市場ニュース

戻る
 

【市況】S&P500 月例レポート ― 迫る「強気相場10周年」、過去最高値を視野に (2) ―


●企業業績

 ・時価総額で95%の企業が決算発表を終えた時点で、利益は下方修正されていた予想を上回り(この作戦は成功しました-ほぼ毎回のことですが)、売上高は予想より好調で四半期としての過去最高を更新する見込みです。これまでのところ、485銘柄が決算を発表し、事前予想を上回ったのが330銘柄(68.0%)、予想を下回ったのが121銘柄(24.9%)、予想通りだったのが34銘柄(7.0%)となっています。売上高では480銘柄中294銘柄が予想を上回りました(61.3%)。

 ・決算発表が峠を越す中で、第4四半期の営業利益は過去最高となった第3四半期と比べて15.3%減(投資に適用される新たな時価会計基準が導入されたことも影響)、前年同期比では3.5%増(第1~第3四半期累計は前年同期比28.6%増)になる見通しです。2018年通年の営業利益は前年比21.8%増(大半は減税効果)、2019年は同9.5%の増益が予想されています(市場参加者はこの予想を受け入れ始めています)。第4四半期の売上高は過去最高を更新する見込みで、前期比1.8%増、前年同期比5.4%増、2018年通年では前年比9.1%増が予想されています。増収減益の結果、第4四半期の利益率は過去最高だった第3四半期の12.13%から現時点で10.08%に低下し、2017年第4四半期の10.27%も下回っています。それでも、2018年第4四半期の予想利益率である10.90%は、依然として過去平均の8.12%(1988年以降)を大きく上回っています。

●個別銘柄

 ・世界最大の公開会社(浮動株調整前時価総額ベース)を競うレースでは、2月はMicrosoftが8,660億ドルで第1位、第2位はAppleで8,220億ドル、第3位はAmazonの8,020億ドルでした。指数ベースも同順で、浮動株調整後の時価総額はそれぞれ8,660億ドル、7,810億ドル、6,740億ドルでした。

 ・小売大手のWal-Mart(WMT)は、顧客の減少を発表した他の小売業者とは対照的に、年末商戦での力強い売上高を発表しました。

 ・iPhoneメーカーのApple(AAPL)と投資銀行のゴールドマン・サックス(GS)は、共同でクレジットカードを発行することを明らかにしました。このクレジットカードはiPhoneと連携し(全てのモデルに対応しているわけではありません)、マネー管理機能を備えています。

 ・食品・飲料メーカーのKraft Heinz(KHC)の株価は、会社予想を下回る企業業績、弱気の業績見通し、150億ドルに上るブランドの減損計上(非現金費用として処理される見通し)、38%の減配、さらに米証券取引委員会が同社の会計慣行を調査中との発表を受けて、2月に28.6%安となりました。

 ・General Electric(GE)はバイオテクノロジー事業をDanaher(DHR)に現金210億ドルで売却することを明らかにしました。

 ・小売企業のGap(GPS)は2つの公開会社に分社化することを発表しました。

 ・S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスはS&P中型株400指数構成銘柄であったAtmos Energy(ATO)とWabtec(WAB)をS&P500指数に追加し、EnCana(ECA)に買収されたNewfield Exploration(NFX)とGoodyear Tire & Rubber(GT)をS&P 500指数から除外しました。Goodyear Tire & RubberはS&P中型株400指数に追加されます。

●注目点

 ・米国の公的債務残高が初めて22兆ドルを超えました(S&P 500指数の時価総額は浮動株調整前ベースで24兆ドル)。

 ・2008年の金融危機時に投げ売り価格でMerrill Lynchを買収したBank of America(BAC)は、一部の事業からMerrill Lynchの名前を外して新たな名称に変更すると発表しました。

●利回り、金利、コモディティ

 ・米国10年国債の利回りは1月末の2.64%から上昇して2.72%で月を終えました(2018年末は2.69%、2017年末は2.41%、2016年末は2.45%)。

 ・英ポンドは1月末の1ポンド=1.3110ドルから1.3264ドルに上昇し(同1.2754ドル、同1.3498ドル、同1.2345ドル)、ユーロは1月末の1ユーロ=1.1448ドルから1.1369ドルに下落しました(同1.1461ドル、同1.2000ドル、同1.0520ドル)。円は1月末の1ドル=108.89円から111.38円に下落し(同109.58円、同112.68円、同117.00円)、人民元は1月末の1ドル=6.7004元から6.6937元に上昇しました(同6.8785元、同6.5030元、同6.9448元)。

 ・原油価格は1月末の1バレル=54.13ドルから上昇して57.25ドルで月を終えました(同45.81ドル、同60.09ドル、同53.89ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は1月末の1ガロン=2.343ドルから2.471ドルに上昇して月末を迎えました(同2.358ドル、同2.589ドル、同2.364ドル)。

 ・金価格は1月末の1トロイオンス=1,324.80ドルから1,314.70ドルに下落して月を終えました(同1,284.70ドル、同1,305.00ドル、同1,152.00ドル)。

 ・VIX恐怖指数は1月末の16.57から低下して14.78で月末を迎えました。月中の最高は17.89、最低は13.44でした(同25.42、同11.05、同14.04)。

