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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 物色は超値がさ株から中位株へ

株式評論家 植木靖男

「物色は超値がさ株から中位株へ」

●パラダイムシフトの予兆、“バブル崩壊後”の終焉か

 株価の上昇が続いている。週末段階で14日連騰である。これは1960年以来、56年9ヵ月ぶりのことという。“もはや戦後ではない”と1956年の経済白書は記述しているが、今回の連騰はバブル後初めてである。“もはやバブル崩壊後ではない”という印象が強い。相場は新しいステージに入ったのであろうか。

 ここ数年、欧米先進国のみならず新興国も軒並み株価が史上最高値を更新するなか、「日本株は出遅れだ」と再三言われ続けてきた、そのうっ憤を晴らすかのような騰勢ぶりである。

 では、なぜいま株価は強いのか。

 単純にいえば、ひとつは、世界的に資金余剰が続いているからにほかならない。リーマン・ショック後、実需を上回る資金供給が続いている。こうした資金が株式市場に流入している。ふたつには、こうした資金余剰を背景に、企業は効率的なM&Aなどを通じて、あるいは第4次産業革命といわれるIoTAI(人工知能)などの新成長産業の誕生で企業収益が着実に伸びていることだ。

 加えて、景気が拡大するなか、物価が騰がらず長期金利が低位で安定していることが株価にとってはプラスとなっている。

●年内2万2000円目標も、一旦小休止の公算

 さて当面、株価の上昇基調は持続するとみてよく、市場関係者の多くは年内に日経平均で2万2000円といったコンセンサスのようだ。それに異議をはさむ気はないが、ここから一本調子に目標値まで駆け上がるのか。

 これまでの経験則では、連騰のあと、直後もしくは暫くの日柄を置いて数百円程度の調整を経て、最後の頂上に到達するケースが多い。

 今回のケースでは、2万0500円~2万0700円処にフシがある。また、本年4月安値から10月20日まで日柄で128日間である。水準、日柄ではほぼ高値圏に入ってきたことは疑問の余地はない。日々の値動きのなかで、これまでなかった荒波が目立ってきてもいる。利食い売りと押し目買いがぶつかり合って生じる波といえよう。

 小休止に入るきっかけは何か。こういう際は材料は問わないのだ。ほんの一寸した材料でも相場が過熱していれば、熟した柿が僅かな風でも落ちてしまうのと同じである。

 では、物色銘柄はどう変化していくのであろうか。

 これまで、株価を牽引してきたのは、いうまでもなく超値がさ株であった。しかし、一部を除いて多くはもみ合い、もしくはもみ合いに入ろうとしている。とすれば、今後は業績に若干不安はあってもPERが低い、あるいは高配当利回り株で中位株が注目されているのではないか。ここもと100円~200円の銘柄が動意づいてきたのは、その証のように思われる。今後相場に波風が立つようになれば、この傾向は一段と強まるのではないか。日本水産 <1332> 、東ソー <4042> 、バンダイナムコホールディングス <7832> などに注目したい。

2017年10月20日 記

株探ニュース

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