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【特集】輝く高収益、“ROE10%超”内需好業績リスト〔第2弾〕27社選出 <成長株特集>

オリコン <日足> 「株探」多機能チャートより
 10日に配信した時価総額500億円以上の銘柄を対象とした「輝く高収益、“ROE10%超”内需好業績リスト〔第1弾〕」に続き、“時価総額80億円以上500億円未満”の小型株を対象とする「第2弾」をお届けします。

 本特集では、株主から預かった資金を使っていかに効率的に利益を出したのかを示す「ROE(自己資本利益率)」が高い銘柄にスポットライトを当てた(7月12日現在)。ROEが高く、かつROEの向上が続く企業は経営の効率化が進んでいると評価され、国内外の機関投資家が投資先候補に選定することが期待される。また、個人投資家の間でもROEの高さに着目して投資する動きが広がっており、ROEは重要な投資指標として注目度が高まっている。

 今回は世界景気の先行き懸念が強まるなか、外部環境の影響を受けにくい内需関連の好業績銘柄に照準を合わせた。下表では、サービス、情報・通信、食品、不動産といった内需セクターの3月期決算企業を対象に、(1)時価総額が100億円以上500億円未満、(2)20年3月期のROEが10%以上、かつROEが2期以上連続で向上を見込む、(3)今期の最終利益が増益見通し、(4)自己資本比率が20%以上といった条件を満たした27社を選び出し、今期ROEの前期実績に対する上昇幅が大きい順に記した。

 ROE上昇幅トップとなったのはIR(投資家向け広報)・SR(株主対応)活動を支援する専門会社のアイ・アールジャパンホールディングス <6035> 。案件の大型化などを背景に売上高営業利益率の上昇が続いており、20年3月期は予想ベースで33.4%を見込む。今期はアクティビスト(物言う株主)の活動が活発化するなか、実質株主の動向を把握するための実質株主判明調査や議決権関連業務が増加するうえ、M&A関連などの投資銀行業務も拡大し、最終利益は前期比28.1%増の12.5億円と8期連続で過去最高益を更新する見通しだ。配当性向が60%を超えるなど、株主還元に積極的なことも資本効率の向上につながっている。

 2位のグレイステクノロジー <6541> は産業機械の国内大手メーカー向けを中心にマニュアルの作成や管理・運用システムを提供している。同社も売上高営業利益率が30%を超える高収益企業だ。20年3月期はクラウド型マニュアル管理システム「e-manual」の販売が拡大し、最終利益は前期比30.7%増の4.9億円と5期連続の最高益更新を計画する。昨年12月にプロトタイプを発表したAI搭載の次世代マニュアル「Grace Vision」も今期から業績へ寄与する見通しだ。

 3位に入ったのは挙式・披露宴の企画と運営を手掛けるエスクリ <2196> 。20年3月期は最終利益が前期比34.5%増の14.5億円と5期ぶりに最高益を更新する計画を立てている。海外事業の先行費用や建築不動産事業の苦戦を見込むが、前期に開業した広島と渋谷のブライダル施設の通期寄与など、ブライダル事業の収益拡大で吸収する。業績拡大を踏まえ、配当は前期比4円増の16円と4期ぶりに増配する方針だ。指標面では予想PER6.0倍と割安感が強く、上値余地は大きいとみられる。

 4位のメンバーズ <2130> は大企業のWEBサイトを運用するデジタルマーケティング支援サービスを主力とし、急成長中のデジタル人材派遣事業を第2の柱とする。20年3月期はIT技術者の人材不足が長期化するなか、デジタル人材派遣の好調が継続するうえ、マーケティング支援の提供社数も増加し、最終利益は前期比29.2%増の8億円と2期連続の最高益更新を目指す。業績拡大に伴い、配当は前期比2.5円増の14円と8期連続で増配する計画だ。

