【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:米連邦議会再開、ECB政策金利、北朝鮮建国記念日
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
■株式相場見通し
予想レンジ:上限19900-下限19600円
来週は先週の反動から短期的な達成感も意識されやすいが、リバウンドを試す底堅い相場展開が期待される。今週はまず、8月の米雇用統計の結果を受けた市場反応を受けることになるが、非農業部門雇用者数が15万6000人増となり、市場コンセンサスを下回った。また、失業率は4.4%と前月と比べて0.1ポイント悪化したが、低い水準が続いている。米国株式市場はこの結果を受け、追加利上げ観測が後退したとの見方から上昇。この影響については、例えコンセンサスを上回ったとしても、利上げ観測は高まらないとみられていたため、サプライズはないだろう。今週は週半ばに米貿易収支(7月)、米ISM非製造業景況指数(8月)、米地区連銀経済報告(ベージュブック)が予定されているほか、各連銀総裁の講演が予定されているが、利上げ観測が高まらないなかで、景況感の改善が示される内容となり、相場には好影響につながりやすい。
また、現在休会中の米連邦議会が9月5日に審議を再開する。9月末に向けて政府閉鎖といった懸念が次第に強まり、米国の財政運営への懸念がリスク要因になる可能性がある。しかし、米南部テキサス州を直撃した大型ハリケーン「ハービー」による被害が拡大。ハービーによる自然災害を受けて、被災者支援と暫定予算、連邦債務の法定上限引き上げの法案を組み合わせる公算。これにより、政府機関閉鎖が当面回避される上に、債務上限問題では団結せざるを得ないだろう。9月下旬に向けて不安材料になりそうだが、目先的には楽観論が高まりそうである。
欧州ではユーロ圏総合PMI(8月、改定値)、ユーロ圏GDP(4-6月、確定値)のほか、ECB政策金利発表も予定されており、材料視されることになりそうだ。欧米の景況感に明るさがみられるなか、調整が長期化している日本株に対しても、リバウンドが意識されやすいところだ。先週の日経平均は週半ば以降、リバウンド基調が強まり、これまでのボトム圏でのもち合いレンジ(19300-19550円)を突破してきている。25日線や26週線といった抵抗線も捉えてきており、短期的な戻りとしては達成感が意識されるが、欧米の景況感に明るさがみられるなか、上値抵抗であるレンジ(19900-20100円)下限レベルを試す可能性がある。
その他、JASDAQ平均が27年ぶりの高値水準をつけるなど、中小型株物色が活発化している。大型株への資金シフトから利益確定の流れも意識されやすいだろうが、需給状況は良好である。中小型株の中でも相対的に出遅れている銘柄が選好されやすくなるが、中小型株への関心は引き続き強いとみておきたい。一方で、北朝鮮は9日が建国記念日となる。ミサイル発射への警戒感が高まりやすく、週後半にかけては上値の重しになりそうだが、トランプ米大統領の最近の発言からは、過度な警戒感は後退していると想定。
■為替市場見通し
来週のドル・円はトランプ政策と米金融政策を見極める展開になりそうだ。トランプ政策や米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策(金利正常化方針)に先行き不透明感が広がっている。このため、市場関係者の間からは「政治情勢や経済指標などを入念に点検し、今後の金融政策を見極めたい」との声が聞かれている。
FRBが今月19-20日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で、バランスシートの縮小開始は織り込まれつつあるものの、12月追加利上げについては見方が分かれている。8月ISM製造業景況指数は大幅に改善したが、同月の雇用統計は市場予想を下回った。また、ハリケーン「ハービー」によって被った損害は短期的に製造業セクターを圧迫するとの見方が多い。今週発表される米経済指標が改善すれば、年内追加利上げ観測が広がり、ドル買いが強まる可能性があるが、インフレ鈍化を示唆するデータが追加された場合、ドルは伸び悩む可能性がある。
■来週の注目スケジュール
9月 4日(月):マネタリーベース、ユーロ圏生産者物価指数、米レーバーデーなど
9月 5日(火):中財新総合PMI、ユーロ圏総合PMI改定値、米製造業受注など
9月 6日(水):車名別新車販売、独製造業受注、米地区連銀経済報告など
9月 7日(木):景気動向指数、米新規失業保険申請件数、ECB政策金利など
9月 8日(金):4-6月GDP改定値、独貿易収支、英鉱工業生産指数、米卸売在庫など
9月 9日(土):中消費者物価指数、中生産者物価指数、北朝鮮の建国記念日など
9月10日(日):中元建て新規貸出額、中資金調達総額など
《TM》
提供:フィスコ