【通貨】為替週間見通し:ドル・円はもみ合いか、米金融政策の当面の方針を見極める展開
ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより
■ドル・円は強含み、米国株高を意識したドル買いも
先週のドル・円は強含み。週後半の米国株は強い動きを見せたことから、ドルは主に106円台後半で推移した。米長期金利の低下を意識して投機的なドル買いは一服したものの、顧客筋などのドル需要が増えたことや短期筋の持ち高調整に絡んだドル買いによってドル・円は一時107円90銭まで買われた。
米連邦公開市場委員会(FOMC)の1月会合議事要旨で、経済について楽観的な見方が示され、成長見通しの引き上げで「さらなる利上げが適切」との見方が再確認されたこともドル買い材料となった。米大統領経済報告で日本の自動車市場を閉鎖的と批判し、貿易是正で為替レートでの調整について言及したことを受けて、ドルの上値はやや重くなったが、27日に行われるパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言内容を点検したいとの理由でドル売り・円買いは拡大しなかった。
23日のニューヨーク外為市場でドル・円は、米国債利回りの低下などを受けて一時106円51銭まで下落したが、NYダウ平均の大幅続伸を意識して106円94銭まで反発し、106円85銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:106円10銭-107円90銭。
■ドル・円はもみ合いか、米金融政策の当面の方針を見極める展開
今週のドル・円はもみあいか。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に関する当面の方針を見極める展開となりそうだ。就任間もないパウエルFRB議長は27日に開かれる議会証言で、経済の現状認識やそれに基づく金融政策などについての見解を述べるとみられている。イエレン前議長時代の方針(漸進的な利上げ)を基本的に維持するものの、利上げペース加速の可能性について言及した場合、ドル買いが活発となりそうだ。
ただ、市場関係者の間では新体制の金融政策はハト派寄りとの見方も出ており、追加利上げに慎重であることが確認された場合はドル売りが強まりそうだ。また、トランプ政権による大規模な減税や国防費の増加などによって米財政赤字は大幅に拡大するとの懸念が強まっている。財政赤字拡大はドルに対する信認低下につながるおそれがあることから、ドル売り材料になるとの見方が多い。
一方、欧州中央銀行(ECB)は従来方針に基づき、緩和的な金融政策を将来的に縮小する見通し。ユーロ圏2月消費者物価指数などの経済指標が予想を上回った場合、ユーロ選好地合いとなり、ドル売り・円買いを促す可能性がある。
【米・10-12月期国内総生産(GDP)改定値】(2月28日発表予定)
今月28日発表の10-12月期国内総生産(GDP)改定値は前期比年率+2.5%程度と予想されており、速報値+2.6%をやや下回る可能性がある。GDP改定値の成長率が速報値と同水準だった場合は、ドル買い材料になりそうだ。
【米・2月ISM製造業景況指数】(3月1日発表予定)
3月1日発表の米2月ISM製造業景況指数は58.7と、1月の59.1を小幅に下回る見通しだが、昨年から60付近と2011年以来の高水準が続いており、米製造業の景況感はおおむね良好。予想通りでも景気拡大を見込んだドル買いが優勢となる可能性がある。
予想レンジ:105円50銭-108円50銭
《SK》
提供:フィスコ