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【特集】リターン・リバーサル始動、「半導体・電子部品株」逆襲高へGO!<株探トップ特集>

米政府機関の再閉鎖は回避される方向となり、米中貿易摩擦問題も空中分解のリスクが後退。全般相場は再びリスクオンに向かう。フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)3分の2戻しで、東京市場の半導体・電子部品セクターにも見直し機運が台頭している。

―日経平均2万1000円の壁突破で意気上がる東京市場、米中摩擦緩和で出番到来―

 13日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比280円高の2万1144円で取引を終えた。米中を中心とする政治や経済面での不透明要因は多いものの、「2万1000円の壁」がついに突破されたことで、ここから株式市場が上昇基調を強めることへの期待は強い。米政府機関の再閉鎖懸念が後退したほか、米中貿易摩擦に対する警戒感が緩和したことが株価を牽引した。そんななか、昨年秋からの下げ局面で主役を演じた半導体や電子部品株に逆襲高余地を指摘する声が出ている。

●2つのリスク要因の懸念後退、海外投資家がショートカバー入れる

 日経平均株価が急伸した背景には、市場関係者が警戒する2つのリスク要因が回避されることへの期待が膨らんだことが大きい。一つは米政府機関の再閉鎖リスクの後退だ。これは「与野党が国境警備を巡る予算案で原則合意した」との報道で懸念が和らいだ。もう一つは米中貿易摩擦への警戒感が薄らいだことだ。トランプ米大統領は、米中通商協議が合意に近いなら、「3月1日の対中関税引き上げ期限の延期を否定しない考えを明らかにした」と伝えられた。特に、市場では米中貿易摩擦への警戒感は強いだけに、米中激突が当面、回避される可能性が浮上したことを前向きに評価した。

 こうしたなか、市場からは「外国人投資家からのショート・カバー(買い戻し)が相場を押し上げている」との見方が出ている。いちよしアセットマネジメントの秋野充成上席執行役員は「米中の交渉は3月に向けて、まだ予断は許さない」と指摘するものの「悪材料を意識し空売りをかけていた海外投資家は、足もとの情勢を見たうえで売りポジションをいったん閉じる動きを強めている」という。

●日経平均は一目均衡表の“雲”抜け達成、夏場に向け反騰期待も浮上

 米国を中心とする年初からの反騰の背景にあるのは、「過度な警戒感の後退」だ。 NYダウは12日時点で年初から17%上昇しており、昨年10月からの下げ幅の3分の2戻しを達成している。「NYダウは先行き最高値を更新することも予想できないわけではない。その場合、日経平均株価は61.8%戻しの2万2300円近辺まで上昇することはあり得る」と秋野氏は予想する。

 特に、日経平均株価は日足チャートで一目均衡表の雲の上限を抜けてきた。市場からは「不透明要因は多いが、状況次第で日経平均株価は夏場には2万4000円前後まで戻すかもしれない」(アイザワ証券・清水三津雄ストラテジスト)との声も浮上している。

 そんななか、いま市場で関心を集めているのが、「リターン・リバーサル戦略」だ。リターン・リバーサルとは、上がっていた株が下がり、下がっていた株が上がることで、“逆張りの投資手法”を指す。東京市場は、米国株式の下落の影響を受けたうえにリスク回避に伴う円高圧力にさらされたことで、米国を上回る下落を演じた。それだけに、日本株に投資することはリターン・リバーサルの手法に沿ったものともいえる。

●米SOX指数は最高値も視野、自社株買いの太陽誘電に続く動き出るか

 なかでも、注目されているのが 半導体・電子部品セクターだ。「他セクターに先駆け下落に転じ、他に先行して反発してきたのが半導体や電子部品の銘柄群だ」とSBI証券の鈴木英之投資調査部長は指摘する。半導体は、人工知能(AI)やあらゆるモノがインターネットにつながるIoT、車載用などに需要は拡大基調が見込め「スーパーサイクル」に突入したとの期待は強いものの、供給増による需給悪化懸念もあり、株価は昨年末まで下落基調を強めた。ただ、米国のフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は年初からは急反騰基調となり、足もとで下げ幅の3分の2戻しを達成。昨年3月の最高値1464.61の更新も視野に入ってきた。

 また村田製作所 <6981> やTDK <6762> といった日本の電子部品株にも反発機運が高まっている。NYダウや為替動向次第では今後の逆襲高への期待は膨らむ。鈴木氏は「半導体や電子部品セクターはiPhoneなどスマートフォン需要の伸び悩みや米中貿易摩擦の影響などをどう織り込むかが難しい」とみているが、「太陽誘電 <6976> のように積極的な株主還元に踏み切るような企業には再評価余地が膨らんでいる」ともみている。

 太陽誘電は、自社株買いと増配で株主に対する積極的な利益還元を発表したことが好感され、株価は急伸した。太陽誘電や同じく株主還元に積極的な東京エレクトロン <8035> などのように自社株買いや増配に踏み切る企業が続くことが待たれている。半導体では、SCREENホールディングス <7735> 、東京応化工業 <4186> 、フジミインコーポレーテッド <5384> など、電子部品ではSMK <6798> やアルプスアルパイン <6770> 、イビデン <4062> など自社株買いの実績があったり、実施を公表したりしている企業などにも注目したい。

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