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【特集】檜和田浩昭氏【歴史的“強気相場”、この波はどこまで】(2) <相場観特集>

檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)

―日経平均15連騰、台風一過の東京市場で上昇は続くか―

 東京株式市場では稀にみる強気相場が繰り広げられている。週明け23日も大きく買い優勢で始まり、その後も高値圏で売り物をこなし、日経平均株価は遂に歴代単独1位となる15連騰を達成した。米国株上昇や為替の円安、22日の衆院選では自民・公明合わせて総議席数の3分の2を超える圧勝を果たすなど好条件が重なったが、目先的には一方通行の上昇に伴う過熱感が拭えないのも事実だ。気が付けば10月も第4週に入った。先読みに定評のある市場関係者2人に晩秋のマーケットをずばり占ってもらった。

●「日経平均は1996年高値を目指す展開に」

檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)

 衆院選で自民党が勝利して、与党で全議席の3分の2以上を獲得し、来年9月に予定される自民党総裁選で安倍首相が3選を果たす可能性が高まった。政権の安定度を投資のバロメーターとする海外投資家にとって、日本株に投資しやすい環境が整ったといえる。外国人投資家が日本株を売り越していた時期には、政権への先行き不透明感があったようだ。

 日経平均は、きょうで、誰も経験したことの無かった歴代最長となる15日続伸を記録した。今後の続伸記録にも興味は向くが、実際には急ピッチな上昇を続けているだけに、小幅な調整はいつあっても不思議はない。ただ、本格化してくる4-9月期決算や、18年3月期通期業績見通しへの好評価や、外国為替市場でのさらなる円安・ドル高進行の可能性などを考慮すると、深押し無く年末に掛けてジリ高歩調をたどることになりそうだ。

 前週末20日現在の日経平均の1株利益(EPS)は1430円で、PERは15倍となっている。現在のEPSのままでも、PER16倍まで買われれば、日経平均株価は、2万2880円となり、1996年の高値である2万2666円を上回ることになる。さらに、今後の4-9月期決算の発表に伴ってEPSが上積みされれば、15倍台のEPSのままでも、96年高値を更新する可能性は十分ある。

 アベノミクスの経済政策が継続することで、黒田東彦日銀総裁再任の可能性も高まり、財政政策と大規模な金融緩和により企業業績の向上期待が膨らむことになる。さらに、米国の金利引き上げ政策による円安・ドル高進行とも相まって、来期業績の拡大期待も浮上しそうだ。注目のセクターとしては、アジアなどの新興国での需要拡大を背景とした省力化システムなどの産業用機械をはじめ、IoT(モノのインターネット)、自動運転、人工知能(AI)、半導体関連などに注目している。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長を経て2015年11月から現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。

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