【特集】夏枯れ相場に微かな反転の兆し? 最高益割安株でその日を待つ <株探トップ特集>
模様眺めムードが充満し売買代金も低水準に沈む東京株式市場。ただ、微かな反転の兆しを指摘する声も聞こえ始めた。
―重要イベント前に手控えムード、上昇相場リード役を先回り―
21日の東京株式市場は、米中通商協議の再開や、米国のジャクソンホール会議など重要イベントが今週目白押しで手控えムードが支配するなか、中国・上海株式相場の堅調推移を好感して、日経平均株価は後場に入り前日比プラス圏に浮上して推移する展開となった。売買代金は低水準にあるものの、反転上昇相場への兆しとの見方もある。そこで、今後の上昇相場のリード役候補として、今期経常最高益更新予想の割安銘柄に注目した。
●昭和電工、MSCIの定期入れ替えで新規採用に
昭和電工 <4004> は8日、18年12月期の連結業績予想の上方修正を発表した。売上高を9350億円から9850億円(前期比26.2%増)へ、経常利益を1315億円から1670億円(同2.6倍)へ、最終利益を850億円から1150億円(同3.4倍)へ増額した。今期業績の上方修正は5月に続き2回目のこと。需給逼迫を背景に黒鉛電極の国際市況が上昇し、同電極の販売価格が想定を上回ることが上振れの要因となった。また、14日に発表された、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)の定期入れ替えで同社株が新規採用され、機関投資家の組み入れ需要に期待感が高まっている。
●和井田、設備投資需要を背景に受注高水準
工作機械中堅の和井田製作所 <6158> [JQ]は6日、19年3月期通期の連結業績予想について、売上高を68億8500万円から81億5100万円(前期比40.5%増)へ、経常利益を9億9300万円から16億6600万円(同95.5%増)へ、純利益を6億7600万円から11億1100万円(同87.7%増)へそれぞれ上方修正した。国内外で設備投資に関する積極的な姿勢が続いていることを背景に、足もとで予想を上回る受注を獲得できていることが上方修正の要因。また業績予想の修正に伴い、従来は中間・期末各14円を見込んでいた今期の配当について、中間・期末各18円に引き上げると合わせて発表し、年間配当は36円となり、前期実績の21円に対しては15円の増配になる。
●放電精密、ビル建材関連の金型需要が順調に拡大
放電加工・表面処理専業大手の放電精密加工研究所 <6469> [JQ]は7月3日、19年2月期第2四半期累計(3-8月)の連結業績予想の上方修正を発表した。売上高を55億2100万円から57億8900万円(前年同期比16.6%増)へ、経常利益を3億2400万円から4億5900万円(同7.2倍)へ、最終利益を2億900万円から3億1300万円(同9.8倍)へそれぞれ増額した。金型事業で、東京オリンピック需要を背景にビル建材などの販売が想定より好調なうえ、機械装置事業で下期に予定していたプレス設備の販売が上期に前倒し計上することも収益を押し上げている。
●レンゴー、段ボール需要の好調と価格改定が奏功
レンゴー <3941> は2日、19年3月期の第1四半期(4-6月)連結決算を発表した。売上高は1595億9300万円(前年同期比9.2%増)、経常利益は97億6300万円(同77.9%増)、最終利益は65億7100万円(同91.5%増)だった。板紙・紙加工関連事業は、燃料価格の上昇などによるコスト増はあるものの、製品価格の改定や原料価格が前年を下回っていることにより、増収増益となった。海外関連事業も、連結子会社が増加したことに加え、段ボール事業が堅調に推移したことにより、増収増益を維持した。
●日本カーボン、リチウムイオン電池負極材の販売は堅調に推移
日本カーボン <5302> は10日、18年12月期通期の連結業績予想の上方修正を発表した。売上高を415億円から452億円(前期比61.6%増)へ、経常利益を110億円から130億円(同4.3倍)へ、最終利益を74億円から85億円(同2.9倍)へそれぞれ増額した。電極部門は、主要原材料価格の上昇はあるものの、売価是正が引き続き進展し、事業環境は好調さを増している。ファインカーボン部門は、炭素繊維および特殊炭素材料については、半導体市場の活況が持続していることもあり、良好に推移している。リチウムイオン電池負極材の販売は、車載向け中心に手堅い。さらに、炭化けい素繊維の製造・販売は、昨年末の第2工場の本稼働後、順調な推移をみせている。
●三精テクノ、買収したオランダ企業の業績が上乗せ
三精テクノロジーズ <6357> [東証2]は9日、19年3月期の第1四半期(4-6月)連結決算を発表した。売上高は115億2600万円(前年同期比85.9%増)、経常利益は7億5200万円(同51.8%増)、最終利益は4億8200万円(同45.9%増)となった。製品製造関連では、買収したオランダの遊戯機械メーカーVekoma社の業績が大きく寄与したことや、舞台設備部門で大型の公共ホールや大規模コンサートが堅調に推移していることが貢献している。
●稲畑産業、情報電子事業の主要商材が概ね好調
稲畑産業 <8098> は7日、19年3月期の第1四半期(4-6月)連結決算を発表した。売上高は1582億4800万円(前年同期比6.4%増)、経常利益は37億9500万円(同33.8%増)、最終利益は37億円(同25.9%増)だった。情報電子事業は、主要な商材の販売が概ね好調で、売上が増加した。液晶関連では、偏光板原料の販売が減少したものの、偏光板が中国で伸長した。インクジェットプリンター関連では、コンシューマー分野で新規部品の取り引きが始まり、産業用分野向けも堅調に推移し、全体として販売が伸長した。複写機関連では、国内主要顧客向けの材料が好調に推移し、太陽電池関連は、国内向け太陽電池システムの販売が伸長した。
◆主な今期経常最高益更新予想の割安銘柄◆
銘柄 <コード> 経常利益 増益率 株価 PER
シイエムシイ <2185> 2162 40.9 2582 13.0
グッドコムアセット <3475> 1510 84.1 1602 11.3
フェイスNW <3489> 1500 43.4 1535 6.9
ソフトウェア <3733> 4000 50.7 7880 15.2
リミックス <3825> 10235 3.0倍 951 7.9
レンゴー <3941> 32000 38.1 919 10.8
トーモク <3946> 8300 39.0 1898 6.2
昭和電工 <4004> 167000 2.6倍 4935 6.4
早稲アカ <4718> 1686 52.3 1904 14.4
東海カーボン <5301> 74500 5.6倍 1861 5.4
日本カーボン <5302> 13000 4.3倍 5900 7.7
SECカーボン <5304> 8400 7.3倍 1万4450 8.9
和井田 <6158> 1666 95.5 1743 10.1
太陽工機 <6164> 1490 55.9 2989 8.9
マルマエ <6264> 1240 68.2 1053 15.8
三精テクノ <6357> 4250 81.9 1518 10.4
ツバキナカシマ <6464> 10600 76.9 2286 11.7
放電精密 <6469> 1004 2.1倍 1407 15.4
アドテスト <6857> 34760 43.2 2474 16.2
アスカ <7227> 1150 55.4 1000 7.1
セフテック <7464> 803 40.6 8030 7.4
稲畑産 <8098> 14000 2.2倍 1571 9.1
アプラス <8589> 11800 92.9 105 16.0
SOMPO <8630> 290000 2.0倍 4682 8.3
リベレステ <8887> 1716 59.0 911 9.1
日本エスコン <8892> 10200 70.3 663 6.5
イーレックス <9517> 6617 45.7 1114 14.0
※株価は21日終値、単位:100万円、%、円、倍
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