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【特集】1人に1台「自動翻訳機時代」の扉が開く、“上昇期待銘柄”最前線 <株探トップ特集>

自動翻訳機への注目が高まっている。関連銘柄の行方を追った。

―イリー、ポケトークなど注目機種続々でコミュニケーションは変わるか―

 「自動翻訳 」に熱い視線が集まっている。音声翻訳機「ili(イリー)」の一般販売がスタート。3月15日からはタレントの草彅剛さんを起用したテレビコマーシャルも始まり、一気に注目度が高まった。また、一方の雄「POCKETALK(ポケトーク)」も攻勢をかけるなか、両機種ともにそれぞれ独自の魅力と機能を持つ。自動翻訳機という、かつての空想の世界が現実となり、いまその扉は大きく開かれたばかりだ。関連銘柄の行方と現状を追った。

●フュートレックは「イリー」で注目度アップ

 2020年の東京五輪 を控え、株式市場においては訪日客の増勢に目を奪われがちだが、実は旅行などによる日本人の出国者も増加。日本政府観光局(JNTO)によると、2017年における年間での日本人出国者数(推計値)は、1788万9300人と前年比4.5%増となっている。ここ円高傾向もあり海外渡航者数は、さらに増加する可能性が高く音声翻訳機の市場拡大には追い風となる。グローバル人材の育成が急速に進む日本だが、全ての人が語学に堪能である訳もなく、旅先での会話が大きな不安という人も多いなかで音声翻訳機の普及は力強い味方となる。

 広告効果もあり「イリー」発売で音声翻訳機の認知度が一気に高まっている。同音声翻訳機は、ログバーが開発しフュートレック <2468> [東証2]が音声翻訳を提供するウェアラブル翻訳端末。インターネットに接続する必要がないオフライン音声翻訳機という利便性の良さを生かし、通信状態に関係なく旅行先で簡単に使用できるすぐれもの。最速0.2秒で、話した言葉を英語、中国語、韓国語に翻訳、日本語からの一方向翻訳機という特性で、「意志を伝える」ツールとなっている。

 フュートレックでは「ロイヤルティーも見込め、売れれば収益に寄与することになる」(管理部)としており、今後の展開に期待がかかる。株価は昨年から上下動を繰り返しながら調整を続け、2月14日に564円まで売られたが、現在は680円水準にある。

 貿易摩擦の問題などに不透明感が募るなか、乱気流にもまれる東京株式市場だが、そのなか力強い株価の動きを見せているのが人工知能(AI)関連株だ。そして、自動翻訳機の精度・機能を一段の飛躍に導いたのはAIの進化にほかならない。数年前までの翻訳機の精度を思い返せば、まだまだ“実戦”で使用できるものではなかったが、現在は利便性の非常に高いツールへと成長している。まさに、自動翻訳機に絡む銘柄はAI関連の一角であることを忘れてはならない。

●ソースネクストの「ポケトーク」はもはや通訳機

 一方、ソースネクスト <4344> から発売されたポケトークは、英語、中国語、韓国語、仏語、タイ語、ベトナム語など63の言語で「双方向」のコミュニケーションがとれるという、まさに「通訳機」といえる。入力された音声を、クラウド上の高度な処理により翻訳された音声を瞬時に返すことができる。長文翻訳も可能で、意思の疎通が一層スムーズに進むことになる。3月25日からポケトークが羽田空港などの物販店舗74店舗での接客ツールとし採用されたことに加え、4月1日からは福岡空港内の免税店5店舗で採用されている。また同社はきょう、5月からポケトークを全日空の国際線で機内販売すると発表。全日空の機内誌「ANA SKY SHOP 5-6月号(国際線版)」に掲載される予定で、搭乗のうえ機内で注文・支払いをすると、その場で商品を受け取ることができるという。

 株価は、昨年10月後半から一気に上げ足を速め、300円近辺だったものが今年1月24日には831円50銭まで買われる大変貌。その後は全般地合い悪に押され2月には502円まで値を下げたが、機首を立て直し現在では800円近辺で推移しており上値指向を強めている。

●ビジョン、訪日客急増で業績好調

 そして、翻訳機関連で異彩の株高を見せているのがビジョン <9416> だ。株価は上昇気流に乗り、きょう2日には3745円まで買われ上場来高値圏を走る展開。同社は、訪日を含め海外渡航客に対し、海外用Wi-Fiルーターのレンタルサービスなどを展開するが、イリーに加え昨年12月にはポケトークのレンタルもスタート。業績も好調で、17年12月期の連結経常利益は前の期比38.3%増の17億9500万円に拡大、18年12月期も前期比25.6%増の22億5400万円の伸びを見込んでいる。増加の一途をたどる訪日客を背景に、Wi-Fiルーターのレンタル事業も好調で、今後の展開から目が離せない。

 同社では「音声翻訳機に関しては、反応は上々といえる。Wi-Fiルーターのオプションと同様に商品、サービスなどを拡充していくという戦略において伸びしろは大きいとみている」(広報IR部)という。

●切り口多彩なAMI

 アドバンスト・メディア <3773> [東証M]は切り口多彩だ。翻訳分野では、多言語音声翻訳アプリ「アミボイス トランスガイド」の無料体験版を1月中旬から配信を開始。日本語から15ヵ国語に音声翻訳をすることができ、頻度の高い約300の定型翻訳文を標準搭載している。最新の音声認識エンジンを搭載しており、高い認識率を誇るという。

 同社は2月9日、18年3月期の連結業績予想について、売上高を30億円から33億円(前期比27.9%増)へ、営業利益を3000万円から3億円(前期7700万円の赤字)へ、純利益を1500万円から2億4000万円(同1億300万円の赤字)へ上方修正した。業務効率化への意識の高まりを背景に、AI音声認識である「AmiVoice」や音声認識AI技術「AmiAgent」の利用が堅調に推移したことが寄与した。1月には同商品をりそな銀行が採用するなど実績を伸ばしている。直近では3月6日にiOS版 音声入力キーボードアプリ「AmiVoice SBx(アミボイス エスビーエックス)」のリリースを開始、アプリケーションを問わず、マイクに向かって話すだけで簡単にビジネス文章を作成できるもので、これによる業績寄与も期待されそうだ。株価は3月16日に2200円まで買われたあと現在も2000円を挟み頑強展開を続けている。

●専門用語の「熟考」でロゼッタ

 もちろん、自動翻訳関連は音声翻訳機だけではない。言語の壁を取り払うことは、グローバル化が加速するビジネスシーンにおいては必要不可欠だ。特に専門領域に踏み込んだ言語についての翻訳技術の向上はより重要度を増すことになる。

 ロゼッタ <6182> [東証M]は専門用語に強く自動翻訳機「熟考」を擁しており、特許、医薬、バイオ、化学、電気電子、機械、ITなど科学技術の専門文書を自動翻訳する。独自の「考える」翻訳エンジンで高精度な自動翻訳を実現している。また、昨年9月に八楽(東京都渋谷区)と提携し企業向けクラウド型自動翻訳システム「compath(コンパス)」の提供を開始した翻訳大手の翻訳センター <2483> [JQ]にも目を配っておきたい。

 17年の訪日客数は前年比19.3%増の2869万人で過去最高を更新するなか、来年19年には「ラグビーワールドカップ日本大会」に加え「20ヵ国・地域(G20)首脳会合」が大阪で開催される。そして20年にはいよいよ「東京五輪」が迎えることにより、さらに多くの人々が各国から集まることになる。さらには25年の「大阪万博」の誘致が期待されるなか、音声翻訳機の活躍の舞台が広がることは、もはや必然といえそうだ。

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