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【特集】EV普及が導く「非鉄株」上昇、市場構造変革の先に見えるもの <株探トップ特集>

アルコニクス <日足> 「株探」多機能チャートより

―亜鉛10年ぶり、アルミ3年ぶりなど軒並み上昇、膨らむ国内大手の業績増額期待―

 非鉄株 に市場の関心が高まっている。足もとで銅や亜鉛、アルミニウムといった非鉄金属の市況は軒並み上昇。中国のインフラ投資拡大に絡み非鉄需要が膨らむ一方、生産は抑えられ需給関係が改善している。また、電気自動車(EV)の普及は非鉄に新たな需要をもたらし、市場構造の転換を巻き起こすとの期待も膨らむ。全体相場は軟調な地合いが続くが、非鉄株の夏相場はここから本番を迎えそうだ。

●亜鉛は10年ぶり高値、銅、アルミも上昇

 非鉄市況が上昇基調を強めている。銅価格は、ロンドン金属取引所(LME)の3ヵ月先物で21日、1トン当たり6580ドル前後と14年11月以来、2年9ヵ月ぶりの水準にある。また、亜鉛価格も一時、1トン3110ドル前後に上昇し07年8月以来10年ぶりの高値水準に買われた。アルミニウムも1トン2080ドル前後と約3年ぶりの高値。ニッケル価格は1トン1万1310ドル前後と昨年12月以来、8ヵ月ぶりの高値圏といった具合だ。

 非鉄市況は6月以降、上昇基調を強めているが、けん引役を果たしているのは中国だ。中国製造業PMIや4-6月期国内総生産(GDP)が強めの結果となり、中国経済に前向きな見方が浮上。さらに、秋に予定されている中国・共産党大会を前に空港や鉄道などのインフラ投資が活発化し、銅や亜鉛、アルミなど非鉄が一段と消費されるとの観測が浮上した。

●非鉄大手は市況上昇で業績増額修正

 大手シンクタンクの非鉄アナリストは「非鉄市況の上昇の要因は、中国景気が思ったより堅調だったことに加え、チリなどの大手銅鉱山でストライキが発生し供給減の観測が台頭したこと。さらに、非鉄価格はドルとの逆相関の関係が強く、ドル安が進んだことも上昇要因として働いている」と指摘する。

 この足もとの非鉄価格の上昇により、国内非鉄大手の業績見通しに増額修正期待が膨らんでいる。例えば、非鉄最大手の住友金属鉱山 <5713> は8日、第2四半期(4-9月)の連結営業利益を従来予想の340億円から430億円へ増額修正した。コバルトなどの非鉄市況の上昇が寄与した様子だ。ただ、18年3月通期の業績見通しは据え置いた。

 また、三菱マテリアル <5711> は8日、18年3月通期の連結営業利益予想を650億円から700億円に見直した。米国のセメント需要が堅調なほか、鉱山配当金の計上などが利益を押し上げる。両社とも銅価格などの今期想定レートは、直近の水準より下方にあり、市況上昇は非鉄各社の業績の押し上げ要因に働くとの期待が強い。

●EV普及でレアメタル・レアース価格高騰も

 さらに、見逃せないことは非鉄には中長期的にEVの普及が需要押し上げ要因に働き、業界に地殻変動が起こる可能性があることだ。前出の非鉄アナリストは「自動車の電装化が進むことで、電気信号を伝えるための銅線需要が確実に増える」という。また、EVの普及に伴い車体の軽量化が一段と求められることで、アルミニウム需要は拡大するとみられている。

 レアメタル(希少金属)レアアース(希土類)への影響も大きいとみられる。リチウムイオン2次電池の材料に使うレアメタルのコバルト価格はこの1年で高騰したほか、レアアースのネオジムやテルビウムはEVやハイブリッド車(HV)の高機能モーターの磁石などに使われ需要は拡大している。こうしたなか、市場ではレアメタルなどに強い非鉄原料の専門商社であるアルコニックス <3036> の動向が注目されている。

●東邦鉛や日軽金、日鉄鉱、商社株なども注目

 非鉄市況の上昇と連動し、非鉄関連株は株価底上げが期待できる。関連銘柄は、前出の住友鉱や三菱マ、アルコニックスのほか、スマホ向け極薄銅箔が好調な三井金属鉱業 <5706> 、銅精錬などで実績のDOWAホールディングス <5714> といった非鉄大手。また、亜鉛価格の高騰が追い風の東邦亜鉛 <5707> やニッケル価格との連動高が期待される大平洋金属 <5541> 、銅鉱山などを保有する日鉄鉱業 <1515> など。アルミ価格の上昇で日本軽金属ホールディングス <5703> 、貴金属リサイクルのアサヒホールディングス <5857> や松田産業 <7456> 。それに、三井物産 <8031> や丸紅 <8002> 、三菱商事 <8058> などの非鉄に強い商社株にも注目したい。

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