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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「短期と中期売買の合わせ技」

株式評論家 富田隆弥

◆今回が年内最後のコメントになる。2018新年相場については元旦配信の「新春特別企画」で述べるとして、ここでは今年実際にいらした二人の投資家さんに触れておこう。株価が400円→800円に上げた同じ銘柄を手掛けたお二人。儲けには大きく差が出たこともあるが、どちらのスタンスが自分に合っているのか再考していただければと思う。

◆この銘柄は400円から倍になった訳だが、その道中は400→600→500→700→600→800円と二進一退で推移した(株価の推移や売買単価は大まかである)。

◆Aさんは、まず400円カイ→550円ヤリ(+15万円)、次に500カイ+550カイ→650ヤリ(半分+15万円)、600カイ+650カイ→現在800円で持続となっている。吹き値ウリ、押し目買いで動き、そして先高への自信を深めて買い増しながら利食いも入れた。1000株40万円から始め、道中150円幅で2回利食い(30万円)、買い増しも2回行って現在の保有は3000株(時価240万円)で評価益60万円になっている。

◆次にBさん。同じ400円から始め→480円でまず利食い(+8万)。売ったあとも上がるので520円でカイ直し、600円では利食うことができずに下げてきた550円で利食いを入れる(+3万)。そのあと500円まで下げたので「売っておいて良かった」と喜んだが、押し目で買えずに戻り途中の580円で再びカイ、630円で利食いを入れた(+5万円)。ここまではまだ良かった。ところが、さらに上げた700円で再度カイ(高値掴み)、その後660円でロスカット(-4万円)。そこから600円まで下げたので「売っておいて良かった」と再び喜んだが、その後に切りえしの680円で買い直し、750円で利食いを入れた(+7万円)。儲けの合計は19万円、現在の保有株はゼロ。

◆Bさんは短期売買が好みのようで、儲けも損切りも決断が早い。高値で買い直すという無駄もあったが、19万円のプラスで終えているので下手ではないし、本人も満足しているようだ。一方のAさんは、最初こそ150円幅で利食ったが、あとは途中から株数を増やしながら、利食いも交えていった。成績はAさんの方に軍配が上がるだろうが、どちらが正解かはこのあとの推移にもよるので一概には言えない。

◆ネット証券の広がりとともに短期売買が目立つようになった。暴落に備えるためにもデイトレは無意味ではないだろう。ただ、単純に400カイで何もせずにいれば時価800円(保有80万円)で評価益40万円を出している。最近は短期売買より少しジックリ泳がした方が大きく儲けられるといった声もよく耳にするが、実際にはAさんのように上げ下げの波動をうまく捉えることは難しい。

◆そこで投資家さんによくお勧めするのは短期と中期の両建てである。注目したなら、まず2000株(複数)以上を仕込み、うまく波に乗ったら、1000株は泳がし、あとの1000株(半分)で短期売買を行うという方法だ。短期売買は日頃の頭の運動になり、ジックリ投資は慌てることないので時間に余裕が持てよう。新年はこの短期と中期の合わせ技を試されてはどうだろうか。もちろん、日経平均株価など全体の動向(基調)に異変が起こらなければの話であるが。

◆では、みなさま良い年をお迎えください。
  富田隆弥  (12月21日記)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

※次回は、2018年1月1日に「富田隆弥のチャート倶楽部2018スペシャル <新春特別企画>」を配信する予定です。


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