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【特集】田部井美彦氏【走り出した総選挙相場、日経平均高値更新の意味は】(3) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

―10月22日投開票に向けた相場展開を聞く―

 名実ともに下期相場入りとなった2日の東京株式市場では、利益確定の売り圧力を吸収して日経平均株価は反発に転じ、年初来高値を更新した。ただ、アジアの主要株式市場が休場でマーケット参加者が限られたことや、10月22日投開票の日程で走り出した総選挙モードのなか、自民党と希望の党を中心とする選挙情勢を見極めたいとの思惑もあり、上値の重い展開となった。ここからの株式市場と為替市場の動向をどう見るか、第一線で活躍する市場関係者の意見を聞いた。

●「4-9月期決算発表に伴う業績上方修正で2万800円台目指す」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 過去50年間の衆院解散から投票日の前営業日までの日経平均株価騰落率のパフォーマンスを振り返ると「14勝1敗」という結果で、「選挙期間中の株価は高い」というアノマリーが成立している。例え、世論調査の結果で与党の苦戦が伝えられるようなケースでも、形勢の挽回を図ろうと、さらなる経済政策が公表されることも想定され、株式相場にとってはプラス要因となる。

 きょう発表された日銀短観9月調査では、17年度の大企業・製造業の想定為替レートは、1ドル=109.29円で、足もとの円安・ドル安進行が企業業績にプラスに作用することが想定される。10日は北朝鮮の朝鮮労働党創建記念日に当たり、一時的に地政学リスクが高まることが予想される、ただ、22日の総選挙投開票日以降は、4-9月期の決算発表が本格化することから、円安・ドル高進行などを追い風に通期業績の上方修正に伴うPERの低下で、日経平均株価は11月に向けて2万800円台乗せを目指すことになりそうだ。

 個別銘柄では、秋の医療・医薬品関連学会シーズンで注目したいのが、医療用医薬品のライセンス導入・導出および開発を手掛ける創薬ベンチャーのメディシノバ・インク <4875> [JQ]だ。同社は、進行型多発性硬化症、ALS(筋萎縮性側素硬化症)、薬物・嗜好品依存症のそれぞれの治療に対応した新薬の開発を進めており、開発状況の進展が期待できそうだ。

 国土交通省の試算によると、2023年には道路や橋梁の老朽化(建設後50年超の経年)が急速に進むことから補修・再建の需要拡大が見込める。ダイヤモンド使用のコンクリート構造物切断・穿孔工事が主力で、水圧利用のウォータージェットも手掛ける第一カッター興業 <1716> [東証2]に注目。さらに、EV(電気自動車)の飛躍的な需要拡大に伴って対応が急務となっているバッテリーの放熱対策関連銘柄としてセンサー専業のSEMITEC <6626> [JQ]も見逃せない。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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