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【特集】カンロ Research Memo(4):リテールサポートが奏功し売上拡大中

カンロ <日足> 「株探」多機能チャートより

■事業概要

3. 営業面の強み
カンロ<2216>の主要販路は、古くから付き合いの多いスーパー(GMS含む)、提案力が試されるコンビニエンスストア、足元急成長中のドラッグストアの3つである。近年いずれの販路でも、同社の売上は順調に伸びている。好調の背景には、2016年12月期終盤にスタートしたリテールサポートの効果があると考えられる。リテールサポートとは、従来営業だけで取引先を訪問していたのを、営業をエリア別・チャネル別に再編成した上で、商品企画やマーケティングの担当者も同行し、営業の場であるにもかかわらず製品開発、キャンペーンを提案するなど、ソリューションの強化と時間の効率化を狙った取り組みである。

リテールサポート実質2年目の2018年12月期に、リテールサポート体制を支店ごとのエリア別・チャネル別の体制へと拡充した。このため、競争の激しいコンビニエンスストアで取引先とのきめ細かい情報交換や製品提案が可能となり、また、手薄だった地方スーパーに対しては戦略的な提案ができるようになった。さらに、2019年初頭に広域販売部内にドラッグストアチームを新設したことで、ドラッグストアの担当者間のノウハウ共有が進み、ドラッグストアに対する営業も積極展開できるようになってきた。こうした取り組みによって、スーパーで、ハードキャンディのメーカーを代表してスーパーと折衝するカテゴリーリーダーとなって棚づくりに主導的に参画、コンビニエンスストアでは、新形態のコンパクトタイプのキャンディによって売場を拡大、成長著しいドラッグストアでは、提案内容の充実を図ることができるようになっており、販売好調につながったと推測できる。

ちなみに、代表取締役社長の三須和泰(みすかずやす)氏を始めトップマネジメントに出身者が少なくない三菱商事<8058>だが、大株主(持分29.72%)でもあり、販売先の構成比で95%以上を占める取引先でもある。しかし、同社は製造から販売までを行う専業メーカーとして、実質的に独自の理念や戦略に基づいて行動している。一方、三菱商事の主な役割は、与信管理や新規取引先開拓のサポート、一部原材料の調達となっている。与信管理を三菱商事に任せることで同社は販売活動に専念しやすくなることから、三菱商事は同社にとって得難いパートナーであり、強みの1つと言えるだろう。

一方、同社に弱みがあるとすれば、市場参入は早かったもののシェアが取り切れていないグミ、使用シーンが拡大しているものの未参入の錠菓、ドラッグストアや地方スーパーでの出遅れ感ということになる。グミについては新グミラインが既に本格稼働しており、新規販路や地方販路はリテールサポートによって強化中である。こうした積極経営によって、セグメントとしてのグミ、販路としてのドラッグストアや地方スーパーのシェアは、今後大きく拡大していくことが予想される。錠菓については、「素材を活かす」という同社の考えに合わせづらいこと、飴とグミが好調なことなどから、当面は参入しない方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《YM》

 提供:フィスコ

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