【特集】山内俊哉氏【Xデー“9月9日”説と世界の行方】(2) <相場観特集>
山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員)
―全面安も押し目買い観測、Xデー通過後マーケットはどう動く―
週明け4日の東京株式市場では日経平均株価が4日ぶりに反落し、一時は心理的なフシ目である1万9500円ラインを下回る場面もあった。3日に北朝鮮が核実験を強行、ICBM搭載用の水爆実験に成功したと発表したことで、投資家心理は一気にリスクオフに傾いた。しかし、東証1部の9割の銘柄が下落する全面安商状のなかで、下値ではしたたかに押し目買いの動きも観測されている。ここからの株式市場の見通しと為替の動向について、市場第一線で活躍する関係者3人の見解を聞いた。
●「北朝鮮リスクは持続性に欠ける、緩やかなドル安・円高基調に」
山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員)
北朝鮮情勢への関心は強いものの、米国が軍事的行動に出ることはかなりハードルが高く、中国・ロシアに圧力をかける情勢が続くと思う。スケジュール的には9日の建国記念日に加え、来月10日の朝鮮労働党創立記念日まで、北朝鮮はICBMの開発などを加速する可能性がある。しかし、その後はミサイル開発などは一巡することも予想される。米国がどれだけ状況を容認できるかだが、北朝鮮リスクでどこまでも円高が続くとは思えない。市場が北朝鮮リスクを意識した際の反動は大きいが、これまでおおよそ1日程度でリスク要因は織り込まれており、持続性に欠けている点には注意が必要だ。
結局、市場の関心は金利動向に向かうとみている。焦点は19~20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)だが、年内利上げに踏み切る可能性は後退するとみており、金利は低下基調を見込む。米国の債務上限問題も最後は歩み寄り、政府閉鎖などは回避されるだろう。
今後1ヵ月程度のドル円相場のレンジは1ドル=107円00銭~112円00銭前後。米金利の低下に北朝鮮リスク、それにユーロのテーパリング(量的金融緩和縮小)の後退などが重なれば107円もあり得るが、米利上げ観測が強まれば112円に上昇するかもしれない。ただ、基本的な基調は緩やかなドル安・円高を想定している。
ユーロ円は1ユーロ=126~130円前後。ユーロは対円で買われ過ぎており、ユーロ安基調を予想する。ユーロドルは1ユーロ=1.17~1.21ドル。対ドルでもユーロは調整局面とみている。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(やまうち・としや)
上田ハーロー、執行役員・マーケット企画部長。1985年 商品先物会社入社。コンプライアンス、企画・調査などを経て1998年4月の「外為法」改正をうけ外国為替証拠金取引の立ち上げを行う。2005年7月 上田ハーロー入社。前職の経験を生かし、個人投資家の視点でブログなどへ各種情報の発信やセミナー講師に従事。日経CNBC「朝エクスプレス」為替電話リポートに出演のほか、金融情報サイトなどへの情報提供などでも活躍している。
株探ニュース