【特集】「セルロースナノファイバー」関連、用途拡大で実用化加速<注目テーマ>
日本紙 <日足> 「株探」多機能チャートより
1 全固体電池
2 人材派遣
3 人工知能
4 量子コンピューター
5 技術者派遣
6 元号関連
7 防衛
8 半導体製造装置
9 電気自動車関連
10 仮想通貨
みんなの株式と株探が集計する「人気テーマランキング」で、「セルロースナノファイバー」が29位となっている。
セルロースナノファイバー(CNF)の実用化が加速している。2014年にポスト炭素繊維素材として産学官連携プロジェクト発足などで注目されて以来、幅広い分野で実用化に向けた取り組みが加速している。
CNFは、木質パルプなどを原料とし、植物繊維をナノレベルに精製した鋼鉄などよりも軽くて丈夫な植物由来の素材のこと。植物細胞の細胞壁・繊維の主成分となるセルロースをナノ(10億分の1)レベルにまで微細化することで得られ、鉄鋼の5分の1の軽さで、強度が同5倍以上あり、熱による変形が小さい(ガラスの50分の1程度)という優れた特性をもっている。これらを生かしてヘルスケア商品などが実用化されているほか、自動車部品などさまざまな分野で活発に用途開発が進められている。
日本製紙<3863>同社は、ポリプロピレンやポリエチレン、ナイロンなどの樹脂にCNFを混錬して得られるCNF強化樹脂の実用化を目指して富士工場に実証生産設備を建設した。通常のCNFに樹脂を添加することで、より軽量、高強度で熱による寸法変化を抑えることが可能になる。今後は自動車メーカーと部材で連携を図っていく。工場は6月末に計画通りに完成し7月から稼働を開始している。
このCNF強化樹脂を自動車向けで従来の素材から置き換えると、車体の重量を20キログラム程度軽量化することが可能となるという。京都大学がこの分野の研究で先行しており、王子ホールディングス<3861>や星光PMC<4963>、三菱ケミカルホールディングス<4188>なども研究プロジェクトに参加している。製品の実用化や生産コストの低減など、なお課題はあるものの、これが実現すると地球温暖化対策の有効な手段となる。
工業用薬剤トップの第一工業製薬<4461>は、15年に三菱鉛筆<7976>が発売したゲルインクボールペンのインクに同社が生産したCNFが増粘剤として使用され、初の実用化に成功した。さらに、第一工業製薬のCNFを使用した増粘剤「レオクリスタ」は、新たに化粧品や日用品に採用され、水性ゲルインクボールペンに続く実用化で用途を広げつつある。
出所:みんなの株式(minkabu PRESS)