市場ニュース

戻る

【特集】“不眠大国”返上へ、19年相場「スリープテック関連株」目覚めの時 <株探トップ特集>

40代の2人に1人が睡眠に不満を抱える時代、睡眠を支援するビジネスが本格的に立ち上がりつつある。生産性低下や生活習慣病の原因となる睡眠不足をどう解消するか、日本企業の新たな挑戦が始まっている。

―睡眠不足を原因とした経済損失は実に15兆円、社会問題解決に向け動きだす企業群を追え―

 テレビ情報番組で取り上げられるなど、睡眠の質をテクノロジーで改善する「SleepTech(スリープテック)」に関心が高まっている。睡眠の重要性が指摘されるなか、関連する書籍が人気を集めているほか、快眠のための枕やマットレスなどの商品が相次いで販売され、最近ではセンサー技術を活用したサービスなども登場している。日本は世界有数の“不眠大国”ともいわれており、2019年は「スリープテック」が注目キーワードとして浮上する可能性がありそうだ。

●2人に1人が睡眠に不満を抱える

 睡眠は心身の健康を保つうえで非常に重要な要素のひとつだが、忙しい現代人にとって満足できる睡眠時間を確保することは難しい。厚生労働省が9月に発表した「17年の国民健康・栄養調査」によると、1日の平均睡眠時間が6時間未満にとどまる人の割合は増加傾向にあり、男性は36.1%、女性では42.1%。年齢別では40代が最も高く、それぞれ48.5%、52.4%となっており、これは働き盛りの世代であることや、育児・家事で忙しいことなどが背景にあるとみられる。

 また、スリープテック事業を展開するニューロスペース(東京都千代田区)が17年に行った20~50代の男女800人を対象にした調査では、半数以上が自身の睡眠に何らかの不満を抱えていることや、睡眠の満足度が日中の生産性に影響を及ぼしていることが明らかとなった。睡眠不足の原因では、働き方改革が徐々に浸透しているにも関わらず「帰宅時間の遅さ」を挙げる声が多く、次いで「ベッドや布団に入ってからのスマホ」、「起床を早くする必要性(通勤・通学に時間がかかるため)」などとなっている。スマートフォンの普及により、寝ながらスマホが睡眠を阻害している事例が増えてきている。

●従業員向け勉強会の開催相次ぐ

 不眠症や過眠症、体内時計の障害などの悩みを持つ人は増える一方だが、睡眠不足は集中力の低下を招くだけでなく、高血圧や糖尿病、動脈硬化といった生活習慣病の原因につながる恐れがあり注意が必要だ。米国のランド研究所が16年に発表した調査では、日本における睡眠不足を原因とした経済損失は約15兆円とされ、企業の生産性に大きな支障をきたす社会問題となっている。

 こうしたなか、ユーグレナ <2931> や住友商事 <8053> などが従業員を対象とした睡眠に関するセミナーを開いたり、ホープ <6195> [東証M]が「ビジネス×睡眠」と題した勉強会を開催したりと企業の意識が高まっている。また、花王 <4452> が生活リズムと睡眠との関係を解明したほか、機能性表示食品「賢者の快眠 睡眠リズムサポート」を販売する大塚ホールディングス <4578> が久留米大学などと「目覚め方改革プロジェクト」を立ち上げるといった動きもみられている。

●ARMは睡眠問題解消アプリを買収

 今後の成長が期待できる分野として睡眠関連市場が注目されるなか、さまざまな企業が多様な視点でアプローチしており、アドバンテッジリスクマネジメント <8769> はアカツキ <3932> の睡眠問題解消アプリを買収。同社はこれをカスタマイズし、19年春にリリースする予定だ。

 また、東京ガス <9531> は11月、バイオ&IT企業のエコナビスタ(東京都千代田区)と睡眠状態のセンシング及びデータサイセンス技術をもとにしたサービスの共同開発で合意。10月にはANAホールディングス <9202> とニューロスペースが共同開発する海外渡航者向けの「IoTを活用した時差ボケ調整システム」が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に採択された。

●MTGはAIモーションマットをリリースへ

 これ以外では、帝人 <3401> がウェアラブルデバイスやウェブアプリなどを活用することで睡眠力の向上を図る「Sleep Styles 睡眠力向上プログラム」を展開しているほか、朝日ラバー <5162> [JQ]は簡易睡眠ポリグラフ検査用着衣型ウェアラブルシステムの開発を推進。

 凸版印刷 <7911> はシート型生体センサーを使って睡眠の質を解析できる「SensingWave 睡眠見守りシステム」を販売し、NTTドコモ <9437> 子会社のドコモ・ヘルスケアは睡眠マネジメント力の習得をサポートする「my sleep」を提供。MTG <7806> [東証M]は19年秋に睡眠の質を高める「AIモーションマット」をリリースする計画を打ち出している。

 一方、こうした動きを迎え撃つかたちとなる寝具メーカーでは、西川産業(東京都中央区)が3月からパナソニック <6752> と睡眠関連サービスの共同開発をスタート。

 ベッドメーカーのパラマウントベッドホールディングス <7817> は11月に東京大学工学系研究科電気系工学専攻教授の染谷隆夫氏と、最先端のセンサー技術を活用した機器の開発・販売や情報サービスを提供する合弁会社を設立した。

 また、フランスベッドホールディングス <7840> は同月から、海外製の非装着型の睡眠センサー「RestOnスリープトラッカー」及び睡眠連動型ライト「Noxスリープライト」の取り扱いを開始している。

株探ニュース

日経平均