【市況】米国株式市場見通し:FOMCが開催予定
今週は12-13日に連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されている。利上げ自体はほぼコンセンサスとなっているものの、声明文やイエレンFRB議長の会見で、今後の利上げやそのペースと方針、税制改革を前提とした18年度の景気動向などに具体的な示唆が得られるかどうかが注目点となるだろう。
個別企業では、会員制卸売のコストコ・ホールセール(14日)、ソフトウェアのオラクル(14日)、グラフィックソフトのアドビ・システムズ(14日)などの決算発表が予定されている。オラクルは従来のソフトウェア販売・サポートからクラウドベースの新サービスへの移行を進めているものの、同社の6-8月期のクラウド事業の売上見通しは予想を下振れ、株価下落に繋がった。一方で、市場予想は下回ったものの、着実にクラウド事業の割合を増やしており、オラクルに対する投資家の見方が従来のソフトウェア企業からクラウド企業へと変化するのは時間の問題だろう。
経済指標では、11月生産者物価指数(PPI)(12日)、11月消費者物価指数(13日)、11月小売売上高(14日)、11月輸入物価指数(14日)、12月NY連銀製造業景気指数(15日)、11月鉱工業生産(15日)などの発表が予定されている。全米小売業界(NRF) によると11月23日の感謝祭から27日までの小売店舗及びオンラインでの買い物客は昨年を上回る高水準となり、年末商戦の滑り出しは良好とみることができる。11月小売売上高も高い伸びを記録することが予想される。
12月2日に米税制改革法案は上院を通過、既に先月法案が通過している下院と、年内の同法案成立に向けて上下院での調整作業が行われている。議会は15日で閉会となることから年内の成立は厳しいと見られるが、来年初の成立は視野に入ってきている。同法案が成立すれば、海外留保利益に対する減税からハイテク株が恩恵を受けるとの見方が多いが、ハイテクはグローバルに展開する企業が殆どで既に実効税率が低く、アメリカの法人税率引き下げの影響は相対的に小さい。それだけでなく、現在上院案では設備投資や研究開発費等の控除を制限するAMT(代替ミニマム税)が盛り込まれている。最終的な減税法案次第だが、ハイテク企業が得られる減税のメリットは相対的に限られたものになるだろう。一方で、内需関連株、小売、金融等が株式相場のリード役になることが予想される。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