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【特集】REITに続け、「金利低下」+「敵対的M&A」で要マークの不動産株7選 <株探トップ特集>

世界的な金利低下局面で不動産株にマーケットの視線が集まり始めた。好調な不動産市況を背景に実体価値に比べた割安感から再評価余地が高まりそうだ。

―オフィスビルの需給は逼迫、REIT指数も11年ぶり高値圏で注目度高まる―

 世界的な金利低下基調が強まるとともに、不動産株に対する注目度が高まっている。景気拡大で東京地区のオフィスビルは逼迫状態が続き、地価も上昇基調にある。好調な不動産市場を背景にREIT(不動産投信)市場は新高値圏に上昇している。とりわけ、この好調な不動産市場を背景に、日本では珍しい敵対的M&A(合併・買収)も発生。不動産関連株には実体価値に比べた割安さが指摘されるなか、再評価期待が高まっている。

●都心部の新築ビルはほぼ満室状態、大手不動産の業績は最高益基調

 不動産業界を巡る環境は良好だ。オフィスビル仲介大手の三鬼商事(中央区)によると、東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィスビルの5月の空室率は1.64%と月次数字の発表を開始した2002年1月以降で最低を記録。6月は1.72%とやや上昇したが、依然として低水準だ。都心の新築ビルはほぼ満室で、逼迫状態となっている。また、国税庁が1日に発表した路線価は全国平均で1.3%と4年連続で上昇。特に、東京都は4.9%の上昇と18年の4.0%から一段と上昇率がアップした。

 この追い風を背景に大手不動産会社の業績も好調だ。住友不動産 <8830> の20年3月期の連結経常利益は前期比7.7%増の2200億円と7期連続で最高益の見込み。三菱地所 <8802> の今期連結経常利益も前期比0.2%増の2070億円と微増ながら4期連続最高益が予想されている。同社は5月に大規模な自社株買いを発表したことも話題を集めた。

●相次ぐ敵対的M&A、実体価値に比べた割安感も顕著

 好調な不動産市況を背景にREIT市場も活況だ。東証REIT指数は11日に07年11月以来、11年8ヵ月ぶりに2000ポイントを突破した。米連邦準備制度理事会(FRB)を先頭に世界的な金融緩和機運が高まり、金利低下基調が続くなか高利回り商品のREITに投資資金が集まっている。足もとの金利の低下は有利子負債の大きい不動産株にとっても追い風に働くとの期待が強い。

 更に、不動産関連での敵対的M&Aが相次いで表面化したことも話題を集めている。エイチ・アイ・エス <9603> は10日、ユニゾホールディングス <3258> に対するTOB(株式公開買い付け)を発表。ユニゾHDの了承を受けずに行われる敵対的TOBとなることが関心を集めている。また、REITではスターアジア不動産投資法人 <3468> [東証R]の運用会社がさくら総合リート投資法人 <3473> [東証R]に対して合併提案を公表。J-REITで初の敵対的M&Aが成立するかが注目されている。不動産関連業界で敵対的M&Aが浮上している背景として、実体価値に対する割安感が指摘されている。

 今後の不動産関連株をみるうえでのポイントは、マンション販売は鈍化しないか、オフィスビル需給の逼迫状況は続くかなどだ。更に自社株買いの実施など株主還元の姿勢も問われそうだ。以下、不動産関連の注目銘柄を挙げた。

◎いちご <2337> ~不動産価値の向上やREIT運用、太陽光など発電事業を展開。第1四半期(3-5月)期の連結経常利益は前年同期比45.8%増の76億700万円と大幅増益。発行済み株式の2.05%の自社株買いも実施。

◎スター・マイカ・ホールディングス <2975> ~主に中古物件を大規模改修したリノベーションマンション事業を展開。リノベーションマンションは住宅ローンの金利低下もあり、需要は伸び業績も好調。

◎サムティ <3244> ~関西地盤の総合不動産ディベロッパー。第2四半期(18年12月-19年5月)の連結経常利益は前期比61.9%増の128億300万円と好調。通期業績予想に対する進捗率は約95%に達し増額修正期待が出ている。

◎GA technologies <3491> [東証M]~昨年7月に東証マザーズに新規上場。中古マンション流通プラットフォーム「RENOSY(リノシー)」の新規顧客数が増加傾向。19年10月期の連結営業利益は前期比53.5%増の10億4100万円と最高益の予想。

◎平和不動産 <8803> ~東京、大阪、名古屋、福岡の日本証券取引所の資産を保有、管理する不動産会社で日本橋兜町・茅場町再活性化プロジェクトを推進。主要テナント賃料は底打ちし、東証ビルの年間賃料引き上げも寄与へ。自社株買いも積極化。

◎ダイビル <8806> ~大阪と東京でオフィスビル事業を展開。中期経営計画で23年3月期の営業利益130億円(19年3月期は103億円)を目指す。PBR0.7倍台と割安。

◎京阪神ビルディング <8818> ~20年3月期の連結経常利益は前期比1.6%増の53億円と3期連続で最高益更新の見込み。増配や自社株買いなどによる株主還元も積極化。

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