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【特集】加速するIT化、拡大する投資――業績飛躍のカギと有望企業 <株探トップ特集>

シーイーシー <日足> 「株探」多機能チャートより

―6月日銀短観ソフトウエア投資額“大幅上方修正”、その向かう先―

 幅広い業種でIT化投資が拡大を続けている。その背景には、生き残りのための企業の生産性向上、業務プロセスの効率化、深刻化する人手不足、セキュリティー対策などがある。したがって、製造業、サービス業など業種を問わずIT化投資は継続的に拡大することが予想される。なかでも、今後は特定の事業分野に特化したIT投資に貢献する銘柄に注目が集まりそうだ。

●日銀短観でもIT化投資計画が上方修正

 日本銀行が3日に発表した、「日銀短観6月調査」によると、全規模・全産業のソフトウエア投資額の2017年度計画は、前年度比7.0%増と、前回調査に比べて3.8%ポイントの上方修正となった。さらに、ソフトウエア・研究開発を含む設備投資額(除く土地投資額)の17年度計画も前年度比5.7%増で、前回調査に比べて3.3%ポイントの上方修正となっている。

●テクマトリックス、医療情報クラウドサービスが順調拡大

 個別銘柄では、情報基盤構築およびアプリケーション・サービス事業を手掛けるテクマトリックス <3762> に注目。足もとでは、セキュリティー対策製品や医療情報クラウドサービス が好調な推移をみせている。なかでも、医療情報 クラウドサービスの今後の成長性に注目が集まっている。主力の「NOBORI」は、レントゲンやCT画像などの大容量の医療情報データを、医療機関の外部にあるデータセンターで安全に管理し、必要な時に利用できるサービスだ。ユーザーの病院には専用サーバーを数台設置するだけで済むことから契約数が順調な拡大をみせている。テクマトリックスでは「NOBORIの利用施設数は、16年3月期末約450、17年3月期末約650となり、18年3月期は850を目標とし、成長を期待している分野」(企画経理部経営企画課)としている。

●シーイーシー、ETC利用のクラウド型システムで渋滞緩和支援

 独立系SIで、トヨタグループなどの優良顧客の情報活用ツールに実績を持ち、金融向けシステム開発にも積極展開しているシーイーシー <9692> に注目したい。同社は3月29日からETC(自動料金収受システム)を活用した東京港での渋滞緩和支援システムのトライアル運用をスタートしている。同社では「当社と古野電気 <6814> が共同で開発したETC利用のクラウド型車両認識システム“カオ・スルー”をベースとして、コンテナ取扱貨物量日本一の東京港の大井コンテナ埠頭で、周辺道路の渋滞緩和に向けて物流最適化を目指している。1年間テスト運用を実施して以降、他地域への拡大を目指す」(企画部広報グループ)としている。

●EMシステムズ、19年3月期に調剤システムの市場シェアを40%に

 調剤薬局向けシステム開発・販売・メンテナンスの大手で、国内シェア3割と首位を占めるのがEMシステム <4820> 。同社の主力分野の調剤システム「Recepty NEXT」は、レセプト(医療機関が、市町村の国保や企業の健康保険組合など健康保険の運営者に対して患者1人ごとに作成する診療報酬明細書)を発行するためのソフトで、レセプトを作成するコンピューターのレセコンと、服薬指導支援機能(患者の薬歴管理など)を完全一体化しているのが特長。同社が打ち出している19年3月期を最終年度とする中期経営計画では、現在約30%の同社の調剤システムの市場シェアを40%に拡大することを目標としている。これを実現するため、OEM供給ほか、顧客のコスト削減・業務標準化に対応した販売チャネルとパートナー戦略を強化すると同時に、M&Aの積極化にも取り組む。

●データセクション、ドーンも独自システムで貢献

 このほか、ビッグデータ処理・解析を主力事業とし、特にSNSなどソーシャルメディアに強みを発揮しているデータセクション <3905> [東証M]では、インバウンドの訪日外国人観光客の動向を的確に把握するための海外のSNSサイトの分析システムが自治体向けに好調な伸びをみせている。また、地理情報システム(GIS)構築ソフト「ジオベース」をリソースとしたソフト受託開発を主力とするドーン <2303> [JQ]は、聴覚や言語に障害のある人のための新しい消防署向けクラウド型緊急通報システム「NET119」が拡大している。これは、スマートフォン・携帯電話のインターネット接続機能を利用して、簡単な操作で素早く119番通報することができるもの。また、同社は京都大学と共同で、119番通報、地域のAED(自動体外式除細動器)、救命ボランティアを、スマートフォンアプリによって連携させることで、AEDによる救命処置を促進させる新しい院外心停止救命システムの開発も進めている。

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