●世界の株式市場

 ・世界の株式市場は1月に7.97%大幅上昇した後で、2月は2.59%上昇しました。2018年12月は7.36%の大幅下落でした。米国市場が引き続きアウトパフォームしており、米国市場の3.29%上昇を除外すると、グローバル市場は1.79%の上昇でした。過去3カ月間では、グローバル市場は2.61%の上昇となり、平均以下となった米国市場の1.42%を除けば、グローバル市場は4.03%の上昇でした。年初来、グローバル市場は10.76%上昇しており、米国市場の12.04%の上昇を除外すると、9.34%の上昇でした。過去1年間では、グローバル市場は3.14%下落しましたが、米国の3.03%の上昇を除けば、9.41%の下落でした。より長期的な指標は米国がアウトパフォームしていることを引き続き示しており、過去2年間のグローバル市場のリターンは米国(17.54%)を含めれば12.91%、米国を除くと8.04%、過去3年間のリターンは35.78%、米国(45.41%)を除くと26.03%でした。

 ・2月にS&Pグローバル総合指数の時価総額は1兆3,020億ドル増加し(1月は3兆7,680億ドル増、2018年12月は3兆9,770億ドル減)しました。米国以外の市場の時価総額は4,330億ドル増加し(1月は1兆6,390億ドル増、12月は1兆990億ドル減)、米国市場は8,700億ドル増加しました(1月は2兆1,290億ドル増、12月は2兆8,780億ドル減)。

 ・2月のまとめ

  ○世界の株式市場は2月に2.59%上昇しました。米国市場は3.29%上昇し、米国を除く世界市場は1.79%上昇しました。過去3カ月では、世界市場は2.61%上昇しました。米国の1.42%の上昇を除くと、4.03%上昇しました。年初来では世界市場は10.76%上昇し、米国(12.04%上昇)を除いた上昇率は9.34%となっています。過去1年間でみると、世界市場は3.14%下落し、米国を除いた下落率は9.41%となりました。

  ○新興国市場は2月に0.60%上昇し、過去3カ月では5.34%上昇、年初来では8.37%上昇、過去1年間では12.33%の下落となりました。

  ○先進国市場は2月に2.82%上昇(米国を除くと2.13%上昇)、過去3カ月では2.32%の上昇(同3.67%上昇)、年初来では11.04%の上昇(同9.62%上昇)、そして過去1年間では2.02%の下落(同8.61%下落)となっています。

 ・11セクター全てが上昇する中、セクター間のリターンのばらつきに変化はありませんでした(1月も全11セクターが上昇、2018年12月は全11セクターが下落)。パフォーマンスが最高のセクター(情報技術、6.63%上昇)と最低のセクター(一般消費財、0.65%上昇)の騰落率の差は5.98%で、1月の7.99%から縮小しました。年初来の騰落率の差は12.35%でした。

 ・新興国市場は2月に0.60%上昇しました。1月は7.72%の上昇でした。過去3カ月間のパフォーマンスは5.34%の上昇、年初来では8.37%の上昇、過去1年間では12.33%の下落となっています。過去2年間の騰落率は10.90%の上昇、過去3年間は35.78%の上昇となりました。

  ○2月は23市場のうち10市場が上昇しました。1月に上昇した市場数は22市場でした(12月は8市場)。上昇率が最も高かったのはギリシャで2月に9.22%上昇しました。年初来では13.18%上昇しましたが、過去1年間では25.44%の下落となっています。2番目がエジプトで2月は6.64%上昇、年初来は18.61%上昇、過去1年間では2.82%の上昇となりました。パフォーマンスが最低だったのはカタールで2月は6.12%下落しました。年初来では3.17%の下落でしたが、過去1年間では18.87%の上昇となっています。次いでパフォーマンスが振るわなかったのは南アフリカで、2月は4.98%下落しました。年初来では6.25%上昇していますが、過去1年間では24.15%の下落となっています。

 ・先進国市場は2月に全体で2.82%上昇し、米国を除く先進国市場のパフォーマンスは2.13%の上昇となりました。2月は25市場中の22市場が上昇しました(1月は25市場全てが上昇、2018年12月は25市場全てが下落)。

  ○先進国市場は2月に2.82%上昇しました。1月は8.00%上昇、2018年12月は7.85%下落しました。米国を除く先進国市場は2月に2.13%上昇しました(1月は7.33%上昇、12月は5.42%下落)。過去3カ月間のパフォーマンスは2.32%上昇(米国を除くと3.67%上昇)、年初来では11.04%上昇しました(同9.62%上昇)。過去1年間では2.02%の下落となりました(同8.61%下落)。

 上昇率が最も高かったのは香港で2月に5.62%上昇し、年初来でも13.56%上昇しましたが、過去1年間では0.79%の下落となっています。第2位はデンマークで2月に5.16%上昇し、年初来では9.77%上昇しましたが、過去1年間では8.61%下落しています。パフォーマンスが最も悪かったのは韓国で2月は1.54%下落しました。年初来では7.65%上昇、過去1年間では13.94%下落しました。次いでルクセンブルグが2月に0.30%下落しました。年初来では8.36%上昇しましたが、過去1年間では18.39%下落しています。

 注目すべき点として、英国は1月の7.70%上昇に続き2月も2.94%上昇しました(年初来では10.87%上昇)。日本は2月に0.19%上昇し(年初来では6.01%上昇)、ドイツは1.39%上昇しました(同8.28%上昇)。

「迫る『強気相場10周年』、過去最高値を視野に (3) 」へ続く

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均