認証など生体認証技術に強みを持つディー・ディー・エス <3782> [東証M]は、8月29日に同社が手掛ける万能認証技術基盤「Themis(テミス)」の生体認証に顔認証を追加しバージョンアップしたことを発表した。ウインドウズへのログオン機能だけでなく、海外の教育現場で高い評価を受け、日本の教育現場でも採用が進んでいるChromebookにも対応したもの。これまで生体認証の認証要素としてサポートしている指紋、指静脈、手のひら静脈に加え、新たに端末搭載のカメラを利用する顔認証機能を搭載したという。国が強力に後押しする教育ICT化が、ここ急速に株式市場でも注目を集めており、セキュリティー分野での活躍期待が高まる可能性もある。

●ネクストウェアに“顔認証感応度”

 ネクストウェア <4814> [JQ]は11月12日、後場取引時間中にアジア最大級の国際マーケティング・カンファレンス「アドテック東京2019」(11月27~28日開催)の公式セッションへの入場に、AI顔認証システムを導入することになったと発表し株価を強く刺激した。これを受け、同日には急伸し上ヒゲで前日比38円高の280円まで買われた。現在は260円近辺で推移するが、“顔認証感応度”の高さもあり、今後も折に触れて物色の矛先が向かいそうだ。

●USENHD、医療機関向けでキラリ

 USEN-NEXT HOLDINGS <9418> にも注目。同社は傘下に置くアルメックス(東京都品川区)を通じ医療機関向けに顔認証で受付や精算ができる次世代受付機などを開発している。業績も好調、株価は6月初旬につけた年初来安値698円を底に反転攻勢、上昇波動に乗り今月20日には1431円まで買われ年初来高値を更新している。そのほかでは、サクサホールディングス <6675> 、ソリトンシステムズ <3040> なども関連株の一角として目を配っておきたい。

●切り口多彩なグローリー

 グローリー <6457> といえば、貨幣処理機大手で株式市場では「カジノ関連」の一角として注目されているが、顔認証分野でも存在感を高めている。同社は7~8月に、「顔」と「声」を組み合わせた「手ぶら決済サービス」の実証実験を行い、社員約500人を対象に東京および姫路の社員向けコンビニなどで実施した。また、11月26日には介護・福祉施設向けに健康見守りサービスを展開するエコナビスタ(東京都千代田区)と協業し、介護・福祉施設向けに新たなソリューションを開発すると発表。グローリーの顔認証システムで無断離設を未然に防止したり、骨格認識技術で「転倒」姿勢・動作を検知し、事故を未然に防止するソリューションを開発するという。同社では「手ぶら決済サービスについては、現在は実証実験の結果をもとに開発に反映させ商品化を目指している。顔認証プラス声で、セキュリティー機能が一層高まり、有望な商品に成長すると考えている。また、介護・福祉施設に向けにさまざまな技術開発を進めるなど、新たな分野にも攻勢を掛けていく」(広報グループ)という。11月7日には、第2四半期累計(4-9月)連結決算を発表しており、営業利益が前年同期比28.6%増の90億1800万円となり、従来予想の営業利益55億円を大きく上回り、減益予想から一転して増益で着地している。

 顔認証関連株は、用途が拡大するなか理想買いから現実買いの局面に突入している。こうしたなか冒頭に登場した高見サイ、日本信号も鉄道に加え顔認証関連株の一角に浮上したといっても過言ではない。今後も、さまざまな業種・分野で顔認証技術の活用が期待されており、関連銘柄の注目場面が続きそうだ。

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