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【特集】大塚竜太氏【企業の決算発表本格化へ、“気迷い相場”の行方】(1) <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―市場エネルギー不足の相場、上値追いの条件とは何か―

 週明け22日の東京株式市場は、相変わらずの薄商いのなか日経平均株価は再び軟化。ただ、下値を売り込む動きにも乏しく下げ幅は限定的だった。参院選はほぼ事前のコンセンサス通りの結果で、全体相場に与える影響は軽微。一方、今週後半から3月決算企業の今期第1四半期(4-6月)の決算発表が本格化する。決算絡みで個別に明暗を分ける動きとなりそうだが、全体としてはリスク回避に傾く可能性も否定できない。気迷い相場の行方と物色の方向性について、第一線で活躍する市場関係者に話を聞いた。

●「下値突っ込み場面は買い向かうスタンスで」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 東京株式市場は、売買代金に反映されているように盛り上がりに欠ける地合いが続いている。前週後半に日経平均は一気にボラティリティが高まったが、結局元の水準に戻して着地。週末400円を超える上昇でも売買代金は2兆円を下回る状況であり、アルゴリズム売買に振り回されただけの印象が強かった。

 この売買代金の低迷は外国人投資家が日本株に魅力を見いだせないことの表れでもある。参院選は事前の予想通り与党勝利の形で終わったが、投票率の低さを見ても分かるように国民の消費税引き上げに対する興味は低い、というより半ば諦めている感がある。しかし、外国人投資家にとっては、この消費増税は日本株を買えない理由として十分過ぎるインパクトがある。消費増税を実施するのであれば、それに見合う強力な経済政策が打ち出されることが株高の条件となる。

 7月末のFOMCでは0.5%の利下げの可能性は低くなった。これが外国為替市場ではドル安・円高を一服させる要因となっている。為替と日経平均の連動性は失われているとはいえ、過度な円高は相場の押し下げ要因となるだけに、今の日本株にとっては数少ないプラス材料だ。一方、これから本格化する企業の4-6月期決算発表にマーケットは身構えているが、全体で減益決算になることは既に織り込みが進んでいる。ガイダンスリスクなどを考慮しても、サプライズを伴うような売り圧力は顕在化しないであろう。

 ポイントは4-6月決算が企業業績面で底になるかどうかだ。3月決算企業の下期は回復色が強まるとの観測があるが、これを少しずつ裏付ける材料が出てくれば市場心理も改善の方向に向かう。また、米国株が再び最高値圏を走る展開になった場合、日本株も反応は鈍いながらもこれにキャッチアップする展開が期待できる。

 日経平均のレンジは向こう1ヵ月間をメドに2万500~2万2500円。投資スタンスとしては急な下げで2万1000円を割り込むような場面があれば、それはアルゴ売買の影響による部分が大きいとみて買い向かうのが実践的な手段だ。物色対象は、ここ世界的に見直し機運が膨らんでいる半導体関連が有力。東京エレクトロン <8035> 、アドバンテスト <6857> 、SUMCO <3436> などの動きに注目している。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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