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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「アヤ戻り一巡」

株式評論家 富田隆弥

◆19日に日経平均株価は428円高の2万2149円と急騰し、値上がり銘柄が2002(値下がり56)を数える全面高となり、市場関係者から「上昇に転じた」「PER13倍と割安になった」など楽観が多く聞かれた。翌20日は224円安の2万1925円と反落したが、値上がり銘柄が1027と値下がり949を上回ったことで「押し目買い意欲は強い」という。市場関係者が「いいとこ取り」で強気観測を述べたがるのはいつものことだが、106円台に入った円高には「為替抵抗力がついてきた」、米国の長期債利回り上昇は「好景気に伴うもので心配ない」ともいう。どうしても「株価は上がる」と結びつけたいように思えて仕方ない。

◆関係者として立場上、「万年強気」となるのは仕方がないのかもしれない。右肩上がりの相場がどこまでも続くならそれで構わない。だが、相場は調整を入れるものだし、時として大きく下げることもあるので「万年強気」では個人投資家に迷惑をかけるだろうし、信頼を得ることもできないだろう。

◆先頃、知人の間で話題になったのは「2049VIXインバース」。一夜にして95%も値を消滅させたからだ。ETN(上場投資証券)という派生商品で「前日比20%を超す下落の場合は強制償還となる」との条項が付いていた。米VIXの急騰に伴い2月2日に3万5000円ほどしていたものが、7日にわずか1144円となった。

◆いくら自己責任の世界とはいえ、強制償還付きの商品を平然と上場させていた証券会社と東京証券取引所は、今回の事態を重く受け止め反省すべきではないか。そうしなければ日本の証券市場は信頼をますます失うだろう。なんでも上場させればよいというものではない。

◆さて、苦言はここまで。日経平均はアヤ戻りを見せたが、前回触れたように25日移動平均線(2万2644円台)と75日移動平均線(2万2780円)がデッドクロスした20~21日のところが戻り変化日となり、頭を押さえている。一方、下値は200日移動平均線(2万1113円)が意識されたことから、当面は「2万1100円~2万2700円」のもみ合いで、先行きこのゾーンから抜ける方向がポイントになる。

◆ただ、日足は「崩れたあとのアヤ戻り」という流れにあり、先安懸念が払拭されたわけではない。長期トレンドにヒビを入れたところだけに、方向性を確認するまで「様子見」も一策だろう。「買う」だけが相場ではない。

(2月22日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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