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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「想定のアヤ戻り、小口・短期の割り切り勝負」

株式評論家 富田隆弥

◆8月最終週、マーケットは北朝鮮のミサイルに翻弄された。29日に日経平均株価は1万9280円まで下げ、日経平均先物は夕方に安値1万9240円を、NYダウ平均も寄り付き早々に安値2万1673ドルを付け、為替ドル円は108.25円まで円高(ドル安)を進める。だが、さすがはアメリカ。NYダウは安値のあとすぐ切り返し、29日は56ドル高の2万1865ドルとプラスで終え、為替も109.60円に戻す。これで日本市場も安心感を取り戻し、日経平均は30日、31日と続伸し、1万9687円まで戻している。

◆軟調に推移した8月だが、チャートは反転しておかしくない状況にあった。日経平均は200日移動平均線(1万9321円)に加え、一目均衡表の遅行線が位置する「雲」の下限(1万9271円)水準にほぼタッチ。RCIが底値に集まる一方、サイコロジカルライン(サイコロ)は2勝10敗を3回つけ、3勝9敗以下を29日まで8日間続けた。

◆ただ、問題は陰転を暗示した日足チャートが好転を確認できるところまで上昇できるかどうかである。テクニカルではデッドクロスした25日移動平均線(1万9708円)と75日線(1万9882円)、割り込んだ一目均衡表の「雲」(1万9883円~2万0065円)などが戻りの節となる。それら1万9700~1万9880円辺りまでの上昇は想定されるものの、それはアヤ戻りであって、好転には少なくとも2万円大台の回復が必要だ。

◆サイコロが2勝10敗まで低下したことは、経験則でこの先「さらなる下値模索」となることも懸念される。戻りが1万9700~1万9800円辺りで限られると、その先「二段下げ」に突き進むことがあり得るだけに、2万円回復を確認するまで安心できないだろう。

◆ただ、カギを握る米国株がスピード調整の域でとどまり、戻りに転じたことは注目される。NYダウは日足抵抗線や13週線(2万1630ドル)を割ることなく切り返し、ナスダックも日足の「雲」下限ギリギリで下げ止まって切り返すなど、上昇基調への復帰に期待を抱かせる。NYダウの好転ポイントは8月8日高値2万2179ドル奪回で、その前に8月16日高値2万2085ドルを奪回できるのかが注目される。

◆カネ余りの地合いが続いているだけに、目先のアヤ戻り(リバウンド)を当て込み買いに行くのも一策だが、チャートが崩れかけて需給不安を漂わせた後だけに、小口の短期売買と割り切る必要あるだろう。本格的な買いは慌てることなく好転確認を待つのがセオリーである。

(8月31日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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