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【特集】AI&IoT“知の融合”、「覚醒する新世紀材料株」精選7銘柄 <株探トップ特集>

病院の電子カルテ導入、コールセンターのAI活用、建設や教育のIT化など国内の様々な業界で進化の動きが加速してきた。この新たな時代を担う大化け候補をエントリー。

―AI・IoTと伝統的商業モデルの融合、その担い手である究極の成長株を狙え―

 世界の株式市場はFRBの金融政策におけるハト派姿勢への傾斜で再び“適温相場”への期待感が高まっている。主要各国の中央銀行が軒並み利下げモードとなるなか、流動性相場を形成することへの思惑が膨らむ。

 ただ、日本株市場では弱気を唱える声が強いのも事実だ。売買代金の低迷は市場参加者不足を浮き彫りにしている。売買シェア7割を超える海外勢は、その半分をアルゴリズムをはじめとする人工知能(AI)取引に委ねているとの見方もあるが、予測不能な全体指数の動きに翻弄されることで、投資家は気勢を削がれる形となっている。12日の取引で東証1部の売買代金は9営業日連続の2兆円台割れとなったが、市場エネルギーの不足が投資家の資金離散を想起させ、これが弱気論の根底にあるといってもよい。

●黎明は静かに訪れる、新成長シナリオに勝機

 しかし7月第1週は外国人投資家が現物、先物ともに買い越した。現時点で日本株への投資を本格的に再開した印象はないが、黎明は静かに訪れるのが株式市場の常である。その気配を感じ取れるかどうかが投資家として大切な要素だ。とはいえ、今はまだ主力株の押し目を拾って、そのまま時を待つというスタンスで報われる確信が持てる段階にはない。ここは夜明け前の雰囲気を感じながら、個別テーマ株に照準を絞るのが投資戦略としては有効な選択肢となる。

 材料株物色の資金の回転速度は早くなっている点には注意が必要だが、引き続き企業の持つ成長シナリオに対する投資マネーの関心は高い。表面的には見えにくいが、現在のマーケットに底流している物色テーマはAIやIoTと伝統的商業モデルの融合であり、その担い手となる企業に買いの矛先が向いている。例えば、中小規模の病院への電子カルテ導入機運の高まりやコールセンターのAI活用、建設・土木あるいは教育分野のIT化推進などが挙げられる。AIやIoTとの知の融合により飛躍に向け新たな一歩を踏み出した業界が、日本には数多く存在する。今回はそれをビジネスチャンスとして捉える銘柄に光を当て、株価変貌の可能性を内包する7銘柄を厳選した。

●AI・IoTの新章突入で大化け期待の7銘柄

【バーチャレクスはAIソリューションで雄飛へ】

 バーチャレクス・ホールディングス <6193> [東証M]は急騰性に富んでおり、25日移動平均線との接触を契機に、持ち前の脚力を顕在化させる可能性がある。株価は6月中旬に急動意、連続ストップ高を交え18日には1200円台に乗せた。その後、調整を強いられたが、900円台を割り込んだ水準で売り物を吸収、再びエンジンがかかってきた。コールセンターの運営受託やシステム開発を手掛け、新規案件の開拓で売り上げは拡大傾向にある。傘下に有力企業を抱え、グループ展開力も評価される。そのなかAI分野に傾注、教育IT化で活躍が期待されている子会社のタイムインターメディアは、最適化問題のためのAIソリューション「進化計算ダーウィン」の提供を開始している。これは、兆単位の天文学的な組み合わせパターンの中から効率よく多様性のある少数パターンを生成、最適な選択肢を導き出すというもので、先端IT技術による有力ソリューションとして今後改めて脚光を浴びそうだ。昨年1月につけた1624円の高値が中長期目標ラインとなろう。<急騰性5・中期的上値余地3>

【チエルは教育IT化の急先鋒、株価大化けも】

 チエル <3933> [JQ]はここ急速に上値を追い年初来高値圏にあるが、昨年2月27日には2285円の高値に駆け上がった実績があり、その急騰習性と天井の高さは魅力となる。学校教育向けICT事業に特化しており、パソコンやタブレットを活用した双方向授業で優位性を持つ。クラウド型授業支援システムは米国を中心に海外にも積極展開している。これは米グーグルの「クローム」上で動作するシステムで、最新技術を融合させた教育IT化を担う急先鋒として今後存在感を高めそうだ。教育機関向けに好評を博しているeラーニングシステム「グレクサ」を企業向けにもリリースしており、業績拡大余地が一段と広がっている。20年3月期は営業利益段階で前期比2.7倍の2億1000万円と急回復、21年3月期も成長トレンドが続く。将来的にも教育IT化に向けた市場は大きく、株価もここから大きく化ける可能性を内包している。<急騰性4・中期的上値余地4>

【ビーイングは建設業界ITの担い手で青空相場へ】

 ビーイング <4734> [JQ]は6月下旬を境に急速に水準を切り上げているが、時価1100円台でのもみ合いは仕込み場となっている可能性が高い。建設業界向けに土木工事積算ソフト「ガイア」を販売するが、実力は業界トップクラス。同ソフトの新版「ガイア10」が好調で収益を押し上げているほか、見積・実行予算システム「ビーイングバジェット」も大手企業を中心に採用が進んでいる。19年3月期営業利益は前の期比2.2倍の高変化。20年3月期も前期比12%増の7億8000万円と2ケタ成長を見込む。株主還元にも前向きに取り組んでおり、年間配当は18年3月期に10円だったが、19年3月期は一気に23円に大幅増配、20年3月期は更に3円増配の26円を計画する。7月3日に上ヒゲでつけた年初来高値1243円を上抜けば2000年以来約19年ぶりの高値圏で、実質的な青空圏を突き進むことになる。<急騰性5・中期的上値余地3>

