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【市況】米国株式市場見通し:税制改革案が成立となるか


先週のFOMCでは米経済の堅調さが強調された一方で、来年の金利見通しは3回に据え置かれ、利上げ加速への警戒感が後退した。しかし、FF金利の先物取引から算出される利上げ確率によると、17年3月と9月の2回(15日時点)が想定されており、連銀当局の見通しは市場予想よりも常に強気であることに注意が必要だ。今週は、週前半にも税制改革案が採決される見込みで、可決されればトランプ大統領による署名を得て法案成立となるだろう。上下院の統一税制改革案では法人税が21%へ、個人所得税の最高税率が37%へと引き下げられる見通しだ。一方で州・地方税控除や住宅ローン利子控除は一定額までに制限される模様。株式相場への懸念材料は少ないものの、FOMCやクアドプル・ウィッチングが通過したことで休暇に入る市場関係者も多く、週を通じて閑散取引となることが予想される。

年末の為、節税目的での含み損の確定が増える時期となることに注意が必要だ。米国では株式売買による損益通算が認められている為、保有株の含み損を確定することで税負担を軽減することができる為だ。特に年初来で下落率の大きい銘柄で、流動性の低い銘柄(小型株)ほど売られる傾向がある。またウォッシュ・セール・ルールと呼ばれる規定があり、一旦売却した同一銘柄を30日以内に買い戻すと、損失が認められないという制限がある。従って、将来的に買い戻す意図で一旦売却した場合でも、暫くの間は買い戻しを躊躇する要因となる。

一方で、1月効果と呼ばれるアノマリーがあり、特に12月中旬頃から1月にかけての株価上昇率が統計的に高いことが知られている。年末の損失確定の反動に加えて、相対的に国内企業の割合が多い小型株は来年から税制改革による恩恵を受けることが予想される。2017年の小型株はS&P500指数をアンダーパフォームしており、中小型株への投資を検討する絶好の機会となりそうだ。

個別企業ではクルーズ客船運航のカーニバル・コーポレーション(19日)、半導体のマイクロン・テクノロジー(19日)、運送会社のフェデックス(19日)、家庭用品小売のベッド・バス・アンド・ビヨンド(20日)、スポーツ用品のナイキ(21日)などの決算発表が予定されている。ナイキは6-8月期決算で、9-11月期も米国事業の低迷が続く見通しを示しており、決算では中国を中心とする海外事業の成長性に注目が集まるだろう。

経済指標では、12月NAHB住宅市場指数(18日)、11月住宅着工・建設許可(19日)、11月中古住宅販売件数(20日)、7-9月期GDP確報値(21日)、11月景気先行指数(21日)、10月FHFA住宅価格指数(21日)、11月個人所得・支出(22日)、11月耐久財・製造業受注(22日)、11月新築住宅販売件数(22日)などの発表が予定されている。耐久財受注では、設備投資の先行指標となる非国防資本財受注から製造業の景気動向を確認したい。また、7-9月GDP確報値では個人消費の拡大を確認できるかが焦点となるだろう。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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