【市況】米国株式市場見通し:政治動向を注視
9月4日はレイバー・デーの祝日で米国株式相場は休場となる。先週の雇用統計は非農業部門雇用者数が15.6万人増と予想を下回る内容となり、利上げ観測が後退した。FF金利の先物取引から算出される利上げ確率は12月が36%、18年3月が49%、6月が56%(1日時点)で、来年6月の利上げを予想する向きが優勢となっている。今月のFOMC開催を見据えて、市場の注目はバランスシートの縮小開始時期に移るだろう。
ハリケーン「ハービー」の襲来で、テキサス州及びルイジアナ州に洪水被害が広がったが、政府の災害対応が迅速であったことから、株式市場への影響は限定的だ。寧ろ、政府機関の閉鎖が復興支援の遅れにつながるリスクがある為、債務上限引き上げ法案で9月末の期限に向けて議会が大きく紛糾する可能性は大きく後退したと考えられる。一方で、先週の北朝鮮によるミサイル発射を受けた投資家心理の悪化は一服しているものの、北朝鮮が更にミサイル発射に踏み切った場合には、地政学リスクの緊張が一気に高まるだろう。
5日から米議会で審議が再開する。先週にムニューチン財務長官が9月中に税制改革案を発表するとしており、期待感が高まっている。税制改革では減税が柱となるが、投資家の視点からは米国企業が海外に保有する留保利益を米国内に還流する際に、一時的に10%程度の低率税が導入されるかが注目されそうだ。アップルを筆頭にハイテク大手や製薬メーカーなどが海外に多額の利益を積み上げており、税制改革への期待が高まれば、これらのセクターが選好されるだろう。
経済指標では、7月製造業受注(5日)、7月貿易収支(6日)、8月ISM非製造業景況指数(6日)、7月卸売在庫(8日)などの発表が予定されている。6月の製造業受注は、8か月ぶりの大幅増加となったが、パリ国際航空ショーの開催で、ボーイングに民間航空機の大量受注が集中したことによる一時的な増加に過ぎず、7月は揺り戻しで大きく減少する可能性が高い。6日にはFOMCでの基礎資料となる地区連銀経済報告(ベージュブック)の発表も予定されており、注目したい。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