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【通貨】為替週間見通し:ドル下げ渋りか、米税制改革法案は年内成立へ

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドル弱含みも米税制改革法案の年内成立の可能性高まる

先週のドル・円は弱含み。米連邦公開市場委員会(FOMC)が13日に公表した2018年の政策金利見通しは前回(9月時点)と変わらず、2018年は3回の利上げにとどまる可能性が高いとの見方が広がったことからドル売りが活発となった。ドル・円は12日の欧米市場で113円75銭まで買われたが、政策金利見通しが発表された13日のニューヨーク市場で112円台に反落した。今回のFOMC会合では0.25ポイントの追加利上げが予想通り決定されたが、2名のメンバーが利上げに反対しており、全会一致の決定ではなかったことも嫌気されたようだ。

ただ、税制改革法案に批判的だったルビオ共和党上院議員と支持しないことを表明していたコーカー共和党上院議員は15日、同法案を支持する意向を示したことから、リスク回避的なドル売りは一服した。15日のニューヨーク市場では11月の米鉱工業生産が市場予想を下回ったことから、ドルの上値は重くなる場面があったが、2名の共和党上院議員が税制改革法案の支持を表明したことを好感して、ドル・円は112円台前半から112円74銭まで戻し、112円61銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:112円03銭-113円75銭。

■ドル下げ渋りか、米税制改革法案は年内成立へ

今週のドル・円は下げ渋りか。12月12-13日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で、米連邦準備制度理事会(FRB)は予想通り、政策金利を0.25ポイント引き上げた。現時点で来年の利上げ回数は3回と予想されているものの、パウエル氏のFRB議長就任を含めて人事刷新が予想されるため、利上げ継続については懐疑的な見方が広がりやすい。このため、7-9月期国内総生産(GDP)など経済指標が低調だった場合、利上げペース鈍化の思惑が広がり、ドル売りがやや強まる可能性がある。

ただ、税制改革法案に批判的だった共和党のルビオ上院議員と法案を支持しないことを表明していたコーカー上院議員は15日までに改革法案の支持を表明したことから、同法案は年内に可決・成立する可能性が高くなった。米議会共和党が15日に公表した税制改革法案・最終案の概要によると、法人税率を現行の35%から21%に引き下げることや中小企業、個人事業主やパートナーシップなどのパススルー企業に課す税率は20%とすることが盛り込まれている。

所得税の税率区分は現行の7区分を維持し、税率は納税者の所得に応じ、10%から最高37%に設定される。高額所得者に対する最高税率は現行の39.6%から37%に引き下げられることになる。所得税の税率区分については一部で批判的な意見が出ているもようだが、マッカーシー共和党下院院内総務は「下院は19日に税制改革法案の採決を行う計画」との見方を伝えており、19日に下院で可決された場合、22日までに上院で採決・可決される可能性は高いと予想されており、ドル買い材料となる。

【米・7-9月期国内総生産(GDP)確報値】(21日発表予定)
21日発表の7-9月期国内総生産(GDP)確定値は、前期比年率+3.3%と改定値の+3.3%と同水準の成長率が予想される。来年3回の利上げペースに不透明感があり、下方修正された場合はドル売り材料になるとみられる。

【米・11月PCEコア指数】(22日発表予定)
22日発表の11月米PCEコア指数については、前年比+2.0%が政策変更の目安となる。9月に+1.3%まで伸びが鈍化したが、10月は+1.4%に持ち直した。11月のコア指数が10月実績を上回った場合、利上げ継続方針を後押しする手がかりとなろう。

予想レンジ:111円50銭-114円50銭

《FA》

 提供:フィスコ

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