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【特集】大谷正之氏【Xデー“9月9日”説と世界の行方】(3) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―全面安も押し目買い観測、Xデー通過後マーケットはどう動く―

 週明け4日の東京株式市場では日経平均株価が4日ぶりに反落し、一時は心理的なフシ目である1万9500円ラインを下回る場面もあった。3日に北朝鮮が核実験を強行、ICBM搭載用の水爆実験に成功したと発表したことで、投資家心理は一気にリスクオフに傾いた。しかし、東証1部の9割の銘柄が下落する全面安商状のなかで、下値ではしたたかに押し目買いの動きも観測されている。ここからの株式市場の見通しと為替の動向について、市場第一線で活躍する関係者3人の見解を聞いた。

●「地政学リスク警戒で買い手控え、日経平均200日線の攻防が焦点」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 きょうは、3日に北朝鮮が核実験を強行したことによる地政学リスクの高まりを嫌気して、ひとまず換金売りに動く投資家が目立った。北朝鮮の核実験を受けて、国連安全保障理事会緊急会合が招集される見通しにあり、北朝鮮への新たな制裁の有無やその内容、さらに中国の反応に関心が集まりそうだ。

 北朝鮮でICBM(大陸間弾道ミサイル)などミサイル発射の兆候があることや、米韓両国が米軍の戦略爆撃機や原子力空母の朝鮮半島への派遣などについて協議していることなどが新たに伝えられるなど、少なくとも9月9日の北朝鮮の建国記念日前後までは、予断を許さない状態が継続しそうだ。

 海外投資家をはじめ、国内の機関投資家や個人投資家も「当面は事態の推移を見守りたい」として手控え姿勢を強めている。株価面での当面の焦点は、日経平均の200日移動平均線(1万9372円=4日)を防衛できるかどうかだ。200日線を大きく割り込んでくると、調整が長期化する懸念もある。

 米株式市場は、レーバーデーの祝日による3連休が明けると、米債務上限の引き上げ問題が迫ってくる。米国政府は財政赤字を支えるために米国債を発行して借入をする必要がある。この債務については上限が議会で決められており、債務が上限に達した場合、議会で改めて債務上限の引き上げが必要となる。期限の9月末までに、もしこれが実現しないと政府はデフォルト(債務不履行)に陥る。米トランプ大統領の今後の政権運営次第では、懸念が浮上する可能性もある。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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