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【特集】大塚竜太氏【新年度相場が開幕、株式市場の全面開花はいつ?】(1) <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―強弱感対立のなか、日経平均株価の上値どこまで―

 名実ともに2018年度相場入りとなった。東京では例年よりだいぶ早い桜の開花となったが、株式市場ではまだ春爛漫とは言い切れない地合いにある。しかし、3月下旬に大底が入り、その後は強弱感を対立させながらも上値指向をみせている。投資家マインドも徐々に暖まりをみせるなか、4月相場で全面開花といくのかどうか。先読みに定評のある市場関係者3人に当面のマーケットについて読み筋を聞いた。

●「月内2万2000円超えから一段の上値指向に」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 東京市場では前週(3月26~30日)に日経平均株価 が大きく上昇したこともあり、目先は25日移動平均線近辺で利益確定売り圧力も意識されているが、基本は上値指向とみてよい。きょう(2日)寄り前に発表された日銀短観では、大企業・製造業DIが8四半期ぶりに悪化したが、これはあまり気にする必要はないだろう。また、今回の短観では企業の収益計画の前提である想定為替レートに着目していたが、109円66銭で実勢よりは3円以上、円安想定だった。これについては株式投資の見地からは警戒要因となるが、足もとのマーケットの動きを見る限り、それほど嫌気されている感じも受けない。やはり企業の設備投資計画などに反映されるように、世界的に生産が好調を維持していることで、数量増加によって多少の円高を許容させるムードになっていることがうかがわれる。

 今年は外国人の売り圧力の強さが際立っていたが、ここからさらに日本株を売り込む理由が見当たらない。北朝鮮を巡る地政学リスクの減退に加え、トランプ米大統領の極めて保護主義色の強い政策スタンスも、貿易交渉を有利に進めるための方便としている部分が次第に見えてきた。国内では「森友学園」への国有地売却問題に絡む安倍政権の先行きに対する不安感も目先後退している。こうした材料で売りを仕掛けていたグローバルマクロなどのヘッジファンドや、高速アルゴリズム売買のCTAなどの巻き戻しの動きが全体相場に反映される可能性がある。日経平均は4月中に2万2000円ラインを突破し一段の上値を試す展開が想定される。

 外国為替市場では足もと1ドル=106円台前半の推移で円高警戒感は拭えないものの、今後は日米金利差などを背景に行き過ぎた円高が修正され、徐々に円安方向に傾いていくのではないかとみている。これによって来期企業業績への不安感が緩和されれば、全体相場の浮揚材料となる。とはいえ当面の物色対象は輸出主力株を避け、内需系銘柄の個別物色の動きが続きそうだ。AI関連やそれに付随する業務合理化に携わる銘柄、セルフレジやキャッシュレス化に絡む銘柄なども物色対象として注目されよう。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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