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【特集】大復活に乗れ、逆風切り裂き10年超ぶり“最高益&上方修正”銘柄リスト <株探トップ特集>

今期業績見通しに慎重姿勢を強める企業が増えるなか、好調見通しを打ち出す企業の価値は高まっている。そのなかでも上方修正を行い、かつ10年以上ぶりに最高益となる見通しの“大復活”銘柄に注目した。

―慎重見通し大勢のなかで輝き、高まる業績好調銘柄の価値―

●倍増した“下方修正銘柄”、鈍化した伸び率

 上場企業は今期業績見通しに対する慎重姿勢を強めている。10月1日から11月20日までの期間に通期計画を変更した企業を調べたところ、経常利益予想を下方修正した企業の数は466社と昨年の同じ時期と比べ2倍以上に膨らんだ。米中貿易摩擦の激化をはじめ世界景気の先行きに不透明感が増していることに加え、足もとの業績も伸び悩んでいることなどが企業マインドを下押しする要因となっている。

 「株探」集計では、3月期決算企業の直近3ヵ月実績である7-9月期(第2四半期)の増益率は経常利益ベースで5%だった。10%を超えていた4-6月期から伸び率が鈍化しており、これまで拡大基調が続いていた企業業績に減速感が出ていることをうかがわせる。輸出関連企業では中国の設備投資需要に陰りが見え始めた影響が大きかったほか、内需関連では豪雨や地震といった自然災害、人件費や原材料コストの上昇などが利益を圧迫した。

●慎重見通し多数で脚光あびる大復活への上方修正企業

 一方、こうした逆風下で上方修正に踏み切った企業に目を向けると、自動車の電装化や想定為替レートを上回る円安進行が追い風となる輸出関連のほか、値上げの浸透や構造改革の進展で収益力が向上する企業が目立つ。今回は業績上方修正を発表した企業のうち、数年ぶりに最高益更新を見込む“大復活”銘柄に注目した。最高益更新の間隔期数が多い企業は利益成長が長期停滞を脱した企業といえ、成長路線への復帰が期待される。買い一巡後に利益確定売りに押されている銘柄もあるが、相場環境が好転した際は再び注目される可能性が高い。目先の押し目は拾い場としてマークしておきたいところだ。

 以下では、本決算月にかかわらず、10月1日から11月20日に通期の経常利益予想を上方修正した391社の中から、上方修正によって“10期以上ぶり”に最高益を更新する見通しとなった7社をリストアップし、最高益更新の間隔期数が多い順に追っていく。

●キクカワ27年ぶり大復活へ、ハウス食品は好業績内需株で株価頑強

 最高益の間隔期数が最も大きかったのは、設備機械メーカーのキクカワエンタープライズ <6346> [東証2]。同社は11月9日、19年3月期の経常利益を従来予想の12億7000万円から18億7000万円に大幅上方修正し、1992年3月期に記録した過去最高益を実に27期ぶりに塗り替える見通しとなった。建築関連や設備投資需要の高まりを背景に、木工機械、工作機械ともに販売が好調なうえ、原価低減や経費削減、工場の稼働率向上による採算改善も利益を押し上げる。同社株は流動性が低く好材料が出ると急騰しやすい特性を持ち、修正発表後にストップ高まで買われた経緯がある。次はここ4年連続で上方修正している2月に、再び上振れするか期待が高まりそうだ。

 2位のハウス食品グループ本社 <2810> は11月1日に19年3月期中間期(4-9月)決算を発表。国内でレトルトカレーが伸びたほか、海外では中国向け業務用カレーやタイ向け機能性飲料の販売が急増した。また、マーケティングコストを抑制したことも寄与し、経常利益は前年同期比18%増の94億2300万円に膨らんだ。足もとの好調な業績を受けて、通期の同利益予想を25期ぶりの最高益に上方修正し、年間配当も過去最高の44円に積み増した。これがポジティブサプライズとなり、発表翌日の株価は4ヵ月ぶり高値まで一気に跳ね上がった。その後も全体軟調相場が続くなか、好業績の内需関連株として上値指向をキープしている。

