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【特集】大谷正之氏【強気と弱気が交錯する早春の株式市場の展望は】(3) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―日経平均は急落後に急反騰、2万円トビ台乱高下の先―

 12日の東京市場は日経平均株価が急騰し、前週末の波乱安を帳消しにしてお釣りがくる戻り足を演じた。なかなか先行きが見通しにくい相場環境にあり、投資家心理も日替わりで楽観と悲観の間を行き来するような状況にある。「節分天井・彼岸底」の相場格言も意識されるなかで、ここから3月に向け日経平均はどういった軌跡を描くのか。強気と弱気が交錯する早春の株式市場の展望、そして足もと円安に傾く為替の動向についてそれぞれの分野の専門家に話を聞いた。

●「米中貿易協議の動向巡り波乱展開も」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 目先的には、10-12月期決算発表の内容を評価しながらの個別銘柄物色が継続しそうだ。ただ、米中貿易交渉の3月1日の期限前に首脳会談が実現しない可能性が強まったことで、株式市場にとって不安定さが増している。3連休明け12日の日経平均株価は、500円を超える大幅反発となったものの、2月末にかけて米中貿易問題は大きなヤマ場を迎えることになり、その動向次第で日経平均も波乱展開となる可能性がある。

 発表済みの10-12月期決算の結果を見ると、19年3月期通期業績を下方修正するケースが目立ったものの、株価面では既に昨年12月の日経平均急落局面でかなりの部分を織り込んでいると判断できそうだ。また、3月に入ると3月期決算銘柄を対象とした期末配当取りの動きが活発化して、全体相場の下支えとなる可能性がある。今後1ヵ月程度先までの日経平均のレンジは、下値では2万台を割り込む懸念は残る。一方で、上値は2万1000円を目指すことになりそうで、この水準を突破すれば一気に2万1700円まで上昇する期待もある。

 個別銘柄では、オリエンタルランド <4661> に注目したい。同社の19年3月期第3四半期累計業績は、東京ディズニーランド開園35周年イベントや新規アトラクション、シーズンイベントなどが寄与して入園者が過去最高を更新したことで、売上高、利益ともに過去最高を記録した。中期的には、20年春のスタートが予定される映画「美女と野獣」をテーマにした大型アトラクションのオープンや、21年度の開業を目指す新ホテル(約600室)開業などが寄与してくる見通しだ。

 次に注目したいのはセック <3741> だ。同社は、モバイルネットワーク、インターネット、社会基盤システム、宇宙システムの4つの事業領域で、IoTAI、ロボット向けのリアルタイムソフトウェアを開発・提供している。モバイルネットワークでは、移動体通信事業者向けサービスの開発が好調に推移し、インターネットでは、非接触IC搭載ソフトウェアの開発が増加している。更に、コネクター大手のヒロセ電機 <6806> にも注目したい。同社は6日に19年3月期の業績見通しを下方修正したものの、株価面では既に織り込み済みと受け止める動きとなっており、チャート妙味が継続している。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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