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【特集】馬渕治好氏【嵐は去った――秋晴れ日本株どこまで上がる?】(1) <相場観特集>

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

―解散総選挙も相場押し上げ、この強気ムードは“ホンモノ”か―

 3連休明けとなった19日の東京株式市場で日経平均株価は一気に上値追い態勢を強め、8月7日以来となる2万円大台を大きく回復した。上値追い態勢の続く米国株市場に加え、為替も1ドル=111円台後半まで円安が進行していることが強気の投資家心理を後押ししている。さらに、安倍首相が衆院・解散総選挙の意向を固め、にわかに選挙モードとなったことも過去の経験則から株高を助長している。9月第1週の“どんより感”が嘘のような秋晴れ相場だが、ここからの見通しはどうか。ベテラン市場関係者2人に話を聞いた。

●「短期リバウンド局面だが反動安も考慮」

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

 日経平均の2万円大台回復は予想以上の速さで、やや需給先行で駆け上がった面は否めない。基本的には、好実態の日本企業のファンダメンタルズをベースに米株高と為替の円安進行が株価を後押しする構図だ。目先は、米国株についてはハリケーン被害が想定を下回ったことで、積み上がったショートポジションの巻き戻しが株価を押し上げる要因となり、日本株は北朝鮮リスクに絡むショートカバーがリスクオンの流れを強める形となった。しかし、いずれも継続的な買いを促すような類いの材料ではなく、買い一巡後はその反動も考慮されるところだ。

 また、安倍首相の衆院解散・総選挙の意向も足もとは株高モードを増幅させる方向に働いたようだが、これについても懐疑的な目で見ている。いくら過去の経験則が選挙イコール株高であったにせよ、今回のケースが中期的に株価に浮揚効果を与えるとは思えない。政治の中身に変化が生じるわけではなく、ポジティブでもネガティブでもない、政権維持のための選挙という感じである。

 米国ではトランプ大統領が政策面で民主党にややすり寄っているようなフシがみられ、共和党との関係が悪化する懸念がある。これは相場にはマイナスの影響を与えかねない。(19~20日のFOMCの結果が市場の想定ラインだったとしても)為替も今の水準をキープし続けることは難しく、再び1ドル=110円を下回る円高局面が来るとみている。

 諸々の外部条件を勘案すれば、日経平均2万円大台はまだ盤石とはいえず、もう一度割り込む可能性が高い。また、下値は意外に深く年末には1万9000円台も下回るケースがあると考えている。したがって、ここは慎重な投資スタンスが求められると思う。

 個別の企業業績は自信の持てる局面にあり、引き続きTHK <6481> 、安川電機 <6506> 、キーエンス <6861> などの設備投資関連はマークされよう。このほか、インバウンド第2弾で追い風が強まっている化粧品関連株にも注目しており、資生堂 <4911> やポーラ・オルビスホールディングス <4927> などに上値余地があると考えている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(まぶち・はるよし)
1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程終了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は多数。最新の書籍は「勝率9割の投資セオリーは存在するか」(東洋経済新報社)。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。

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