【特集】大谷正之氏【下げ止まった日経平均、相場反転の可能性は】(3) <相場観特集>
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
―覆いかぶさる世界景気減速懸念、マーケットの行先―
週明けの東京株式市場は日経平均株価が5日ぶり反発に転じた。前週末までの4営業日続落で800円近い下げをみせていたこともあって、値ごろ感からの押し目買いを誘発したが、反騰力は弱く今のところ自律反発の域を出ていない。世界的な景気減速懸念が投資家心理を冷やしているが、ここからマーケットは一段と下値を試すのか、それとも立ち直って再び上値指向を取り戻すのか。1ドル=111円台を割り込むなど足もと円高に振れている為替動向も気になるところだ。今回は、株式市場の第一線で活躍する証券関係者2人と為替のスペシャリスト1人に今後の見通しを聞いた。
●「3月の下値固めを経て4月前半は戻り歩調に」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
今後の東京株式相場は、3月末に向けてはもみあい基調で下値固めの推移となりそうだ。これは、国内機関投資家からの期末を意識した持ち高調整の売りが想定される一方で、個人投資家などからは、バリュエーション面の割安に注目した押し目買いが入り、売り買いが拮抗する状態となるためだ。更に、米中貿易交渉の動向など不透明な外部要因も積極買いの妨げとなりそうだ。
ただ、4月新年度の特に前半は、戻り歩調に拍車が掛かりそうだ。1日の新元号の発表で、新時代への期待感などから慶祝ムードが盛り上がりをみせることが予想される。これは、株式相場にとっても追い風となりそうだ。ただ、10連休が接近する4月後半は、連休明けに3月期決算企業の業績発表が控えていることもあり、手仕舞い売りが先行することも予想される。今後1ヵ月程度の期間の日経平均のレンジは、2万500~2万1800円程度と見込んでいる。
個別銘柄では、下値抵抗力の強い銘柄として工作機械 大手のオークマ <6103> に注目している。工作機械は日本と欧米では、自動車や一般産業などで底堅い需要が続いており、20年3月期の業績も好調な推移が見込まれる。また、株価指標面でも、PER10倍台、PBR1.2倍水準と割安で、東証信用倍率は0.48倍と売り長で取り組み妙味もある。
二つ目は、制御・自動化機器大手のアズビル <6845> に注目。主力のビル向け制御機器の成長を牽引役に、20年3月期も最高益更新が見込まれる。株価は昨年10月30日、12月25日で二番底を形成し、順調な戻り歩調にある。三つ目は、首都圏を地盤に個別指導受験塾「TOMAS」を展開しているリソー教育 <4714> で、好調な業績推移を支えに、株価は極めて力強い上昇軌道を堅持している。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
株探ニュース