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【市況】秋の彼岸底から年末高? 季節アノマリー強い2018年の“これから” <東条麻衣子の株式注意情報>


 米中間の貿易摩擦を巡って8月22日~23日にワシントンで次官級協議が行われると伝わり、いったん米中貿易摩擦懸念は後退し、米国市場では主要3指数が揃って高値圏を維持している。ただ、21日朝にはトランプ米大統領が「中国との貿易戦争を続ける期間は無期限だ」「米中貿易摩擦問題について大きな進展を期待していない」などと発言したと伝わり、FRB(米連邦準備理事会)の利上げにも不満を示したことが報じられると東京市場ではリスクオフの動きをみせる場面もあった。

 そもそも、貿易摩擦問題がここまでこじれている現状を踏まえれば、22日~23日の協議で事態が進展するとは考えにくく、11月の米中間選挙後に開かれる閣僚級協議までの繋ぎにしかならないというのが、市場関係者の期待にもかかわらずおおかたの見方だったのではないか。

 とはいえ、市場参加者の少ない夏枯れ相場では、こうした一連の報道に左右されやすい地合いにあり、投資家にとってポジションを取りづらい環境が続いていることと思う。

 では、この状況はいつまで続くのか。筆者はアノマリー通りの動きになるのではないかと考えている。

■「節分天井・彼岸底」のアノマリー

 今年2月初めの世界株安では、多少のずれはあれど、ほぼ「節分天井」を形成したとみてよいだろう。その後、5月の月足が陰線であったことも「Sell in May(セル・イン・メイ=株は5月に売れ)」に当てはまる。また、現状の「夏枯れ相場」もアノマリー通りとみれば、次のアノマリーである9月相場の「彼岸底」も今年は当てはまるのではないか。

 そうなると、9月20日~26日の彼岸までは上値が重く、材料難のなかで報道に踊らされる相場が続くと考えている。

 では、このような状況下でどのような投資スタンスを取るべきなのか。

 まずは世界の株式市場が注目する米国と中国の動向を見ておくべきであろう。

■米国、景気浮揚が最優先のトランプ大統領

 トランプ大統領は「金利の引き上げを望まない」、「ドルの上昇は望ましくない」と述べている。金利に関してはFRBの決定する事項であり、ドルの上昇についてもトランプ大統領が決定できるものではない。とはいえ、市場では大統領の発言を横睨みする展開が続いており、一方的な米国金利の上昇・ドル高とはなりにくい。

 だが、トランプ大統領が圧力をかける「低金利・ドル安」が実現すれば、景気の押し上げ要因になる。また、減税効果により、次の7-9月期決算も米国経済の堅調さを確認できるものとなることは間違いないだろう。

 トランプ大統領が「原油価格の上昇は望まない」と発言している点にも注意が必要だ。

■中国、景気減速の懸念払拭には時間を要す

 米国が課した対中関税引き上げの影響で、経済指標からは徐々に景気減速懸念が浮上し、為替も元安に振れている。

 米中貿易摩擦の解決の糸口が見えない状況では、中国の景気減速懸念を払拭するには時間を要するとみておくべきだろう。

 米中両国の動向を踏まえると、「彼岸底」までに仕込んでおく銘柄を選別できるのではないだろうか。

 トランプ大統領の言動をみる限り、しばらくは一方的な「円安」は期待できず、「WTI原油」も上半期までのような一方的な上昇は見込みづらい。加えて、中国景気の先行き懸念もある。

 となれば、中国での売上比率の高い企業への投資は避け、円高メリットまたは原油安メリット銘柄で、4-6月期の決算内容が良かった内需株などは年末高に向けて期待が持てると考えている。 (8月21日 記)


◆東条麻衣子
株式注意情報.jpを主宰。相場変調の可能性が出た際、注意すべき情報、懸念材料等を配信。

株式注意情報.jp http://kabu-caution.jp/
Twitter https://twitter.com/kabushikichui

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