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【通貨】為替週間見通し:もみ合いか、米12月利上げ期待も地政学リスクを意識

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■北朝鮮ミサイル再発射もドル・円は一時111円台に上昇

先週のドル・円は反発。9日、10日に北朝鮮によるミサイル発射がなかったことから、リスク回避の円買いは一服し、週初からドル買い・円売りが優勢となった。先週発表された米経済指標は強弱まちまちの内容だったが、8月消費者物価指数は市場予想をやや上回ったことから、12月の追加利上げ観測が再浮上し、ドル・円は111円台に上昇した。

日本時間15日早朝に北朝鮮が弾道ミサイル1発を発射したことから、ドル・円は一時109円台半ばまで反落したが、リスク回避の円買いはほどなく一巡。アジア諸国の株価指数はおおむね上昇したことから、リスク選好的なドル買い・円売りが活発となった。ロンドン市場でドル・円は111円33銭まで一段高となった。ユーロ、ポンドに対する円売りが増えたことも影響したようだ。

ただ、15日発表された8月の米小売売上高と鉱工業生産指数はいずれも市場予想を下回ったことから、ドル・円は110円62銭まで反落し、110円84銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:108円09銭-111円33銭。

■もみ合いか、米12月利上げ期待も地政学リスクを意識

今週のドル・円はもみ合う展開か。米連邦準備制度理事会(FRB)は19-20日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で、現行の金融政策を維持する公算だが、バランスシートの縮小を決定するとみられており、金融正常化方針の維持が好感されそうだ。足元のインフレ指標は予想をやや上回っており、12月に追加利上げが行われる可能性は残されていることもドル相場を下支えする要因となる。

また、トランプ政策の目玉である税制改正論議が、野党との協議によってさらに進展する見通しとなっていることも好材料。株高・ドル高の相場展開となる可能性がある。大型ハリケーンによる被害は当初の想定を下回るとの見方が広がっており、米長期金利は反転していることもドル買いを誘発するだろう。

24日に行なわれるドイツ連邦議会選を控えて、リスク選好的なユーロ買い・米ドル売りはやや抑制されるとみられている。メルケル首相率いるドイツキリスト教民主同盟(CDU)の第一党維持が予想されているが、選挙結果について慎重な見方が広がった場合、ユーロ売り・ドル買いが活発となり、この影響でドル・円の取引でもドル買いがやや優勢となる可能性がある。

一方、引き続き北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる米朝対立は為替相場に大きな影響を及ぼすことが予想される。国連安全保障理事会は15日、北朝鮮による弾道ミサイル再発射を非難する声明を発表した。安保理は、「こうした行動(弾道ミサイル発射)は地域だけでなく、すべての国連加盟国に対する脅威となる」とした。

市場関係者の間では、「国連安保理が非難声明を発表しても北朝鮮の挑発行為を抑止することはできない」との見方が広がっている。弾道ミサイルの発射は今後も続く可能性があることから、東アジア情勢のさらなる緊迫化は避けられないとの声も聞かれており、地政学リスクの増大を警戒したリスク回避の円買いが大幅に縮小することはないとみられる。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(19-20日開催予定)
FRBは日本時間21日午前3時に声明を発表し、その後イエレンFRB長が記者会見する。政策金利は1.00-1.25%に据え置きの公算。バランスシートの縮小開始時期が決定された場合、金融政策正常化の方針堅持が好感され、年内追加利上げ期待がやや高まりそうだ。

【日銀金融政策決定会合】(20-21日開催予定)
日銀は20-21日に金融政策決定会合を開催し、現行の金融政策の維持を決める公算。また、終了後は黒田東彦総裁が記者会見する。従来の金融緩和策の「出口」をめぐる議論は時期尚早としていた従来の姿勢を改めた場合、早期の金融緩和解除への思惑が広がり、円買い材料になる。

予想レンジ:109円00銭-112円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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