【ODKはAIと電子カルテが大相場の扉開く】

 ODKソリューションズ <3839> [JQ]は株価を変身させる可能性を秘めている。今は商い薄で目立たないが、昨年春には継続的な大商いのなかで株価水準を大きく切り上げた経緯がある。500円近辺で煮詰まりをみせている現在、大相場の扉を開く可能性が出てきた。大学入試や証券取引関連のビジネスプラットフォーム提供を主力とする独立系のシステム開発会社で機密性の高いデータの大量処理で優位性を持つ。AIを活用したサービスに注力し、急速に企業の採用が進むRPA市場にも積極的に踏み込む。業績は18年3月期営業利益が前の期比2.3倍、19年3月期も前の期比56%増と急拡大した。20年3月期についてはデータ移管業務の剥落に伴い会社側では25%減益を計画。しかし、これは同社の中期的成長余地を否定するものとは全く違う。今後は電子カルテ導入支援ビジネスが軌道に乗るほか、Web解析人工知能を提供する企業との協業など、AI関連ビジネスも加速していく。<急騰性3・中期的上値余地4>

【ファインデックスは電子カルテ関連の新たな星】

 ファインデックス <3649> は新値圏で上げ足に弾みがついており、ここからの上値余地は大きい。大学病院など大規模病院向けを主力に医療用汎用ファイルシステムを提供する。病院業界では大病院のシステム投資意欲が復活、中小医療機関のIT化も進み始めた。そのなか、同社は電子カルテ関連の新規案件獲得やリプレイスが好調で、業績を伸ばしている。直近では、キャノンメディカルシステムズと技術連携し診療現場向けソリューション開発を推進することを発表している。また、これに先駆けてクラウドバックアップ事業を展開するAOSデータと資本・業務提携し、ファインデックスの医療データ統合ソリューションと技術融合させ、協業体制で全国医療機関向けデータ支援サービスを進めている。19年12月期営業利益は前期比6%増の6億2900万円を計画するが、進捗率を考慮して増額の可能性がある。<急騰性4・中期的上値余地3>

【シミックHDはヘルスケアIoTで新境地】

 シミックホールディングス <2309> は2000円台近辺で売り物を吸収しているが、ここでのもみ合いは次の強力な上昇波形成に向けた踊り場となる公算大。中期スタンスで強気対処して報われよう。臨床試験支援ビジネスの大手で製薬会社向けに新薬の臨床試験受託が好調、高水準の受注残を武器に業績成長路線をひた走っており、再評価の機が熟している。東北大学と同社の100%子会社シミックヘルスケアが、ヘルスケアIoT機器の開発で協業をスタートさせている点が注目され、耳たぶの温度変化を用いた暑熱ストレス計測システムは、2020年の商品化を計画している。18年9月期営業利益は前の期比11%増と2ケタ成長を達成、19年9月期も前期比7%増の46億3000万円を計画しているが、一段の上振れが有力視される。株価は18年3月につけた3010円の高値を目指す展開が想定できる。<急騰性3・中期的上値余地4>

【コラボスは最新AIでコールセンター需要開拓】

 コラボス <3908> [東証M]は出来高流動性の低い銘柄ながら、意外な人気化素地があり要注目だ。クラウド型のコールセンターシステムの開発を手掛けるが、主力の電話交換機システム「エニプレイス」は需要の裾野が急速に広がっている。最新AI技術でコールセンター向けリアルタイム音声認識システムも6月にリリースしたが、これは「感情解析機能」と「自動チューニング機能」を搭載したもので、同技術は今後の同社の株価に強いインパクトをもたらす可能性がある。業績も伸び率こそ小幅ながら14年3月期以降増収増益基調を堅持しており、成長思惑先行のAI関連株が多いなかでその安定感も武器となる。株価は昨年1月下旬に1430円(分割後修正値)の高値をつけた後、約1年にわたり大幅な調整を強いられたが、今年に入り大勢トレンド転換、今年3月20日の高値925円を払拭して、4ケタ大台へと活躍の舞台を移行させそうだ。<急騰性4・中期的上値余地3>


◇AI・IoT「覚醒する新世紀材料株」セレクト7銘柄◇
 銘柄 <コード>      急騰性   中期的上値余地
シミックHD <2309>    ☆☆☆    ◆◆◆◆
ファインデックス <3649>  ☆☆☆☆   ◆◆◆
ODK <3839>       ☆☆☆    ◆◆◆◆
コラボス <3908>      ☆☆☆☆   ◆◆◆
チエル <3933>       ☆☆☆☆   ◆◆◆◆
ビーイング <4734>     ☆☆☆☆☆  ◆◆◆
バーチャレクス <6193>   ☆☆☆☆☆  ◆◆◆

※急騰性は☆が多いほど強く、中期的上値余地は◆が多いほど大きい

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