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【市況】国内株式市場見通し:アク抜け期待も北朝鮮情勢や政治不安が重しにも

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

先週の日経平均は上昇。5日続伸で2015年8月以来の20700円を回復した。北朝鮮情勢のほか、衆院選で与党が苦戦して国内政治が不安定化する懸念も浮上するなか、積極的な売買は手控えられた。しかし、その中で海外ファンド経由とみられるインデックス買いが断続的に入っており、指数インパクトの大きい値がさ株など主力処が日経平均を押し上げた。米国ではトランプ政権が公表した税制改革案の実現期待から投資家心理が改善するなか、予想を上振れた経済指標や米長期金利の上昇が好感された。一方で、個人主体の中小型株は高安まちまちとなり、週を通じて防衛関連への物色が強まるなど、手掛けづらさが窺えた。

来週は米雇用統計が通過するほか、中国市場が休場明けとなり、アク抜けから物色が強まる可能性がありそうだ。9月の米雇用統計については、ハリケーンの影響で就業者数が7年ぶりに減少した。一方で失業率は4.2%と2001年初め以来の低水準をつけ、労働参加率は前月の62.2%から62.6%へ上昇した。これほど力強い労働市場と安定的な経済成長は消費者物価の上昇を加速させるとみられ、連邦準備制度理事会(FRB)は年内の追加利上げ路線を維持する公算が大きい。

中国については、休場中に香港ハンセン指数が約10年ぶりの高値をつけた他、上場している中国企業のうち、中国本土で登記している企業の株式を表している香港H株指数が高値を更新しており、国慶節による休場明けの中国市場の上昇が意識されそうだ。休場中には商品相場も低迷していたこともあり、中国関連のほか市況関連への関心も高まりそうである。

一方で、北朝鮮情勢が重しになろう。金正恩朝鮮労働党委員長は先月下旬、声明を発表し、「史上最高の超強硬な対応措置」に言及した。連休明けとなる10日の朝鮮労働党の創立記念日に合わせて新たな軍事挑発に出るのではないかと各国が警戒している。これを無事に通過してくるようだと、安心感につながる可能性がある。しかし、中国による圧力強化の動きに反発して挑発に出る可能性から、中国共産党大会が開幕する18日前後を警戒する見方などもあり、積極的な上値追いは慎重にさせそうだ。足元で石川製作<6208>など防衛関連銘柄が動意付いており、思惑も高まりやすく、有事への警戒などが個人主体の中小型株への売買を手控えさせる一因にもなる。

また、国内では衆院解散後、突如吹き荒れた小池旋風の煽りを受けてか、自民党の単独過半数割れを指摘する予想が続出している。今回の日本株がリバウンド基調を強めた一因としては海外ファンドによる買いの影響が大きいが、タイミング的には内閣支持率が上昇したことが背景にあった。衆院選に向けた世論調査で安倍政権が危うくなるようだと、政治リスクが高まる可能性があり、海外ファンドによる日本株買いの動きにも変化が見られる可能性がありそうだ。

一部報道では小池氏の支持率が急落したと伝えられているが、それでも7割超の高水準である。その他、小池氏が最終兵器として、小泉進次郎氏を自民党から一本釣りするとの憶測等の流れており、10日の衆議院選挙公示により、各党の候補者擁立や公約作成などを見極めたいところであろう。政策に関連した物色が強まる可能性のほか、与党過半数割れへの警戒感が強まるようだと、消費増税延期から日本の格下げリスクが警戒されようが、希望の党の企業の内部留保への課税について評価する向きもあるため、市場の反応を見極める必要がありそうだ。とはいえ、政治停滞リスクから、慎重姿勢は崩せないだろう。日経平均は年初来高値更新から2015年8月高値突破が射程に入っているが、インデックスに絡んだ商いを除くと、神経質な相場展開といったところか。

その他、経済イベントでは、9日にユーロ圏財務相会合、10日に8月の国際収支、11日に米FOMC議事録が公表され、12、13日にG20財務相・中央銀行総裁会議がワシントンで開催される。また、米国では決算シーズンとなり、12日にJPモルガンとシティなど、大手米銀の決算が始まる。その他のイベントでは9日にノーベル経済学賞の受賞者が発表されるほか、10日にIMFが世界経済見通し(WEO)を発表する。

《FA》

 提供:フィスコ

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