【特集】百戦百敗、ワイの逆をやったら儲かるで! “曲がり屋稼業”トレードマスターMという男
トレードマスターM 堀田勝己
「日経平均先物、2万850円で買いや!」もちろん日経平均は下がった。Livetrade225のチャット画面に次々にお礼の言葉が書き込まれる。「ありがとうございます!」「マスターの反対にしたらホンマ儲かりますわ」。
「2万850円で買い」と叫んだ男はトレードマスターM。相場の世界では、予想がことごとく外れる投資家を、「曲がり屋」や「逆神」と呼ぶ。Mは曲がり屋を商売にしている男だ。Mが主催する「トレードマスターラボ」は、「Livetrade225」というリアルタイムトレード実況サービスを10年近く続けている。Mによる日経225先物miniのトレード実況のユーザー満足度は80%超。その理由が、「俺の逆をやれば儲かるで」という“ありえへん”サービス形態にある。トレードマスターラボは、そしてMは、いかにしてこのサービスにたどり着いたのか。大阪を地盤に投資関連事業を展開するトレードマスターラボのリアルタイムトレード実況サービス「Livetrade225」の秘密に迫る。
M氏 「投資は夢の実現に向けた「資産形成」の一つの方法。せやから、勝つためにもっと勉強せなあかん! みんなはどないしてるん? 自分のやり方とどう違うんかな? 一人で悩まずみんなに聞いて負けない投資のやり方やリスクを低減させる投資手法を身につけるべき!」
大阪を地盤に投資関連事業を展開する「トレードマスターラボ」。「Livetrade225」では、プロトレーダーによる相場の徹底的な分析・検証のもと、生音声やライブチャットを活用して、個人投資家のコミュニティーが作られ、活発な情報のやりとりが行われている。
●経緯1
M氏 「ちょっと生意気かもしれへんけど、みんなに正しい投資知識のもと、成功体験を通して投資への悪印象を払拭して欲しい。ようは、現金や貯蓄と同じように「投資資産」を扱えるようになってもらいたい!」
M氏が株式投資を始めた2006年頃の投資手法は、現物株をメーンに、いわゆるボロ株と言われる低位株にも手を出すなど悪戦苦闘の日々。そうした中、SNSの投資グループに参加。個性あふれるM氏の発言が面白いと瞬く間に評判を呼び、周りの後押しもあって自らSNS上にグループを集めることとなる。その手法もユニークで、1人10円あるいは100円の参加費でグループメンバーを募ったところ、1000人を超える投資家が集まった。この時、「お金を集めるのなら助言業の登録が必要」と、投資仲間からアドバイスを得て、2009年に助言業の登録をして「トレードマスターラボ」がスタートした。
●経緯2
M氏 「なんも難しいことはあれへん!「俺の逆をやれば儲かる」で突っ走ったら、なぜかみんながついてきてくれた。たぶん、反面教師として捉えて欲しいっていう正直さが伝わったのだと思う。このコミュニティーでのみんなとのコミュニケーションを通じて、へたくそやった自分の投資が見違えるほど、うまくなれた!」
投資を始めた当初は、失敗の連続だった。「絶対に負けない」が謳い文句の本やソフトなどの投資教材を買うのだが、勉強すればするほど負ける。そこで、通算9割以上負けているM氏がリアルにポジションを張り、それを参考にして逆のポジションでみんなに投資してもらう手法を考えた。また、キャッチフレーズを「俺の逆をやれば儲かる」としたことで、M氏の投資に対する正直さとユニークさが反響を呼んだ。
開設した投資グループは、M氏が講師兼MC(司会)を務めるコミュニティー。ここでは、参加者が投資の方法を公開して、それをみんなで学ぶ。あるいは疑問点などを直接、1対1で議論するといったこともできる。そんな中、M氏自身もみんなの話を聞き、色々教えてもらうことで、次第に投資が上達し4~5年たった頃には、今度は負けない投資家へと変身していた。このSNSのグループが現在の「トレードマスターラボ」の「Livetrade225」事業の原点である。
●特長1
M氏 「みんなでプロの指導のもと、情報共有することで、安心してトレーディングに向き合える環境を構築したかった。とにかく、ほかではやっていない独自のユニークさを打ち出したかった。気づいたら、リアルタイム実況の配信は、もう10年続くサービスになっていた」
