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【特集】大谷正之氏【底入れから浮上本番か 東京市場の上値どこまで?】(2) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―本格的な戻り相場で頭角を現す有望セクターや銘柄は―

 週明けの東京株式市場は日経平均株価が大幅高で3日続伸と上値指向を強めてきた。前週末の米国株市場では好調な米雇用統計を背景に、NYダウ平均が440ドル高と急伸したことで、投資家の不安心理が後退している。俗に“節分天井、彼岸底”というが、3月上旬を境に全体相場は前倒し的に底入れを確認、本格的な戻り相場に転じたようにも見える。相場の先読みに定評のあるベテラン市場関係者に当面の見通しを聞いた。

●「日経平均は早期のダブルボトム形成が焦点に」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 少しずつ相場が落ち着きを取り戻しつつあり、買い安心感が増している。きょうは日経平均が終値で、25日移動平均線(2万1694円45銭)を回復してきた。3月期末に伴うさまざまな処分売りは、月の前半でほぼ終了して、後半は期末の配当取りなどを意識した買いが優勢となりそうだ。

 そこで焦点となるのは、2月27日につけた取引時間中の高値2万2502円05銭を早期に奪回できるかどうかだ。この水準を突破して上昇すると、2月14日と3月5日の両安値でダブルボトムを形成することになり、上昇に弾みがつくことが想定される。4月新年度入りの時期は、売り優勢となる可能性もあるため、年度内に株価水準を上げておきたいところだ。

 トランプ米大統領が打ち出した、鉄鋼・アルミニウムの関税上乗せによる輸入制限の問題も、当初に比べるとややトーンダウンした印象となっている。さらに、米朝首脳会談開催に向けた動きが加速し、以前に比べて地政学リスクが後退していることなどから、海外投資家の日本株に対する投資姿勢も徐々に積極化してくる可能性がある。

 個別銘柄では、まず産業用ガスのトップメーカーである大陽日酸 <4091> に注目。半導体関連業界の市場環境は依然として良好だが、半導体製造装置に加えて、今後は材料や部材関連の銘柄が恩恵を受けることが予想され、半導体向けガスで高いシェアを占める同社に関心が集まりそうだ。

 総合大手化学のなかでは住友化学 <4005> に注目。19年3月期に、リチウムイオン2次電池用セパレータやエンジニアリングプラスチックなどのエネルギー・機能性材料の成長が期待される。さらに、カスタムLSI(大規模集積回路)トップメーカーのローム <6963> に注目。ハイブリッド車や電気自動車などの車載用やスマートフォン向けに加え、産業機器向けのパワー半導体でも強みを発揮している。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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