●三井倉HD、NJS、ホロンは指標面で割安感強く買い戻しに期待

 3位となったのは倉庫大手で物流事業を主力とする三井倉庫ホールディングス <9302> 。19年3月期中間期(4-9月)は国内外の複合輸送サービスや自動車関連部品の航空輸送案件などの受注が増えたうえ、販管費などのコスト削減も進み、経常利益は前期比52%増の55億4100万円に拡大して着地。これを踏まえ、通期の同利益予想を23期ぶりとなる最高益に33%上方修正した。併せて、2期ぶりに復配する方針としたことも発表している。

 4位のNJS <2325> は上下水道を中心とした水インフラ整備の調査・設計・施工管理からコンサルティングを展開するほか、関連ソフトの開発も手掛ける。同社は11月8日、18年12月期の経常利益予想を20期ぶりの過去最高益に上方修正した。主力の国内上下水道事業が好調に推移するなか、生産性向上による原価削減効果で採算が上向く見通しとなった。

 5位に入ったホロン <7748> [JQ]は半導体製造に必要なフォトマスクとウエハーの検査・測定装置メーカー。同社は11月6日、19年3月期の経常利益予想を16期ぶり最高益に80%上方修正するとともに、期末一括配当を前期の3倍となる15円に増額修正した。半導体製造大手が半導体回路の微細化を推し進めるなか、フォトマスクのパターンを測定する最新鋭の超微細寸法測定装置や欠陥検査装置の販売が想定以上に伸びる見込みだ。三井倉HD、NJS、ホロンはいずれも予想PER10倍前後と割安感が強く、水準訂正余地の大きい銘柄として注目したい。

●共同PRは記事内広告、応用技術は建築設計ソフトと防災コンサル絶好調

 6位にリストアップされたのは国内最大級の総合PR会社である共同ピーアール <2436> [JQ]。11月9日に発表した18年12月期第3四半期累計(1-9月)の経常利益は3億5000万円と前年同期を2.6倍も上回って着地。大型コンテンツ契約の受注を獲得したほか、スポーツイベントへの協賛広告など記事内広告の出稿も大きく伸びた。業績好調を踏まえ、通期の経常利益予想を従来予想の2億9500万円から4億0900万円に大幅上方修正し、12期ぶりに最高益を更新する見通しとなった。

 7位の応用技術 <4356> [JQ]は11月8日、18年12月期の経常利益が前期比67%増の2億8400万円になりそうだと発表した。経常利益を期初予想から40%上方修正し、07年12月期に記録した最高益を11期ぶりに更新する計画だ。堅調な受注動向や完了した案件の利益率向上が上振れの要因となる。足もとではゼネコンや設計事務所から建築設計ソフトの引き合いが旺盛なうえ、防災・減災分野のコンサルティングでは耐震解析業務や河川氾濫解析業務の受注が増加基調にある。1-9月期実績の修正した通期計画に対する進捗率は92%に達しており、一段の上振れも期待できそうだ。

◇“10年超ぶり”大復活に上方修正した7銘柄

             最高益   ┌─ 経常利益 ──┐  予想
コード 銘柄     間隔期数 上方修正率 修正前 修正後  PER
<6346> キクカワ    27     47.2   1270  1870  4.5
<2810> ハウス食G   25      8.9  18000  19600 34.0
<9302> 三井倉HD   23     32.8   6400  8500 10.0
<2325> NJS     20     60.6   1650  2650  9.1
<7748> ホロン     16     79.8    377   678 11.1
<2436> 共同PR    12     38.6    295   409 16.3
<4356> 応用技術    11     39.9    203   284 18.2

※単位:経常利益は百万円、上方修正率は%、予想PERは倍

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