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【特集】石川久美子氏【強気と弱気が交錯する早春の株式市場の展望は】(2) <相場観特集>

石川久美子氏(ソニーフィナンシャルホールディングス 金融市場調査部 シニアアナリスト)

―日経平均は急落後に急反騰、2万円トビ台乱高下の先―

 12日の東京市場は日経平均株価が急騰し、前週末の波乱安を帳消しにしてお釣りがくる戻り足を演じた。なかなか先行きが見通しにくい相場環境にあり、投資家心理も日替わりで楽観と悲観の間を行き来するような状況にある。「節分天井・彼岸底」の相場格言も意識されるなかで、ここから3月に向け日経平均はどういった軌跡を描くのか。強気と弱気が交錯する早春の株式市場の展望、そして足もと円安に傾く為替の動向についてそれぞれの分野の専門家に話を聞いた。

●「政治要因に左右される展開に、プラス作用なら112円復帰も」

石川久美子氏(ソニーフィナンシャルホールディングス 金融市場調査部 シニアアナリスト)

 為替市場は、良くも悪くも政治要因に左右される展開が続きそうだ。

 ドルは1ドル=110円半ばへのドル高水準にあるが、この日は米政府機関の再閉鎖が回避されるとの期待もドル買い要因に働いた。ただ、メキシコ国境への「壁」建設はトランプ大統領の公約に絡んでいるだけに、本当に米政府の再閉鎖が回避されるのか、まだ状況を確かめる必要がある。また、米中貿易協議に関しても3月1日の期限をもって米国が対中関税に踏み切るのか、あるいは協議を継続するのか、どう転ぶか分からない状態だ。

 米国の金融政策に関しては、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がハト派姿勢を示していることはNY株高につながり、それがドル高をもたらす状況にある。

 こうしたなか、今後1ヵ月程度のドル円相場のレンジは1ドル=105~113円を想定する。チャート的には、ドルは90日移動平均線(111円半ば)に近づいている。政治要因がプラスに働き、ドルが90日移動平均線を上回ってくれば112円復帰から113円を意識する展開もあり得るだろう。一方、政治要因が期待外れとなれば、足もとのドル高の潮目が変わり105円への下落も想定される。

 欧州に景気の下振れ懸念が浮上するなか、ユーロは軟調地合いが予想される。想定レンジは1ユーロ=1.1120~1.1500ドル前後。トレンドはユーロ安だろう。

 3月末の英国の欧州連合(EU)からの離脱期日が迫ってきたが、今後の展開は全く読めない。「合意なき離脱」となった場合、世界経済の波乱要因となる可能性もあるだけに、その動向は注視する必要がある。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(いしかわ・くみこ)
商品先物専門紙での貴金属および外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社。外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から研究員として外国為替相場の調査・分析。レポートや書籍、ブログなどの執筆、セミナー講師、テレビ、ラジオなどのコメンテーターとして活動。2016年11月より現職。外国為替市場の調査・分析業務を担当。

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