【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「無視できぬサイコロ、チャートの崩れを注視」
株式評論家 富田隆弥
◆夏の甲子園が終わり、夏休みも間もなく終わる。それにしても今年の夏の天候は厳しかった。東京では21日連続の降雨となり、1977年の22日連続に次ぐ記録となった。「冷夏」であるから日本経済への影響が心配される。
◆天候に歩調を合わせるように日経平均株価もこの夏は冴えなかった。2万円近辺のもみ合いを8月9日(257円安)に下放れ、24日現在1万9351円まで軟化している。12日間のプラスマイナスで算出するサイコロ(サイコジカルライン)を見ると、8月18日に底値とされる3勝9敗=25%を示現、そして8月21日と22日は2勝10敗=16%とさらに低下、株式市場の長雨ぶりを物語っている。
◆サイコロが2勝となり、200日移動平均線(1万9285円)に迫ったこともあり、日経平均はそろそろ反発してもおかしくない。ただ、チャートとしては25日移動平均線と75日移動平均線がデッドクロス、一目均衡表の「雲」(現在の上限2万0032円-下限1万9883円)を割り込んだほか、週足では26週移動平均線(1万9583円)を下回るなど、基調の変化(陰転)が否めず、当面の上昇はアヤ戻り(リバウンド)として上値の節を意識することになる。
◆割り込んだ25日移動平均線(1万9700円台)と75日移動平均線(1万9900円処)が上値の節となり、少なくともそれを抜かなければ「好転の兆し」は出てこない。好転を確認するまでスタンスは「戻り売り」が続く。
◆長雨で経済への影響が気になるが、サイコロの2勝10敗も相場の先行き懸念を漂わす。3勝9敗=25%で反発できなかったことは「それだけ地合いが悪化している」ということなのか、経験則ではその後「さらに下値模索」となるケースが珍しくない。16年1月や10年前の07年11月、08年7月も2勝以下になった。サイコロは単純な指標であることからバカにされがちだが、「9勝以上の過熱」や「2勝以下」などは貴重な信号として無視できない。そして、相場は「流れに従う」もの。崩れかけたチャートも注視していくことになる。
(8月24日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース