【特集】反発探る“中小型株”と“9月IPO”の行方、マザーズ底打ち感は本物か? <株探トップ特集>
厳しい下落が続いた東証マザーズ指数に、底打ち感を指摘する声が聞こえ始めた。9月IPOとともに、中小型株復活の行方を探った。
―中小型株復活はメルカリ、MTG、ミクシィ底打ち必要か―
日経平均株価は28日、一時2万3000円台に乗せ6月中旬以来、2ヵ月ぶりの水準を回復した。ただ、買い一巡後は上昇幅を縮小させ、先行きに強弱感が対立する状況が続く。そんななか、市場の関心を集めるのが中小型株だ。東証マザーズ銘柄などが今夏に向け厳しい下げを記録したが、足もとでは反発を探る状況にある。そして、9月は13社のIPO(新規株式公開)が登場する。IPOを含む中小型株は本格反騰に向かうのか――。
●東証マザーズ指数は1000回復、メルカリがセンチメント左右
東証マザーズ指数は今年1月下旬に1367.86の高値をつけた後、下げ基調を強め、今月16日には932.07まで下落。高値からの下落率は3割に達した。ただ、足もとでは反発し1000ポイントを回復している。
中小型株の不振の理由に関して、あるアナリストは「年初からの金利上昇で外国人が中小型株に売りを出したこと。また、今年のIPOでは初値は飛ぶ銘柄が目立ったが、上場後のセカンダリー(流通)市場での上値が重かったことも中小型株がさえない要因となった」と分析する。中小型株は一方通行となりやすく、地合いが軟調となるなか個人投資家による見切り売りが膨らんだとみられる。
さらに、今年6月に鳴り物入りで登場したメルカリ <4385> [東証M]の不振も響いた。公開価格(3000円)を67%上回る5000円で初値をつけたが、足もとでは3500円近辺の水準にある。ただ、「メルカリの公開価格近辺の株価はさすがに割安では」(市場関係者)との見方も少なくない。マザーズ指数への寄与度トップのメルカリ、今年7月に新規上場したMTG <7806> [東証M]、それにミクシィ <2121> [東証M]などの下値が確認できれば、中小型株全般も反発に転じる可能性がある。東証マザーズ指数からみた場合、「状況にもよるが、今月の安値が当面の底になるのではないか」(前出のアナリスト)との期待も出ている。
●9月は13社登場と今年2番目の水準、目立つみずほ主幹事銘柄
そんななか、来月6日からはベビー・子供服を手掛けるナルミヤ・インターナショナル <9275> [東証2]を皮切りに9月のIPOが本格化する。特に28日には、アパレル大手のワールド <3612> が13年ぶりに再上場することが話題を呼んでいる。
来月は13社の新規上場が見込まれており、そのうち東証マザーズが7社、ジャスダックが4社、東証2部が1社、東証1部あるいは2部が1社という内訳だ。また、みずほ証券の主幹事案件が7社と目立つ。
9月は、3月(14社)に続くIPOが登場する見通しだが「全体的には地味目の印象」(アナリスト)との声が出ている。相場環境次第では、公開価格を下回る初値割れを警戒する見方もあり、個別銘柄ごとのパフォーマンスには大きな差が出る可能性もある。
●ナルミヤなど再上場、大型銘柄には慎重姿勢も
9月IPOで知名度が高いのは再上場となるナルミヤ・インターナショナルとワールドだ。ただ、ともに業態はアパレル関係と地味なうえに「再上場銘柄は、ファンド絡みが多く人気は限定的となることが少なくない」(同)という。ワールドは、想定発行価格から弾いた時価総額は1300億円前後の大型IPOとなる。
また、ナルミヤの発行価格は29日に決まる予定だが、仮条件は想定発行価格を大きく下回る水準で提示されたことから、来月6日のIPOに向けた動向が注目されている。来月27日に東証マザーズに上場するSBIインシュアランスグループ <7326> [東証M]も上場時の時価総額は500億円近い規模が見込まれており、ワールドに続く大型銘柄となることも関心を集めている。
●and factory、BBSec、フロンティアMなど
一方、市場で期待が高いのは、6日に東証マザーズに上場するand factory <7035> [東証M]、21日にマザーズに上場するイーエムネットジャパン <7036> [東証M]、26日にジャスダックに上場するブロードバンドセキュリティ <4398> [JQ]、27日にマザーズに上場するフロンティア・マネジメント <7038> [東証M]などだ。
and factoryはモバイル広告を掲載したスマホアプリの提供やIoT技術を導入したスマートホステルの運営などを実施。EMネットJは検索連動型広告(リスティング広告)などネット広告事業を展開。ブロードバンドセキュリティはインターネットのセキュリティー監査を手掛ける。フロンティアMはM&Aアドバイザリー事業などを展開している。
これまでに比べ、警戒感も指摘される9月IPOだが「時価総額や資金吸収額が小さい銘柄の場合は、全般相場の地合いとは別に底堅い展開が続くのではないか」(アナリスト)とみられる。とはいえ、銘柄の内容次第で初値の上昇率には差はつきそうだ。
■9月IPOの予定■
上場日 コード・市場 銘柄名 主幹事
9月6日 <9275>・東2 ナルミヤ・インターナショナル SMBC日興
9月6日 <7035>・東M and factory みずほ
9月13日 <3495>・JQ 香陵住販 みずほ
9月13日 <3494>・JQ マリオン SBI
9月20日 <7037>・東M・福Q テノ.ホールディングス 野村
9月20日 <3496>・東M アズーム みずほ
9月21日 <7036>・東M イーエムネットジャパン みずほ
9月25日 <7325>・東M アイリックコーポレーション 野村
9月26日 <4398>・JQ ブロードバンドセキュリティ みずほ
9月27日 <7326>・東M SBIインシュアランスグループ みずほ
9月27日 <6233>・JQ 極東産機 SMBC日興
9月28日 <7038>・東M フロンティア・マネジメント みずほ
9月28日 <3612>・未定 ワールド 野村
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