 5位にリストアップされたオリコン <4800> [JQ]の19年3月期は2度にわたる上方修正を経て、最終利益は前の期比49.5%増の5.7億円に膨らんだ。顧客満足度調査事業で商標ライセンス利用の契約獲得率と単価が向上したことに加え、ニュース配信・PV事業における広告収入の増加も利益を押し上げた。20年3月期の同利益は前期比25.3%増の7.2億円に伸びる見通しで、11年3月期に記録した過去最高益7.9億円が視野に入る。今期配当は17円と前期から5円積み増すほか、6月には30万株(金額で3.6億円)を上限とする自社株買いの実施を発表。株主還元の強化も好感され、株価は13年2ヵ月ぶりの高値圏を快走している。

 8位のアルファポリス <9467> [東証M]はネットに投稿された話題の小説やマンガの出版を手掛ける。20年3月期は主力タイトル「ゲート」を筆頭にマンガの刊行点数を増やすうえ、電子書籍販売やレンタルもマンガを中心に拡大し、売上高は前期比12.5%増の56億円、最終利益は同18.8%増の10億円といずれも過去最高を更新する見通しだ。同社は17年3月期に上場来初の減益に陥ったが、マンガの急成長やゲーム事業の切り離しで高成長路線への復帰を果たしている。

 選出リストでは、「第1弾」に引き続き、旺盛なIT関連投資需要を追い風に収益を伸ばす情報サービス関連を中心に頑強な値動きを続ける銘柄が目立つ。ゴールデンウイーク10連休前の水準をクリアできない企業が多い中で強さが光っている。米中貿易摩擦などを背景に世界景気の先行き不透明感が増すなか、今後も高収益の内需関連株に目を配っておきたい。

           直近ROE  今期  ROE上昇 今期最終  予想
コード 銘柄名     上昇幅   ROE 連続期数  増益率   PER
<6035> IRジャパン   5.48 31.19     5   28.1  37.2
<6541> グレイス     4.62 33.82     2   30.7  72.4
<2196> エスクリ     4.19 19.83     2   34.5   6.0
<2130> メンバーズ    3.95 23.60     2   29.2  30.9
<4800> オリコン     3.18 27.28     6   25.3  26.2
<2445> タカミヤ     1.72 13.69     2   18.5  16.9
<6539> MSジャパン   1.62 19.93     2   16.5  28.8
<9467> アルファP    1.61 18.98     3   18.8  26.8
<6088> シグマクシス   1.55 23.05     5   15.5  24.3
<3937> Ubicom   1.54 26.21     4   20.4  44.8

<4333> 東邦システム   1.49 11.31     2   18.7  16.3
<3834> 朝日ネット    1.45 11.07     2   17.6  17.4
<2335> キューブシス   1.44 12.83     2   14.8  16.5
<4743> ITFOR    1.38 10.79     3   15.9  18.1
<4718> 早稲アカ     1.34 13.99     6   15.4  11.3
<6082> ライドオンE   1.03 13.96     2   9.8  17.1
<2883> 大冷       0.85 10.75     2   11.6  14.2
<2749> JPHD     0.72 13.54     3   13.2  21.2
<4662> フォーカス    0.67 10.22     3   6.4  13.8
<4734> ビーイング    0.61 14.91     2   10.4  16.7

<3857> ラック      0.58 15.04     2   9.9  26.3
<9639> 三協フロンテ   0.45 12.83     2   8.1   9.1
<8999> グランディ    0.26 10.51     2   6.5   6.3
<9600> アイネット    0.16 11.07     2   4.5  12.2
<3822> Minori   0.15 16.06     2   4.7  13.5
<3741> セック      0.10 11.05     3   4.4  29.2
<8935> FJネクスト   0.06 15.58     2   7.1   5.0

※対象条件について、「最終利益が経常利益の80%以上」の企業は、特別利益や税控除などにより一時的に最終利益がかさ上げされているケースが多いため、対象から除いた。

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