【市況】新興市場見通し：IPOラッシュが活況、マザーズ指数は年初来高値更新も視野に

先週の新興市場では、米連邦公開市場委員会（FOMC）通過後の円高・ドル安基調を背景に日経平均が下落するなか、マザーズ指数や日経ジャスダック平均の堅調ぶりが目立った。主力大型株がさえない展開となり、個人投資家を中心とした物色の矛先が中小型株に向かった。先週から始まったIPOラッシュが好調な出足となり、個人投資家のマインドや需給が大きく改善した面もあるだろう。なお、週間の騰落率は、日経平均が-1.1％であったのに対して、マザーズ指数は+1.5％、日経ジャスダック平均は+0.9％だった。

個別では、マザーズ時価総額上位のミクシィ<2121>は週間で0.4％高と上値の重い展開だったが、サイバーダイン<7779>が同4.5％高、そーせいグループ<4565>が同7.6％高となった。売買代金上位ではEC受注高の好調が続くロコンド<3558>などの上げが目立った。また、決算が好感されたバリューゴルフ<3931>や新サービスを発表したフリークアウト・HD<6094>が週間のマザーズ上昇率上位となった。反面、串カツ田中<3547>などは利益確定売り優勢で、上期決算を発表したハイアス・アンド・カンパニー<6192>やゲームのアクセス障害が嫌気されたドリコム<3793>が下落率上位だった。ジャスダック主力は日本マクドナルドHD<2702>が同2.4％高、エン・ジャパン<4849>が同3.0％高となったものの、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同5.9％安となるなど高安まちまちだった。売買代金上位ではラクオリア創薬<4579>が導出先のライセンス契約締結を受けて週末急伸し、ゲーム株のガーラ<4777>も活況を見せた。また、fonfun<2323>や応用技術<4356>が週間のジャスダック上昇率上位となった。一方、レイ<4317>やケイブ<3760>、直近IPO銘柄のトレードワークス<3997>などが利益確定売りに押された。IPOでは10社が新規上場したが、注目のSG HD<9143>は公開価格を17％上回る堅調な初値を付けた。また、一家ダイニングプロジェクト<9266>など4社は初日値付かずの人気ぶりとなった。

今週の新興市場では、マザーズ指数の年初来高値（1214.41pt、6月）更新も視野に入ってくるだろう。日経平均は米税制改革への期待から堅調推移が見込まれる。ただ、海外勢がクリスマス休暇とあって、物色意欲の旺盛な個人投資家の資金は引き続き中小型株に向かいやすい。また、今週もIPOラッシュが続くため、新規上場銘柄に注目したい。

マザーズでは足元調整していたユナイテッド＆コレクティブ<3557>などが反転の兆しを見せており、同様に従前人気だった串カツ田中などの動向も注視しておきたい。直近IPO銘柄ではヴィスコ・テクノロジーズ<6698>などがセカンダリーでも人気を見せている。なお、今週は12月21日にオプトエレクトロニクス<6664>などが決算発表を予定している。

IPO関連では、計9社が新規上場する。週前半は新興市場への上場が相次ぎ、12月18日上場のナレッジスイート<3999>や19日上場のみらいワークス<6563>といったマザーズ小型案件は順当に人気を集めているようだ。18日上場のジーニー<6562>は公開規模こそやや大きいが、有力なアドテクノロジー企業のIPOとして注目される。週半ば以降は本則市場や地方市場への上場案件が多いものの、20日上場で光学薄膜装置を手掛けるオプトラン<6235>などは投資家からの評価が高いようだ。

《FA》

　提供：フィスコ