【市況】国内株式市場見通し:欧米の景況感を受けたリバウンド期待も
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
先週の日経平均は上昇。注目されたジャクソンホール会合については、欧米中央銀行のトップが金融政策に言及しなかった。もっとも、サプライズはなく、週明け28日は一先ずアク抜けが意識された。しかし、翌29日には北朝鮮が日本上空を通過する弾道ミサイルを発射。この影響からシカゴ225先物は時間外で一時19045円まで下げ幅を拡大させたほか、円相場は1ドル108円30銭辺りと円高に振れて推移するなか、日経平均は一時19300円を割り込む場面もみられた。
ただ、米朝の緊張が警戒されるなか、トランプ大統領の反応が比較的穏やかだったことから、大規模な戦闘にはつながらないとの楽観的な見方が広がった。その後はJPX日経400のリバランスに伴う需給要因もあって、日経平均はリバウンド基調へ。米国では8月ADP雇用統計や4-6月期GDP改定値が予想を上振れる経済指標の発表等も安心感につながるなか、日経平均は足元でのもち合いレンジ(19300-19550円)を上放れている。
先週の反動から短期的な達成感も意識されやすいが、リバウンドを試す底堅い相場展開が期待される。今週はまず、雇用統計の結果を受けた市場反応を受けることになるが、非農業部門雇用者数が15万6000人増となり、市場コンセンサスを下回った。また、失業率は4.4%と前月と比べて0.1ポイント悪化したが、低い水準が続いている。米国市場はこの結果を受け、追加利上げ観測が後退したとの見方から上昇。この影響については、例えコンセンサスを上回ったとしても、利上げ観測は高まらないとみられていたため、サプライズはないだろう。今週は週半ばに米貿易収支(7月)、米ISM非製造業景況指数(8月)、米地区連銀経済報告(ベージュブック)が予定されているほか、各連銀総裁の講演が予定されているが、利上げ観測が高まらないなかで、景況感の改善が示される内容となり、相場には好影響につながりやすい。
また、現在休会中の米連邦議会が9月5日に審議を再開する。9月末に向けて政府閉鎖といった懸念が次第に強まり、米国の財政運営への懸念がリスク要因になる可能性がある。しかし、米南部テキサス州を直撃した大型ハリケーン「ハービー」による被害が拡大。ハービーによる自然災害を受けて、被災者支援と暫定予算、連邦債務の法定上限引き上げの法案を組み合わせる公算。これにより、政府機関閉鎖が当面回避される上に、債務上限問題では団結せざるを得ないだろう。9月下旬に向けて不安材料になりそうだが、目先低には楽観論が高まりそうである。
欧州ではユーロ圏総合PMI(8月、改定値)、ユーロ圏GDP(4-6月、確定値)のほか、ECB政策金利発表も予定されており、材料視されることになりそうだ。欧米の景況感に明るさがみられるなか、調整が長期化している日本株に対しても、リバウンドが意識されやすいところだ。先週の日経平均は週半ば以降、リバウンド基調が強まり、これまでのボトム圏でのもち合いレンジ(19300-19550円)を突破してきている。25日線や26週線といった抵抗線も捉えてきており、短期的な戻りとしては達成感が意識されるが、欧米の景況感に明るさがみられるなか、上値抵抗であるレンジ(19900-20100円)下限レベルを試す可能性がある。
その他、JASDAQ平均が27年ぶりの高値水準をつけるなど、中小型株物色が活発化している。大型株への資金シフトから利益確定の流れも意識されやすいだろうが、需給状況は良好である。中小型株の中でも相対的に出遅れている銘柄が選好されやすくなるが中小型株への関心は引き続き高いとみておきたい。一方で、北朝鮮は9日が建国記念日となる。ミサイル発射への警戒感が高まりやすく、週後半にかけては上値の重しになりそうだが、トランプ米大統領の最近の発言からは、過度な警戒感は後退しているであろう。
《FA》
提供:フィスコ