当時は、オンラインでプロのトレーダーによるリアルタイム実況を行う配信サイトは珍しかった。今日でも、あまり見かけることは少ない。なぜなら、「トレーディングは1人でやるもの」というのが一般的だからだ。しかしながら、実際のトレーディングでは、タイミングや投資金額などをどうしたら良いのか、不安になったり、誰かに聞きたくなったりするもの。自分以外の他人がどんなポジションをとっているか知りたくなったりもするのが人情ではないだろうか。
この「トレードマスターラボ」の「Livetrade225」は、「一人で考えても分からないから、プロトレーダーと情報交換」を強味に、「初心者歓迎」、「リアルタイム」、「自立応援」、「情報交換」、「10年の実績」などの各要素がシナジーを産み、認知度が向上してきている。様々な投資家や投資を始めたい人の悩みや不安を、みんなの情報を共有することで、自身の立ち位置や方向性を確認できる場として認識されている。参加者は、専業投資家や会社経営者、もちろん一般の会社員や主婦、学生など様々だが、プロのトレーダーがどう売り買いしているか知ることができるコミュニティーは数少ない。加えて、M氏自身は、現在も“しくじり先生”の立ち位置であることには変わりがなく、こうすれば勝つというだけではなく、負ける話が聞けることが同サイトの魅力のひとつであろう。
●特長2
M氏 「投資対象は日経225先物miniが中心。実は、現物株でしかも低位株を扱って、紙切れにしてもうた苦い経験がある。その点日経225先物miniは、リスクが低く、みんなが知っている指標なので、ごまかせへん。その他、トレーディングする上では、いっぱいメリットがあると思う」
「トレードマスターラボ」の「Livetrade225」では、投資対象を日経225先物miniに絞っている。2008年のリーマン・ショックの当時は現物株も扱っていたが、低位株に投資していたため、株は紙切れ状態となり一部の銘柄は実際に倒産している。こうした苦い経験を踏まえ、同社では倒産リスクの無い日経225先物を中心としている。また、日経225先物miniは少額でも取引ができるだけでなく、買いからも、売りからも取引が可能で個別銘柄を選ぶ必要も無い。相場の状況にもよるが、日経225であれば倒産の危険性は無く、誰でも知っている指標だからごまかしようがないなど、数多くの長所がある。
●希望
M氏 「これからは、みんなが金融情報や投資情報に強くなるべきやと思う。超低金利の日本では、銀行にお金を預けても金利はつかないも同然、自身の「資産形成」について、もっと真剣にならんとあかん。みんなに“正しい投資知識”を身につけて欲しい」
今の日本では、投資の経験者はまだまだ少ない。ただ、現在の超低金利時代にお金を増やそうとすれば、投資は「資産形成」のための避けられない手法のひとつである。しかし、投資の際にリスクをどこまで取ったらいいのか? 投資に失敗すると、大事なお金を失ってしまう可能性もあり、投資活動には正しい知識と的確なアドバイスという「地図とコンパス」があるにこしたことはない。
実際に「FX? 株式投資? 225先物?ってナニ」と感じる人は多く存在する。基本的なところが分からないと、自分が何に投資して、どんな投資スタイルで対応していいのか分からなくなってしまうだろう。これからの時代は、「年金」をはじめ、身近にある「お金がらみ」のあらゆるものに投資という「資産形成」の方法は関係してくる。だからこそ、「投資=不労所得」というネガティブな捉え方ではなく、むしろ「投資=知識(理論)による資産形成活動」とポジティブに認識すべき時代である。現在を生きる私たちにとって、「投資」をはじめ、金融リテラシーを高めることが一段と重要な時代になっていくことは間違いない。
<プロフィール>
トレードマスターM 堀田勝己(ほった・かつみ)
2006年、株式投資を始める。2009年、助言業登録し「トレードマスターラボ」を開始。2017年4月にはトレードマスターラボ株式会社を法人化。同社の「Livetrade225」では「トレードマスターM」の名前で登場している。
株探ニュース