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【特集】神田卓也氏【走り出した総選挙相場、日経平均高値更新の意味は】(2) <相場観特集>

神田卓也氏(外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長)

―10月22日投開票に向けた相場展開を聞く―

 名実ともに下期相場入りとなった2日の東京株式市場では、利益確定の売り圧力を吸収して日経平均株価は反発に転じ、年初来高値を更新した。ただ、アジアの主要株式市場が休場でマーケット参加者が限られたことや、10月22日投開票の日程で走り出した総選挙モードのなか、自民党と希望の党を中心とする選挙情勢を見極めたいとの思惑もあり、上値の重い展開となった。ここからの株式市場と為替市場の動向をどう見るか、第一線で活躍する市場関係者の意見を聞いた。

●「今月下旬にかけ一段のドル高進行も」

神田卓也氏(外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長)

 10月のドル円相場は、下旬にかけドル高・円安が進む展開を予想する。米国情勢をみるうえでのポイントは、米税制改革案がどこまで実現可能かという点だ。一部には疑問視する見方もあるが、米共和党首脳と合意ができたことは大きい。10月中かどうかは別としても、年内の成立に向けて前進することは期待できるのではないか。また、米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長は2~3週間以内にも決まる可能性がある。ケビン・ウォーシュ元FRB理事が有力候補に浮上しているが、ややタカ派の同氏がFRB議長に就任すればドル高要因となるだろう。

 国内要因では、やはり22日の総選挙が注目材料だ。「希望の党」の台頭もあり当初の予想から、情勢が大きく異なってきた。今後の状況を確かめる必要があるが、仮に政権交代が実現した場合、アベノミクス後退によるドル安・円高は必至だ。ただ、与党による過半数獲得がやはりメーンシナリオだろう。月末の日銀金融政策決定会合では片岡剛士審議委員から新たな追加緩和策が提案される可能性もある。これは「出口論」が封印されることになり、円安要因だ。こうしたなか、ドルは今月下旬にかけドル高・円安が進むとみている。ドルのレンジは1ドル=111~115円50銭を想定する。

 ユーロは、10月26日の欧州中央銀行(ECB)理事会で、量的緩和縮小に関する何らかのアナウンスが出る可能性がある。このECBの声明とともにユーロは材料出尽くし感で反落することも予想される。ユーロの想定レンジは1ユーロ=1.15~1.20ドル。トレンドは月末にかけてユーロ安・ドル高だろう。対円では1ユーロ=131~134円50銭の横ばい圏を予想している。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(かんだ・たくや)
外為どっとコム総合研究所、取締役、調査部長。1987年福岡大学法学部卒業。第一証券(現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券)を経て、1991年メイタン・トラディション入社。インターバンク市場での為替・資金・デリバティブなどの取引業務を担当し、国際金融市場に対する造詣を深める。2009年7月、同研究所入社。

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